Adam And The Ants - Kings Of The Wild Frontier (1980)
Adam And The Ants 1980

Adam And The Ants - Kings Of The Wild Frontier (1980)

Rock Pop Rock New Wave

Adam And The Ants『Kings Of The Wild Frontier』について

Adam And The Antsの『Kings Of The Wild Frontier』は、1980年に登場した作品で、のちのバンドの代表作としてよく挙げられるアルバムだ。パンクの流れをくんだ初期形態から、新しい編成へ移行した直後の時期にあたり、バンドの方向性が大きく切り替わったことを示す一枚でもある。ニューウェイヴとポップ・ロックの要素を土台にしながら、打楽器の強い推進力と、曲ごとのフックを前面に置いた作りが印象に残る。

このUS盤はEpicからのリリースで、レーベル表記はNJE 37033。Rockfield Studiosで1980年8月に録音されており、UK盤とは収録曲順が異なる。インナー・スリーヴには歌詞と番号「37033」が記載されているが、写真や映像スチルは付かない仕様になっている。盤面の表記も、他ヴァージョンと比べて作曲クレジットの改行に違いがあるという点が確認できる。

作品の位置づけ

Adam And The Antsは、1977年に始まった初期のパンク色の強い時代から、1980年2月以降の新編成で大きく性格を変えていく。この『Kings Of The Wild Frontier』は、その転換点にある作品だ。後の大きな商業的成功へつながる入口としても重要で、バンドの名前が広く知られる流れを作ったアルバムとして位置づけられる。

同時代のイギリスのニューウェイヴ周辺と比べると、Adam And The Antsはリズムの設計がかなり目立つ。Burundi風のドラムが前に出ることで、ギターやボーカルの動きがその上に乗る形になっている。単なるポップ・ソング集というより、ビートの組み立て自体が作品の輪郭を決めている印象だ。

注目曲「Dog Eat Dog」

このアルバムを語るうえで外せないのが「Dog Eat Dog」だ。冒頭から打楽器の圧が強く、曲の進み方も直線的で、当時のバンドの新しい姿を端的に示している。歌のフレーズは短く切られ、反復が多い。ロックの勢いとポップな覚えやすさが同居していて、アルバムの入り口として機能している。

この曲はシングルとしても重要で、バンドの代表曲のひとつとして扱われることが多い。ギターの刻みよりも、リズムと声の押し出しが前景にあるため、演奏全体が一塊で進む感触がある。聴き進めると、後年のヒット曲群につながる骨格がすでにここにあることがわかる。

注目曲「Kings of the Wild Frontier」

タイトル曲「Kings of the Wild Frontier」は、アルバムの性格をそのまま表したような一曲だ。歌詞の内容以上に、コーラスの置き方やリズムの跳ね方が印象に残る。曲名を繰り返す構成によって、アルバム全体の看板としての役割を果たしている。

この曲では、バンドの“見せ方”も含めた作りがよく出ている。音数そのものは過剰ではないが、各パートの隙間がはっきりしていて、ボーカルとドラムの存在感が前に出る。ニューウェイヴの中でも、装飾より推進力を優先したタイプとして聴こえる。

アルバム全体の聴こえ方

全体を通すと、曲ごとの性格は比較的はっきりしているが、アルバムとしてはリズムの統一感が強い。ギターのフレーズやボーカルの抑揚よりも、まずビートが耳に残る。そこにシンプルなコーラスや反復が重なり、曲が前へ進む。

また、US盤とUK盤で収録曲順が異なる点は、この作品の受け取られ方を考えるうえで興味深い。少なくともアメリカ向けのこの盤では、アルバムの流れが別の組み方になっているため、曲単体の印象だけでなく、並び順による聴き味の違いも出やすい。レーベル面やインナー・スリーヴの仕様からも、当時の流通盤らしいまとまりが感じられる。

まとめ

『Kings Of The Wild Frontier』は、Adam And The Antsが初期パンクの延長から抜け出し、新しい形で大きく存在感を増していく過程を示す作品だ。1980年という時点で、すでにバンドの核がはっきりしており、特に「Dog Eat Dog」とタイトル曲は、その後の代表作の基礎として見ておきたい。

US盤のこのエディションは、Epicからのリリースとしての仕様や、UK盤との曲順差も含めて、当時のアルバムの流通の様子を伝える一枚でもある。作品そのものの勢いと、盤ごとの違いの両方を確認できる内容だ。

トラックリスト

  1. A1 Dog Eat Dog 3:07
  2. A2 "Antmusic" 3:36
  3. A3 Los Rancheros 3:28
  4. A4 Feed Me To The Lions 2:59
  5. A5 Press Darlings 4:12
  6. A6 Ants Invasion 3:20
  7. A7 Killer In The Home 4:19
  8. B1 Kings Of The Wild Frontier 3:53
  9. B2 The Magnificent Five 3:05
  10. B3 Don't Be Square (Be There) 3:29
  11. B4 Jolly Roger 2:09
  12. B5 Physical (You're So) 4:26
  13. B6 The Human Beings 4:24

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