Rick Wakeman - Journey To The Centre Of The Earth (1974)
Rick Wakeman 1974

Rick Wakeman - Journey To The Centre Of The Earth (1974)

Electronic Rock Prog Rock Modern Classical

Rick Wakeman / Journey To The Centre Of The Earth(1974年・日本盤)

リック・ウェイクマンの Journey To The Centre Of The Earth は、1974年に発表されたソロ2作目であり、彼の名前をソロ・アーティストとして決定づけた大作である。Yes のキーボード奏者として注目を集めていた時期に、ジュール・ヴェルヌ『地底旅行』を題材にした物語性の強い組曲を、ロック・バンド、オーケストラ、合唱、ナレーションまで含めた形でまとめ上げた作品だ。プログレッシブ・ロックの枠に収まりきらない構成と、クラシック音楽的な書法、そしてロックの推進力が同居する一枚として、今でも代表作に数えられている。

作品の成り立ち

このアルバムは、1974年1月18日にロンドンのロイヤル・フェスティバル・ホールで行われた一夜限りの公演を収録したもの。ロンドン交響楽団、イングリッシュ・チェンバー・クワイア、ロック・バンド、そして語り手のデヴィッド・ヘミングスを起用し、ライヴ録音として実現した。録音は Ronnie Lane’s “Lyn Mobile Studio” によるもので、ミックスはロンドンの Morgan Studios で行われている。大きな編成と短い準備期間が重なった企画で、LP では上演時の約1時間から約40分へ編集されている。

演奏の中心にあるのは、ウェイクマンのキーボード群だ。オルガン、シンセサイザー、エレピ、ピアノを切り替えながら、場面転換の多い楽曲をまとめていく。ロック・バンドのリズムはあくまで骨格として機能し、そこへ管弦楽と合唱が厚みを加える構図。語りが入ることで、単なる組曲ではなく、物語の進行を追う作品として成立している。

日本盤の仕様

今回の日本盤は A&M Records の GP-226。ゲートフォールド仕様で、帯付き、インサート2種付きという構成である。ジャケットはアメリカ盤 SP-3621 の仕様をもとにしており、背表紙には “printed in U.S.A.” の表記が見える。さらに、表面には日本語の品番と価格を記した青い楕円ステッカーが貼られている。

付属物も興味深い。ひとつはアメリカ製の8ページ・フルカラー冊子で、こちらは “A&M SP-3621 Printed in U.S.A.” の記載入り。もうひとつは、日本語ライナーと画像、そして英語・日本語併記のナレーション・テキストを収めた6ページの茶系冊子である。ジャケット表記は UK 由来の “Centre” だが、レーベル表記は米国式の “Center” になっている点も面白い。

音の印象

この作品は、派手なソロの見せ場だけで押し切るタイプではない。むしろ、導入から展開、静かな語りの場面、合唱が入る場面まで、曲全体の流れを切らさずに進めるところに重心がある。ウェイクマンの鍵盤は、メロディを前に出す部分と、背景の和声を支える部分の切り替えがはっきりしていて、オーケストラとぶつかるよりも、場面ごとの役割分担を作っている印象が強い。

聴きどころとしては、やはり大編成が一気に立ち上がる部分と、語りを挟んで緊張感を保つ流れだろう。ロックのアルバムでありながら、組曲としての構成が優先されていて、楽器の音色が次々と変わっていくことで物語の場面転換が見えてくる。プログレッシブ・ロックの中でも、Yes のようなバンド作品とは別の、ソロ作ならではの自由度がある。

1974年という位置づけ

ウェイクマンにとって本作は、ソロ・アーティストとしての存在感を一気に押し上げた作品である。英国アルバム・チャートで1位、米 Billboard 200 で3位を記録し、商業的にも大きな成功を収めた。Yes の活動と並行しながら、ここまで大掛かりな構想を実現した点に、当時の彼の勢いが表れている。プログレッシブ・ロックがオーケストラや長尺構成を積極的に取り込んでいた時代の中でも、本作は“ロック版の物語音楽”としてかなり明確な輪郭を持っている。

同時代の作品と比べると、演奏の技巧を前面に出すだけでなく、文学作品を題材にしたドラマ性が前に出ている。キーボード主体の大作としては、同時期のエマーソン系作品を思わせる部分もあるが、ウェイクマンの場合はオーケストラとの結びつきがより強く、舞台作品に近いまとまりを持っている。後のプログレやシンフォニック・ロックにも、こうした“ロックと管弦楽を一本の物語にまとめる”発想は確実に残っていった。

まとめ

Journey To The Centre Of The Earth は、リック・ウェイクマンの鍵盤表現、作曲、編曲の力をまとめて示した1974年の重要作である。日本盤はアメリカ盤ジャケットを基にしつつ、帯と日本語冊子を加えた仕様で、当時の国内リリースらしい情報量の多さも魅力になっている。大編成のライヴ録音、文学作品の翻案、そしてプログレッシブ・ロックの枠を広げた構成。こうした要素が重なった一枚として、今も作品全体の輪郭がはっきりしている。

トラックリスト

  1. A1 The Journey
  2. A2 Recollection
  3. B1 The Battle
  4. B2 The Forest

動画プレイリスト

Share
戻る

あわせて聴きたい "Modern Classical"

toast