Claudio Simonetti's Goblin / Daemonia - George A. Romero's Dawn Of The Dead (2018)
Claudio Simonetti's Goblin / Daemonia「George A. Romero's Dawn Of The Dead」について
イタリアのロック/サウンドトラック文脈を語るうえで、Claudio Simonettiの名前は外せない。Goblinの中心人物として知られる彼が、Daemoniaの流れを受けながら展開してきたプロジェクトがClaudio Simonetti's Goblinで、この作品「George A. Romero's Dawn Of The Dead」は、その名の通りジョージ・A・ロメロ監督の代表作「Dawn of the Dead」に向けた演奏を収めた一枚になる。リリースは2018年、レーベルはイタリアのRustblade。映画音楽、プログ・ロック、ダーク寄りのインストゥルメンタルを横断する同レーベルのラインらしい企画盤として見てよさそうだ。
Goblinといえば、70年代イタリア映画音楽の中でも特に強い存在感を持つグループで、ホラーやサスペンス映画に独特の緊張感を与えてきたことで知られる。Claudio Simonetti's Goblinは、その系譜を現在形で引き継ぐ編成であり、単なる懐古ではなく、ライブ感のある演奏で過去の楽曲を再提示する役割も担っている。この作品も、そうした文脈の中に置くと見えやすい。
作品の位置づけ
「Dawn of the Dead」は、映画本編と切り離せない音楽の記憶を持つ作品だ。Goblinの音楽は、映像の不穏さや停滞感をそのまま音にしたような設計で、旋律よりも反復、和声よりも圧、推進力よりも粘りを前面に出す場面が多い。Claudio Simonetti's Goblin名義でのこの演奏は、そうした原曲の骨格を保ちながら、現行編成のバンドとして鳴らすところに意味がある。オリジナルの再現だけに寄せるというより、今のGoblinがどう鳴るかを確認するための記録として読める。
アーティストの流れで見ると、Goblin解散後にDaemoniaが組まれ、その後にClaudio Simonetti's Goblinへとつながっていく経緯がある。つまりこの名義は、過去の遺産を整理して終わらせるためではなく、ライブと録音の両面で継続していくための現在形の看板といえる。2018年盤としてのこのタイトルも、その延長線上にある一作。
アルバム全体の聴きどころ
この種の作品では、音像の厚みとリズムの立ち方がまず印象を左右する。Goblin系の演奏は、ベースのうねり、ドラムの執拗な前進、キーボードの反復が重要で、ギターやシンセのフレーズがそこに重なることで、映画の場面を呼び戻すような構造になる。本作も、そうした要素が前に出るタイプの記録として受け取れる。スタジオ作品というより、演奏の手触りが見えるタイプのアルバムという印象。
また、イタリアのプログ・ロックや映画音楽の系譜を知る耳で聴くと、Goblin特有の構成感がよくわかる。単純なロック・バンドの演奏ではなく、シーンごとの緊張と解放を組み立てる感覚がある。Ennio Morriconeのような旋律主体の映画音楽とも、同時代のイタリアン・プログの技巧派とも少し違う立ち位置で、ホラー映画のための音楽をバンドのダイナミズムで押し出すところがGoblinらしさになっている。
代表曲・注目曲
「Dawn of the Dead」関連の演奏でまず注目されるのは、作品全体のテーマを象徴する曲だ。映画の印象と結びついて記憶されるメインテーマは、単体で聴いても反復の強さが残る。Claudio Simonetti's Goblinの演奏では、そのフレーズが“懐かしい旋律”としてだけでなく、バンドの推進力を試す素材として機能しているように感じられる。音の重心が低く、ベースとドラムが前に出ることで、テーマの持つ不安定さがよりはっきりする。
もうひとつ見逃しにくいのが、場面転換を支えるようなインタールード的な曲や、緊張を引き伸ばすタイプのナンバーだ。Goblinの作品は、派手な見せ場だけでなく、短いフレーズをどこまで持続させるかに面白さがある。このアルバムでも、音数を詰め込みすぎず、同じモチーフを少しずつ変化させながら進める箇所に、バンドの持ち味が出る。映画音楽としての機能性と、プログ・ロックとしての演奏性が重なる部分。
オリジナル盤と2018年盤の見え方
2018年のRustblade盤として見ると、この作品は現行のクラウディオ・シモネッティ陣営による再演・再提示の意味合いが強い。オリジナルの映画音楽を参照しつつ、2010年代の編成で再構築した記録として置くとわかりやすい。アナログ盤としての体裁も含め、映画音楽コレクターやイタリアン・プログの流れを追う人の目線に合うタイトルだろう。
総じて、「George A. Romero's Dawn Of The Dead」は、Goblinの遺産を現在のバンド名義で鳴らした作品として位置づけられる。ホラー映画音楽の記憶、イタリアン・プログの演奏力、そしてClaudio Simonettiの継続的な活動が重なった一枚。映画のファンだけでなく、Goblinというバンドの変遷を追ってきた人にとっても、どの時点のGoblinが鳴っているのかを確かめるうえで興味深い記録になっている。
トラックリスト
- A1 L'alba Dei Morti Viventi
- A2 Zombi
- A3 At The Safari
- A4 Torte In Faccia
- A5 Zaratozom
- A6 La Caccia
- B1 Tirassegno
- B2 Oblio
- B3 Risveglio
- B4 Zombi Sexy
- B5 Supermarket
- B6 L'alba Dei Morti Viventi (Live In Tokyo)
- B7 Zaratozom (Live In Helsinki)
動画
- Claudio Simonetti - L'Alba Dei Morti Viventi (Dawn of the Dead) (Vinyl Edition)
- George A. Romero's 'Dawn of the Dead' - Full Vinyl Soundtrack by Goblin
- Dawn of the Dead - 40th Anniversary Limited Coloured Vinyl Edition - Unboxing
- Dawn of the Dead - Soundtrack Tribute (Goblin cover)
- Claudio Simonetti's Goblin -Dawn Of The Dead (40th Anniversary Edition Soundtrack on Colored Vinyl)