23 Skidoo - Urban Gamelan (1984)
23 Skidoo 1984

23 Skidoo - Urban Gamelan (1984)

Electronic Funk / Soul Funk Dub Gamelan

23 Skidoo『Urban Gamelan』について

23 Skidooの『Urban Gamelan』は、1984年にUKのIlluminated Recordsから出た作品で、同バンドのディスコグラフィーの中でも、より抽象度の高い方向へ踏み込んだ時期を示す一枚として知られている。23 Skidooは、ポストパンク、インダストリアル、ファンク、ワールド・ミュージックの要素を独自に交差させてきた英国のグループで、初期からアフリカ系リズムや武術、ダブ、実験音楽への関心を前面に出していた。『Urban Gamelan』は、その流れの中で、タイトルの通りガムラン的な打楽器感覚と都市的なビート感を結びつけた作品として位置づけられる。

バンドのプロフィールをたどると、1979年結成、1980年の7インチ「Ethics」、1982年のデビュー作『Seven Songs』へと続き、そこから『Tearing Up The Plans』や「Coup」、そして本作へと進む。『Urban Gamelan』の前後には、よりリズムの骨格を強く押し出した時期と、より構造を崩した時期があり、この作品はその中間で、ビートの推進力を保ちながらも、音の配置そのものをかなり意識して作られている印象がある。初期23 Skidooを追ううえで、ひとつの節目にあたるタイトルと見てよさそうだ。

作品の輪郭

この盤は、Funk / SoulやElectronicに分類されつつ、スタイルとしてはFunk、Gamelan、Dubが並ぶ。実際の内容もその通りで、単純なロック・バンドの演奏というより、打楽器、ベース、隙間の多いリズム、反復フレーズの組み合わせで前に進む作りが中心になる。23 Skidooは当時のCabaret VoltaireやThrobbing Gristle、The Pop Group、This Heatと並べて語られることが多いが、そこに加えて、ブルンディ・ドラムやコドー太鼓、フェラ・クティ、そしてインドネシアで触れたガムランの感覚が混ざっている点が、このグループの特徴になっている。

『Urban Gamelan』という題名も、その文脈をかなり端的に示す。伝統音楽の要素をそのまま引用するというより、都市の中で鳴る打楽器群として再構成していく発想。ダブ的な残響や空間処理が加わることで、音の一発一発が前景化し、同時に輪郭のにじみも生まれる。派手な展開で押す作品ではなく、細部の積み重ねで構造を作るタイプのアルバムだ。

聴きどころ1:タイトルが示す打楽器の設計

本作でまず目を引くのは、リズムの組み立て方そのものだろう。23 Skidooはもともと打楽器の比重が大きいバンドだが、『Urban Gamelan』ではその傾向がさらに明確になる。金属質な鳴り、乾いた打音、低音の反復が噛み合い、曲全体が一つの打楽器アンサンブルのように進行する。グルーヴはあるが、一般的なファンクのように滑らかに流れるわけではなく、拍の重なりやズレが前に出る。

このあたりは、当時のポストパンク/インダストリアル周辺の実験とも重なるが、23 Skidooの場合は冷たさ一辺倒ではない。ベースの粘りや、身体的な反応を促す反復が残っていて、そこにアフリカ音楽やダブの感覚が通っている。聴感上は硬質なのに、リズムの根っこはかなり有機的というバランス。『Seven Songs』で見せた緊張感を、より抽象化した方向といえるかもしれない。

聴きどころ2:ダブ的な空間と反復の扱い

もうひとつの重要な要素は、音の空間処理だ。23 Skidooは単にパーカッションを積み重ねるだけでなく、残響や間を使って、音が消えていく時間まで含めて構成している。ダブの発想に近いが、レゲエの文法に寄せるというより、音の余白を拡大してリズムを見せる手つきに近い。結果として、曲は前進しながらも、どこかで立ち止まっているような感覚も残す。

この種の作りは、同時代のインダストリアルやアート寄りのファンクと比較されやすい。たとえばCabaret Voltaireのような機械的な切り込み方、A Certain Ratioのようなダンス・ミュージックとの接点、あるいはThis Heatの実験性と並べて見ると、23 Skidooの独自性は「リズムを崩さずに異物を混ぜる」点にあるように見える。完全に解体するのではなく、グルーヴの輪郭を保ったまま別の文化圏の感覚を持ち込む、その中間地帯の作品だ。

位置づけと当時の流れ

23 Skidooのキャリアの中では、『Urban Gamelan』は初期の代表的な実験作のひとつとして見られることが多い。前作群で築いたリズム志向をさらに押し進めつつ、のちのヒップホップ寄りの関心へ向かう前段階にもつながっている。バンドはその後、より別の方向へ動いていくが、本作には、当時のロンドン周辺で進んでいたポストパンク以降の再編成、つまりロックの器にダンス、民族音楽、実験音響を入れ替えていく動きがよく出ている。

また、1984年という年を考えると、ポストパンクの初期衝動が落ち着き、各バンドがより具体的なリズム言語を探り始めていた時期でもある。その中で23 Skidooは、単なる流行の吸収ではなく、最初から持っていた問題意識を別の形で続けていた印象が強い。『Urban Gamelan』は、その継続性がはっきり見える作品だ。

盤について

このUK盤はIlluminated RecordsのJAM 40。レーベルはポストパンク/インダストリアル系を中心に展開していたことで知られ、23 Skidooのような実験性の強い作品を支える土壌になっていた。付属物としては、片面印刷のインナー・スリーブ付きで出たという記録がある。なお、のちに再発盤も存在するが、ここで扱うのは1984年のオリジナル盤である。

『Urban Gamelan』は、23 Skidooの中でも、踊れる要素と抽象性の境目をかなり意識して切り取った一枚として読める。派手なヒット曲で押すタイプではないが、バンドの核にある「リズムを通じて異なる文化圏を接続する」という考え方が、かなりはっきり形になっている作品だ。

トラックリスト

  1. A1 Fuck You GI (23 F.P.M.)
  2. A2 Fire
  3. A3 Misr Wakening
  4. A4 Jalan Jalan
  5. B1 Urban Gamelan, Part One
  6. B2 Sirens
  7. B3 Helicopters
  8. B4 Kongo-Do
  9. B5 Language Dub
  10. B6 Drunken Reprisal
  11. B7 Coup De Grace

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