Dermot Kennedy - Sonder (2022)
Dermot Kennedy 2022

Dermot Kennedy - Sonder (2022)

Pop

Dermot Kennedy『Sonder』とは

Dermot Kennedyの『Sonder』は、2022年にリリースされたフルアルバムで、Island Recordsから出た作品だ。アイルランド・ダブリン出身のシンガーソングライターであるKennedyは、もともと弾き語りを軸にした楽曲で注目を集め、その後、ポップ・ロックの文脈でも広く知られるようになった。本作は、そうしたソロ・アーティストとしての輪郭がかなりはっきり見える一枚で、デビュー以後に積み上げてきた表現を、より大きなスケールでまとめた作品という位置づけで聴ける。

タイトルの『Sonder』は、他者も自分と同じように複雑な人生を生きている、という感覚を指す言葉として知られている。アルバム全体を通しても、その視点はわりと分かりやすく、内省だけに閉じず、他者との距離感や関係性を意識した曲が並ぶ印象がある。2022年という時期に、ポップの大きな流れの中でこうした感情の置き方をした作品として見ると、Kennedyの立ち位置がつかみやすい。

作品の位置づけ

Dermot Kennedyは、2019年の『Without Fear』で大きく存在感を広げたあと、この『Sonder』で次の段階に進んだ形になる。前作で広く知られるようになったメロディの強さや、声の押し出しの強さはそのままに、曲ごとの表情はさらに整理されている。大きな会場で鳴らすことを前提にしたようなスケール感がありつつ、歌詞の中心には個人的な視点が残る。そのバランスがこの人らしさでもある。

同時代のポップ・シンガーソングライターの中では、Ed Sheeranのようなアコースティック感覚や、Lewis Capaldiのような感情の直進性と比較されることがあるタイプだが、Kennedyはもう少し陰影のある歌い方をする。勢いで押し切るというより、言葉を置いてから声を広げる場面が多く、曲の中で呼吸が残る。そうした点が、アルバム単位で聴いたときのまとまりにもつながっている。

収録曲の聴きどころ

このアルバムでまず触れておきたいのは、先行曲としても知られた「Something to Someone」だ。タイトル通り、誰かにとっての意味を持つこと、あるいは自分の居場所を見つけることが主題として前に出てくる。Kennedyの曲は、フレーズ単位で言葉を強く押し出す場面が多いが、この曲でもメロディの上昇と歌詞の切実さがきれいに噛み合っている。サビに向かう流れは分かりやすく、アルバムの入口として機能している。

「Something to Someone」は、彼の持ち味である大きなコーラスの作り方がよく出た曲でもある。声を重ねて厚みを作る場面があり、アコースティック寄りの出発点から、より広いポップの会場へ移していくような構成。実際に聴くと、言葉の温度を保ったまま音像だけが広がっていく感じがあり、派手さよりも積み上げで聴かせるタイプの曲だと分かる。

もうひとつの注目曲として「Kiss Me」も外しにくい。タイトルの印象よりも、実際には感情の揺れや未練のようなものが前面に出る曲で、Kennedyのボーカルの粘りがはっきり出る。派手な展開を連発するのではなく、同じ言葉や旋律の感触を少しずつ変えながら進む作りで、アルバム中でも耳に残りやすい。シングルとしての分かりやすさと、彼らしい切なさの両方が入っている。

「Something to Someone」と「Kiss Me」の2曲を軸に聴くと、『Sonder』が単なるヒット曲集ではなく、感情の種類をならべていくアルバムだと見えやすい。強いフックを持つ曲がありつつ、その周辺で静かに歌う曲も配置されていて、全体の温度差が大きすぎない。そこが本作の聴きやすさにつながっている。

サウンドと聴き味

『Sonder』の音作りは、アコースティックな手触りを残しながら、ドラムやシンセの処理で現代的なポップの広がりを持たせたものになっている。Kennedyの歌声はもともと前に出るため、編曲が過剰に混み合うと歌の輪郭がぼやけやすいが、このアルバムではそのあたりの整理が比較的うまくいっているように聴こえる。静かな導入からサビで一気に持ち上げる構成も多く、ライブ映えを意識した作りだと感じられる。

アルバム全体を通すと、強い感情を直接ぶつける曲と、少し引いた距離から心情を見つめる曲が交互に置かれている。結果として、一本調子にはなりにくい。ポップの分かりやすさを持ちながらも、歌詞の視点が比較的個人的である点は、この人の作品を追ううえで分かりやすい特徴だ。

2022年盤としての特徴

今回の盤は2022年リリースのヨーロッパ盤で、限定仕様の別アートワークが用意されている。さらに、一部にはアーティストの公式ストア由来のサイン入りインサートが付属していたという点も記録されている。コレクション面では、通常盤とは見た目の印象が異なることがあり、作品の初出時期をそのまま反映したアイテムとして扱える。

Island Recordsからのリリースという点も、この作品の広がり方を示している。長い歴史を持つレーベルから出たポップ作品として、国際的な流通を前提にした存在感がある。Dermot Kennedyにとって『Sonder』は、前作で広げた知名度を受けて、より大きなスケールで自分の歌を提示したアルバムとして聴くのが自然だろう。メロディ、声、言葉、その3つの軸が見えやすい一枚である。

トラックリスト

  1. A1 Any Love
  2. A2 Something To Someone
  3. A3 Kiss Me
  4. A4 Dreamer
  5. A5 Innocence And Sadness
  6. A6 Divide
  7. B1 Homeward
  8. B2 One Life
  9. B3 Better Days
  10. B4 Already Gone
  11. B5 Blossom

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