Blondie - Plastic Letters (1978)
Blondie『Plastic Letters』――パンクの勢いとポップの輪郭がはっきり見える2作目
Blondieの『Plastic Letters』は、1978年に発表された2作目のスタジオ・アルバムだ。デビュー作から間を置かずに出された作品で、バンドがニューヨークのパンク/ニューウェイヴの現場から、より広いポップの領域へ歩み出していく途中の姿がそのまま刻まれている。荒さを残した演奏に、60年代ガールズグループを思わせるメロディの運びや、ロックンロールの軽快さが重なる構図。後年の大きな成功作に向かう前段階として、位置づけはかなり重要だといえる。
この日本盤はChrysalisのWWS-80963で、東芝EMIによる国内流通盤。ライナーや歌詞対訳つきの和製ロック盤らしい仕様で、帯には「Highest Energy & Eternal Beauty」とある。海外盤とは曲順が組み替えられ、米欧盤から「No Imagination」が外されているのも特徴だ。アルバムをそのままの並びで追うと、曲ごとの温度差や推進力の置き方に、国内盤ならではの編集意図が見えてくる。
バンドの輪郭が固まる時期の作品
Blondieは、デボラ・ハリーとクリス・スタインを中心に結成されたアメリカのバンドで、当時のパンクを出発点にしながら、ニューウェイヴ、ロックンロール、ディスコ、レゲエまで取り込んでいく存在だった。『Plastic Letters』の段階では、その幅広さがまだ整理されきらないまま、むしろ混ざり合った状態で出ている。演奏は切れ味がありつつ、曲の芯はかなりポップ。ラフさと親しみやすさが同居していて、初期Blondieらしさがよく出ている。
制作面では、ベーシストのゲイリー・ヴァレンタイン脱退の事情もあり、クリス・スタインが本作のベースパートをすべて担当したとされる。そうした背景もあってか、音の骨格はシンプルで、リズムの推進力が前に出る。後の『Parallel Lines』でヒットメーカーのマイク・チャップマンを迎えてさらに洗練されるが、その直前のこのアルバムには、まだ少しざらついた手触りが残っている。
「Denis」――カバー曲としての強さ
代表曲のひとつが「Denis」だ。もともとは1963年の「Denise」を下敷きにしたカバーで、歌詞の名前を女性名からフランス風の男性名に変えて歌っている。こうしたひねりが、Blondieの解釈のうまさを示している。単なる懐古趣味ではなく、60年代ポップの甘さを借りながら、演奏はもっと乾いていて、ビートはより前へ出る。原曲のイメージをなぞるのではなく、Blondieの文法に置き換えた一曲。
この曲は全英シングルチャートで2位を記録した大ヒットでもあり、バンドが本格的に広く知られるきっかけのひとつになった。ニューウェイヴの文脈で語られつつも、実際にはかなり古典的なポップの作法を踏まえている点が面白い。パンクの時代に、メロディの強さがそのまま武器になることを示した曲ともいえる。
「(I’m Always Touched by Your) Presence, Dear」――脱退劇の影を曲に変える
もうひとつ外せないのが「(I’m Always Touched by Your) Presence, Dear」。この曲は脱退したゲイリー・ヴァレンタインが書き残したもので、メンバーの入れ替わりというバンド内部の事情がそのまま作品の一部になっている。内容は軽快だが、どこか距離感のある語り口があって、Blondieの楽曲にしばしば見られる「ポップなのに少し冷たい」感触が出ている。
全英10位を記録したこの曲も、シングルとしての完成度が高い。ギターの輪郭は鋭く、ハリーのボーカルは感情を大きく振り回さずに、言葉を前へ置いていく。派手に盛り上げるより、短いフレーズを積み重ねて耳に残すタイプの曲で、アルバム全体の中でもかなり印象が強い。
日本盤としての見どころ
この日本盤は、帯付きで流通した当時の国内仕様が作品の見え方を少し変えている。オリジナルの米欧盤と比べると曲順が異なり、さらに「No Imagination」が外れているため、アルバムの流れはやや別物として聴こえる。とはいえ、収録曲そのものの魅力は十分に伝わる。パンク寄りの勢い、ロックンロールの軽さ、ニューウェイヴ期の都会的な感触が、短い尺の中で次々に切り替わる構成だ。
『Plastic Letters』は、Blondieが単なるNYパンクの一組ではなく、幅広い大衆性を持つバンドへ変わっていく途中の記録として面白い。『Parallel Lines』のような大作に比べると、まだ少し粗い。ただ、その粗さの中に、のちの成功につながる曲作りの輪郭がすでに見えている。1978年という時代の空気と、Blondieというバンドの方向性が、かなりはっきり交差しているアルバムだ。
トラックリスト
- A1 Fan Mail 2:36
- A2 Denis 2:16
- A3 Detroit 442 2:25
- A4 Kidnapper 2:34
- A5 (I Am Always Touched By Your) Presence, Dear 2:41
- A6 I'm On E 2:13
- B1 I Didn't Have The Nerve To Say No 2:50
- B2 Bermuda Triangle Blues (Flight 45) 2:47
- B3 Love At The Pier 2:24
- B4 Contact In Red Square 1:57
- B5 Youth Nabbed As Sniper 2:58
- B6 Cautious Lip 4:21
動画
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Blondie - Denis (Official Music Video)
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Bermuda Triangle Blues (Remastered)
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Kidnapper (Remastered)
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Cautious Lip (Remastered)
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Love At The Pier (Remastered)
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Blondie - Fan Mail • TopPop
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Poet's Problem (Remastered)
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Blondie - Detroit 442
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Contact In Red Square (Remastered)
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Scenery (Remastered)
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I Didn't Have The Nerve To Say No (Remastered)
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I'm On E (Remastered)
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No Imagination (Remastered)