Boz Scaggs - Moments (1971)
Boz Scaggs 1971

Boz Scaggs - Moments (1971)

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Boz Scaggs『Moments』(1971) レコード紹介

Boz Scaggsの『Moments』は、1971年にColumbiaから発表されたアルバムで、彼のソロ初期を知るうえで重要な一枚だ。のちに大きな成功をつかむ前の時期にあたり、まだブルー・アイド・ソウルや洗練されたAORのイメージが定着する以前の、より素直なソングライティングと演奏の輪郭が見えやすい作品である。アメリカのシンガー/ソングライター/ギタリストとして活動していたScaggsが、ソロ・アーティストとしてどの方向へ向かうのかを探っていた時期の記録、と見ると分かりやすい。

この時代のBoz Scaggsは、Steve Miller Bandでの活動でも知られつつ、ソロ作品では自分の声質とギターを前面に出した楽曲作りを進めていた。『Moments』もそうした流れの中にあり、ロックを基調にしながら、メロディの運びや曲の間合いにポップス寄りの感覚が入っている。派手な仕掛けで押すタイプではなく、曲そのものの流れをじっくり聴かせる作りで、70年代初頭のアメリカン・ロックの空気がそのまま残っている感じがある。

作品の位置づけ

Boz Scaggsのキャリア全体で見ると、『Moments』は後年の大ヒット作へつながる前段階に置かれるアルバムだ。1970年代前半のソロ作には、のちの洗練された都会的サウンドとは少し違う、バンド感のある鳴りや、フォーク/ロック由来の骨格がまだ強く残っている。この作品もその例に入る。後年の代表作と比べると、まだ輪郭が荒い部分はあるが、そのぶん歌と演奏の生々しさが前に出ている。

同時代の文脈で見ると、James TaylorやJackson Browneのようなシンガー/ソングライター系の流れ、あるいはPaul Simonのようなメロディ重視の作りとも重なる部分がある。ただしBoz Scaggsの場合は、ブルースやソウルの感触が声の置き方やフレーズに残っていて、その点が独特だ。ロックの枠に収まりきらない歌い口が、アルバム全体の印象を決めている。

サウンドの印象

聴き進めると、音作りは比較的ストレートで、楽器の配置も分かりやすい。ギター、ベース、ドラムを軸に、曲によって鍵盤やコーラスが加わる構成で、70年代初頭のColumbia作品らしい乾いた質感がある。過度に磨き込まれた感じはなく、歌の表情やバンドの推進力をそのまま残す方向だ。こういう作りは、スタジオ録音でありながらライブ感を感じさせる。

Boz Scaggsの声は、この時点ですでに独特だ。少しざらついた質感があり、メロディをなぞるだけでなく、言葉の切り方で曲の印象を変えるタイプ。『Moments』ではその歌声が、曲ごとの温度差を作っている。耳に残るのは、華やかなフックよりも、節回しの細かさや、フレーズの端ににじむ感情の動きのほうだ。

注目曲について

アルバムの中でまず目を向けたいのは、タイトル曲「Moments」だ。作品名をそのまま冠した曲らしく、アルバムの空気を代表するような位置にある。大きく煽る構成ではなく、メロディの流れと歌の置き方で聴かせるタイプで、Boz Scaggsの初期ソロ作らしい落ち着きが出ている。曲単体で派手に目立つというより、アルバム全体のトーンを決定づける役割が強い印象だ。

もうひとつ、この時期のScaggsらしさを感じやすいのは、リズムの上で歌を少し後ろに置くような曲だ。ビートに対してきっちり乗せ切らず、わずかに引っ張るような歌い方が、曲に余裕を作る。こうした処理は後年の洗練された作品にもつながっていく要素で、ここではまだ素朴さを残しつつ試されているように聴こえる。

1971年オリジナル盤としての魅力

このUS盤はColumbiaのC 30454番で、1971年当時のオリジナル仕様にあたる。70年代初頭のColumbiaのLPらしく、作品そのものの時代感がそのまま残る一枚だ。のちの再発盤で聴く場合でも曲順や内容は同じだが、オリジナル盤では当時の録音とプレスの雰囲気がより素直に伝わる。特にこの時期のロック作品は、音の押し出しや中域の出方で印象が変わることがあるので、作品の年代をそのまま感じたい人には意味のある盤といえる。

『Moments』は、Boz Scaggsのキャリアの中で大ヒット作ほど広く語られるアルバムではないが、初期の方向性を知るには外せない。後年の洗練されたイメージだけで捉えると見落としやすい、素朴さと手触りのある演奏がここにはある。70年代アメリカン・ロックの流れの中で、Scaggsがどのように自分の歌を形にしていったか、その途中経過を聞ける作品だ。

トラックリスト

  1. A1 We Were Always Sweethearts 3:27
  2. A2 Downright Women 4:36
  3. A3 Painted Bells 4:00
  4. A4 Alone, Alone 3:40
  5. A5 Near You 4:59
  6. B1 I Will Forever Sing (The Blues) 5:13
  7. B2 Moments 4:35
  8. B3 Hollywood Blues 2:40
  9. B4 We Been Away 3:40
  10. B5 Can I Make It Last (Or Will It Just Be Over) 5:24

動画

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