Ashra - Correlations (1979)
Ashra 1979

Ashra - Correlations (1979)

Electronic Rock Krautrock Berlin-School

Ashra『Correlations』(1979)について

『Correlations』は、ベルリン出身のAshraが1979年にVirginから発表したアルバムである。Ashraは、マニュエル・ゲッチングを中心に活動してきたドイツの電子音響/ロック系プロジェクトで、前身のAsh Ra Tempelから名前を短縮して展開された流れにある。ここではギターを軸にした宇宙的な拡がりというより、シンセサイザーやリズム・マシンの比重が増した、いわゆるベルリン・スクールの文脈がはっきり見える。Krautrockの実験性を引き継ぎながら、1979年という時代の空気に合う、整理された構成の作品として聴こえる。

この時期のAshraは、マニュエル・ゲッチングのソロ・プロジェクトとして扱われつつも、ハラルド・グロスコフ、ルッツ・ウルブリッヒ、スティーヴ・バルテスらの名前がクレジットされており、単独の即興記録というよりは、複数の演奏者とエレクトロニクスが絡む制作物として捉えやすい。録音はほぼERD Studios Berlinで行われ、A1はPanne-Paulsen Studios、A3はStudio Romaで録音されたとされる。さらにAudio Studio Berlinでプレミックス、FrankfurtのPanne-Paulsen Studioでリミックスが施されており、制作工程にも手が込んでいる。

アルバムの位置づけ

『Correlations』は、Ashraのディスコグラフィーの中でも、70年代後半の電子音楽とロックの接点をそのまま保存したような位置にある。前衛的な長尺演奏を前面に出すタイプとは少し違い、曲としての輪郭が比較的はっきりしている点が特徴だ。VirginからのUK盤ということもあり、当時の欧州プログレ/電子音楽の流通の中で、ドイツ産の実験音楽が英国内でも受け取られていた状況を示す一枚でもある。

同時代の文脈で見れば、クラウトロックの系譜にある作品でありつつ、Tangerine DreamやKlaus Schulzeのようなシンセ主導の展開とも近い。とはいえ、Ashraの場合はゲッチングのギターの存在感が制作の芯に残りやすく、音の流れの中に人間的な弾力がある。電子音だけで組み上げるというより、弦のアタックやリフの反復が、シンセのレイヤーと同じ場に置かれている感じである。

聴きどころ

全体を通して耳に残るのは、低音の推進力と、細かく重ねられた音色の移り変わりである。派手な展開で押し切るというより、同じモチーフを少しずつずらしながら、曲の重心を動かしていく作り方が目立つ。実際に聴くと、リズムが前に出る場面でも、メロディが明快に立ち上がる場面でも、どこか機械的な反復と手触りのある演奏が同居しているのがわかる。そこがこの作品の面白さである。

また、1979年の録音らしく、70年代前半の粗い即興感よりも、音像の整理が進んでいる印象がある。ミックスの段階で音が整えられているため、各パートの役割が追いやすい。アナログ・シンセの線の太さ、ギターの輪郭、リズムの反復が、互いにぶつかりすぎずに進む構成である。長く聴いていると、単なる背景音ではなく、細部の配置そのものを味わうタイプの作品と感じやすい。

収録曲について

A1

A1はPanne-Paulsen Studiosで録音された曲で、冒頭からアルバムの方向性を示す役割が強い。ギターとシンセの重なりが最初に見えやすく、Ashraらしい、旋律と反復の接点がここで立ち上がる。派手な導入ではないが、音の配置を確認するように聴き進めると、この作品が単なる電子音楽アルバムではないことがわかる。

A3

A3はStudio Roma録音とされ、アルバムの中でも制作環境の違いが反映された曲として注目しやすい。曲ごとの録音場所が異なるため、ここでは音の抜けや空間の感じ方に少し変化が出る。聴感上も、他の曲と並べたときに場面転換の役割を持ちやすく、アルバム全体の流れの中で印象を残す位置にある。

Virgin UK盤としての見どころ

このUK盤はVirginのV 2117で、1979年当時のオリジナル期の仕様にあたる。Virginは当時、英国を拠点にしながら欧州の先鋭的なロックや電子音楽を広く紹介していたレーベルで、Ashraのようなドイツ勢とも相性が良かった。レーベルの意匠や流通経路まで含めると、70年代末のヨーロッパにおける実験音楽の受け皿としてVirginが機能していたことが見えてくる。

『Correlations』は、Ashraの初期の自由度と、後年の整理された電子音楽的アプローチの中間にあるような作品である。Krautrockの文脈を踏まえつつ、ベルリンの電子音楽がどのようにロックのフォーマットへ接続していたのか、その一端を示すアルバムとして位置づけられるだろう。派手さよりも構成、即興よりも配置、そのあたりを意識して聴くと、細部の作り込みが伝わってくる一枚である。

トラックリスト

  1. A1 Ice Train 7:40
  2. A2 Club Cannibal 5:25
  3. A3 Oasis 4:43
  4. A4 Bamboo Sands 4:38
  5. B1 Morgana Da Capo 5:24
  6. B2 Pas De Trois 8:59
  7. B3 Phantasus 5:07

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