Blood, Sweat And Tears - Blood, Sweat And Tears (1969)
Blood, Sweat And Tears 1969

Blood, Sweat And Tears - Blood, Sweat And Tears (1969)

Rock Jazz Funk / Soul Blues Rock Jazz-Rock Jazz-Funk

Blood, Sweat And Tears『Blood, Sweat And Tears』(1969)

Blood, Sweat And Tearsのセルフタイトル作は、1969年に登場した2作目のアルバムだ。ニューヨークで結成されたこのバンドは、ホーン・セクションを前面に押し出した編成で知られ、ロック、ジャズ、ブルースの要素をひとつのバンド・サウンドにまとめ上げた存在として語られることが多い。デビュー作で注目を集めたのち、本作ではさらに音楽的な幅を広げ、同時代のジャズ・ロックやブラス・ロックの中でも強い存在感を示している。

このアルバムは、バンドにとって初期の代表作であり、のちの大きな飛躍につながる重要な位置づけにある。特に1969年のグラミー賞でAlbum Of The Yearを獲得した作品としても知られ、当時の評価の高さがそのまま記録された一枚といえる。ジャズの語法を持ちながら、ロックの推進力で押し切る構成は、この時期のアメリカン・ロックの広がりをよく示している。

1969年US盤の特徴

今回のUS盤はColumbiaのCS 9720。1967年から1970年頃の赤い2-eyeラベル仕様で、下部のリム表記に“360 SOUND” STEREOの表記が入るタイプだ。収録曲は盤面下に並ぶ表記で、ランアウトにはSanta Mariaプレスを示す“S”または“Ƨ”の刻印が見られるとされている。付属品として60×90cmのポスターが同梱された点も、この時代のLPらしい特徴だ。

ジャケット、ラベル、付属物を含めて、1969年当時のCBS/Columbiaのアルバム制作の空気がそのまま残る仕様である。後年の再発盤とは見た目の印象がかなり異なり、初期プレスならではの資料性も高い。

サウンドの核

この作品の聴きどころは、ホーン・アレンジが単なる装飾ではなく、曲の構造そのものを形づくっている点にある。トランペット、サックス、トロンボーンがリフや合いの手を担い、ギターやキーボードと拮抗しながら進むため、ロック・バンドでありながらビッグバンド的な推進力も感じられる。演奏はタイトで、リズムの切り替えやダイナミクスの変化も細かい。

実際に聴くと、勢いだけで押す作品ではなく、曲ごとの構成がかなり緻密だとわかる。派手なブラス・サウンドの印象が先に立つが、耳を追っていくと、低音部のうねりやドラムの細かなアクセントが全体を支えている。ブルース・ロック的な直進性と、ジャズ・ロックらしい展開の多さが同居する内容だ。

注目曲「Spinning Wheel」

本作を代表する楽曲としてまず挙がるのが「Spinning Wheel」だ。軽快なリズムにホーンが絡み、メロディの分かりやすさとアレンジの複雑さが両立している。シングルとしても大きくヒットし、Blood, Sweat And Tearsの名を広く知らしめた中心曲といえる。

曲の構成は比較的コンパクトだが、細部の動きは多い。歌のフレーズを追うだけでも十分に楽しめる一方で、ブラスの入り方や中盤の展開を意識すると、単なるポップ・ソングではないことがはっきりする。バンドの個性が最も分かりやすくまとまった一曲だろう。

注目曲「And When I Die」

「And When I Die」も重要な一曲だ。もともとはローラ・ニーロの楽曲として知られるが、Blood, Sweat And Tearsの演奏では、より鋭いバンド・サウンドとして再構成されている。ホーンの応答とボーカルの推進力が前に出て、曲の輪郭がくっきりしている。

この曲では、ソウル寄りのノリとロックの勢いがうまく噛み合っている。オリジナル曲ではないが、バンドの解釈力を示す例として重要だ。カバーでありながら、アルバム全体の中で自然に溶け込んでいる点にも、この時期のBlood, Sweat And Tearsの完成度が表れている。

「Variations on a Theme by Eric Satie」

アルバムの中でも特にバンドの音楽性を象徴するのが「Variations on a Theme by Eric Satie」だ。エリック・サティの「Trois Gymnopédies」を下敷きにしたアレンジで、クラシックの素材をロック・バンドの編成に移し替えている。A面とB面にまたがって収録され、作品全体の中でも異色の存在感を放つ。

この曲では、ジャズ・ロックという枠を超えて、編曲そのものを聴かせる姿勢がはっきりしている。原曲の静かな輪郭を保ちながら、バンドならではの呼吸や厚みを加えていく流れは、このグループが単なるブラス入りロックではないことを示している。アルバムの中核に置かれるのも自然な流れだ。

作品の位置づけ

Blood, Sweat And Tearsは、同時代のChicagoやTower of Powerのようなホーン・バンドとも比較されやすいが、本作はその中でもジャズ寄りの構築感が強い印象を持つ。ロックのヒット性と、アレンジの複雑さを両立させた点で、1960年代末のアメリカン・ロックの一つの到達点として捉えられている。

セルフタイトル作でありながら、単なる名刺代わりではなく、バンドの方向性を明確に示すアルバムだ。ヒット曲、カバー曲、長めの組曲的な楽曲が並び、グループの持つ幅を一枚で見せている。1969年という年の空気と、Blood, Sweat And Tearsというバンドの個性が、かなり密度高く刻まれた作品である。

トラックリスト

  1. A1 Variations On A Theme By Erik Satie (1st And 2nd Movements)
  2. A2 Smiling Phases
  3. A3 Sometimes In Winter
  4. A4 More And More
  5. A5 And When I Die
  6. A6 God Bless The Child
  7. B1 Spinning Wheel
  8. B2 You've Made Me So Very Happy
  9. B3 Blues - Part II
  10. B4 Variation On A Theme By Erik Satie (1st Movement)

動画

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