Big Big Train - English Electric Part Two (2013)
Big Big Train 2013

Big Big Train - English Electric Part Two (2013)

Rock Prog Rock

Big Big Train『English Electric Part Two』について

Big Big Trainは、イングランド南部ボーンマスを拠点に活動してきた独立系のプログレッシブ・ロック・バンドだ。1990年にグレッグ・スポウストンを中心に始動し、長い活動の中で少しずつ編成と音像を更新してきた。そんな彼らが2013年に発表した『English Electric Part Two』は、前作『English Electric Part One』に続く作品で、バンドの持つ英国的な視点をより具体的に押し出した一枚として位置づけられる。レーベルはPlane Groovy、UK盤での登場。プログレッシブ・ロックの現在進行形を扱うレーベルから出たことも、この作品の性格をよく示している。

Big Big Trainの魅力は、70年代プログレの文法を参照しながらも、単なる懐古に寄らないところにある。組曲的な構成、アコースティック楽器の扱い、コーラスの重ね方、ストーリー性のある歌詞運びなど、伝統的な要素は多いが、音の輪郭は比較的明瞭で、歌ものとしての推進力も強い。『English Electric Part Two』は、その持ち味がよく出た時期の作品で、バンドの代表的な録音群のひとつとして扱われることが多い。

作品の位置づけ

このアルバムは、2012年の『English Electric Part One』と対になる後編であり、Big Big Trainが“英国の風景や記憶”を主題化していった流れの中にある。タイトルにある「English Electric」という言葉自体、産業、鉄道、地方都市、日常の機械的な風景といったイメージを呼び起こすが、作品全体もそうしたモチーフと相性がよい。壮大さだけで押すのではなく、細部の描写を積み上げていく構成が中心で、プログレッシブ・ロックの中でも、シンフォニックな展開と英国フォーク的な手触りの接点に立つ内容といえる。

2013年時点のBig Big Trainは、デイヴィッド・ロングドンの存在が作品の輪郭を大きく支えていた時期でもある。彼の歌声は楽曲の物語性を前に出し、グレッグ・スポウストンの作曲と並んで、バンドの“語る”力を強めている。結果として本作は、演奏の技巧を見せるだけの作品ではなく、曲ごとの場面がはっきりしているアルバムになっている。

収録曲の流れと聴きどころ

『English Electric Part Two』は、派手なヒット曲で引っ張るタイプではなく、曲順全体で世界を作るタイプのアルバムだ。そのため、単曲の印象だけでなく、前後のつながりを含めて聴くと輪郭が見えやすい。アコースティック・ギター、ピアノ、フルート、ストリングス系の音色、合唱的なバック・ヴォーカルが、場面ごとに役割を変えながら配置されている。

なかでもタイトル曲「English Electric: Part Two」は、この作品の性格を象徴する中心部のひとつだ。前編から続く大きなテーマを受けながら、細かな情景を積み重ねるように進む構成で、Big Big Trainらしい組曲感がよく出ている。リズムは過度に前へ出ず、歌とメロディの流れを優先する作り。音数は多いが、各パートの役割が整理されていて、複雑さよりも読みやすさが勝っている印象がある。

「Curator of Butterflies」も、本作を語るうえで外しにくい楽曲だ。タイトルの時点で少し寓話的だが、実際の曲も、歌の進行とアレンジの組み立てが丁寧で、アルバムの中でも物語の輪郭が見えやすい。Big Big Trainはこうした曲で、抒情性と構築性を同時に保つのがうまい。メロディは大きく張り上げるより、言葉に沿って展開し、その上に演奏が厚みを与える形になっている。

「East Coast Racer」は、作品中でも比較的よく言及される代表曲のひとつだ。鉄道を題材にした楽曲で、Big Big Trainが得意とする英国の産業史的な視点が前面に出る。曲は推進力のあるリズムと、場面転換の多い展開を持ち、列車の速度感や機械の重量感を音で描こうとする意図が伝わりやすい。プログレッシブ・ロックの文脈では、鉄道や移動、旅のイメージは珍しくないが、この曲は題材を単なる記号で終わらせず、構成の中にきちんと取り込んでいるところが印象的だ。

演奏とアレンジ

演奏面では、派手なソロの応酬よりも、アンサンブル全体のまとまりが目立つ。ギター、鍵盤、ベース、ドラムがそれぞれ強く主張しつつも、最終的には歌の流れに収束していく。ニック・ディヴァージリオのドラミングは、複雑な拍の切り替えを見せながらも、曲の重心を崩さないタイプで、アルバム全体の安定感に貢献している。ダニー・マナーズの鍵盤も、単なる埋め草ではなく、場面転換の要として機能している。

また、Big Big Trainの特徴として、複数人によるコーラスの積み重ねがある。本作でもその要素は重要で、主旋律を支えるだけでなく、楽曲の風景を広げる役割を担っている。70年代英国プログレの影響を感じさせつつ、同時代の作品としての整理された音像があり、現代の録音としての聴きやすさも確保されている。

同時代の文脈で見ると

2010年代前半のプログレッシブ・ロックには、往年の様式を受け継ぎながら、アルバム単位で緻密に世界を組み上げるバンドがいくつかあった。Big Big Trainはその中でも、英国の地方性や歴史、鉄道、労働、風景といったモチーフを明確に持ち込む点で個性がある。King Crimsonのような鋭さや、Genesisのような物語性、CamelやThe Flower Kingsに通じる叙情性を連想する人もいるかもしれないが、最終的にはBig Big Train独自の書き方に落ち着く。

『English Electric Part Two』は、そうしたバンドの方向性がかなり明瞭に出た作品だ。派手な話題性よりも、曲作りと編曲の積み重ねで評価されるタイプのアルバムで、Big Big Trainのディスコグラフィーの中でも、後の充実期へつながる重要な節目として見られることが多い。2013年という年に、UK盤としてPlane Groovyから出たことも含め、当時のプログレ・シーンの現在形を伝える記録になっている。

トラックリスト

  1. A1 Make Some Noise
  2. A2 Worked Out
  3. A3 Keeper Of Abbeys
  4. B1 Swan Hunter
  5. B2 Seen Better Days
  6. B3 Edgelands
  7. B4 The Lovers
  8. C1 Leopards
  9. C2 East Coast Racer
  10. D1 The Permanent Way
  11. D2 Curator Of Butterflies

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