Duran Duran - Carnival (1982)
Duran Duran 1982

Duran Duran - Carnival (1982)

Electronic Rock Pop Rock New Wave Synth-pop

Duran Duran『Carnival』について

Duran Duranは、1980年代の英国ポップを代表するバンドのひとつだ。1980年にバーミンガムで結成され、ニュー・ウェイヴ、シンセ・ポップ、ポップ・ロックを軸にしながら、12インチ・シングル文化と強く結びついた作品を多く残してきた。『Carnival』は、そうしたバンドの初期シングル群を別の形でまとめた編集盤で、1982年のオリジナル時点では、アルバム本編とは少し違う角度からDuran Duranの魅力を見せる内容になっている。

この盤は日本盤として1983年にリリースされた。EMIの品番はEMS-50125。Duran Duranの日本盤は、当時の国内リリースらしく、海外盤の空気感をそのまま持ち込みつつ、コレクションとしてのまとまりも意識された作りになっている。オリジナルの時点での作品年は1982年で、バンドが世界的な人気を広げていく途中のタイミングに置かれる1枚だ。

作品の位置づけ

『Carnival』は、Duran Duranの初期シングルから、12インチ盤で展開されたリミックスや拡張版、いわゆるNight Versionを中心に構成された編集盤。つまり、アルバム『Duran Duran』『Rio』のような通常の曲順で聴く作品というより、クラブ向け、あるいはシングル市場向けに作られた音源を集めた性格が強い。バンドの初期像を知るうえでは、曲そのものだけでなく、当時のダンス・ミュージック寄りの編集感まで含めて確認できる内容だ。

1980年代前半の英国では、ニュー・ウェイヴとシンセ・ポップがポップ・チャートへ深く入り込んでいた。Duran Duranはその中でも、鋭いリズムと洗練された音像を持ちながら、ロックバンドとしての輪郭も保っていた点が特徴的だ。同時代のアーティストでいえば、Spandau BalletやABCのような都会的なポップ感、あるいはUltravoxやJapanのようなシンセ主体の美意識と並べて語られることが多いが、Duran Duranはそこにファンク寄りのグルーヴを加えていたところがはっきりしている。

聴きどころ: 「Girls on Film」

この作品でまず注目したいのは「Girls on Film」だ。Duran Duranの初期を代表する曲で、バンドの名前を広く知らしめた重要曲のひとつ。オリジナルのシングル版でも印象的だが、ここでは12インチ由来の編集によって、リズムの推進力が長く保たれ、曲の持つクラブ感が前に出る。マスターノートにもある通り、コンチネンタル・ヨーロッパ盤ではイントロにカメラの音が入る別バージョンになっている。映像やモデル撮影のイメージと結びついたこの曲らしい仕掛けで、楽曲のテーマをそのまま音に落とし込んだような作りだ。

実際に聴くと、ベースとドラムの絡みがかなり目立つ。ギターは前面に出すぎず、シンセの線も細かく重ねられていて、全体として「踊らせるためのロック」という感触が強い。Duran Duranの初期曲が、単なるアイドル的なポップではなく、クラブとロックの中間に位置していたことがよく分かる箇所だ。

聴きどころ: 「Planet Earth」

もうひとつの軸になるのが「Planet Earth」。こちらはDuran Duranのデビュー初期を象徴する曲で、バンド名を広げた最初期の代表曲として扱われることが多い。シンセのフレーズ、タイトなリズム、Simon Le Bonのボーカルが前に出る構成で、当時の英国ポップの空気をそのまま切り取ったような仕上がりだ。Night Version系の編集で聴くと、曲の骨格がよりはっきり見えてくる。

この曲は、後の大ヒット曲ほど派手な展開を持たない一方で、バンドの基本線をかなり早い段階で示している。メロディの分かりやすさと、サウンドの機械的な精度が両立していて、のちの『Rio』期へつながる入口としても重要だ。初期Duran Duranの「都会的」「映像的」と言われる印象は、この曲からすでに形になっている。

編集盤としての聴き方

『Carnival』は、アルバムの代表曲を順番に追うというより、シングル文化の中でDuran Duranがどのように音を拡張していたかを見る作品だ。12インチ盤のNight Versionは、当時のクラブ・ユースを意識した長めの構成になっており、同じ楽曲でも通常盤とは印象が変わる。短いポップソングを、そのままラジオで終わらせず、長いリズムの流れに乗せて聴かせる発想が前面にある。

日本盤の1983年リリースは、バンドの人気が本格化していく時期の国内流通盤としても意味がある。オリジナルの1982年版と比べると、基本的には同系統の編集内容を日本向けにパッケージしたものとして捉えやすい。Duran Duranの初期を、ヒット曲単体ではなく、当時の12インチ・シーン込みで確認できる1枚だ。

まとめ

『Carnival』は、Duran Duranの初期シングルの魅力を、リミックスとロング・バージョン中心で整理した編集盤だ。バンドのポップな側面だけでなく、クラブ・ミュージックとの接点、ニュー・ウェイヴ期の編集感、そして映像的なイメージ戦略まで見えてくる内容になっている。代表曲「Girls on Film」や「Planet Earth」を通して聴くと、1980年代前半のDuran Duranがどの地点から広がっていったのかが、かなり分かりやすい。

トラックリスト

  1. A1 Rio (Pt. II) 5:02
  2. A2 Hold Back The Rain (Re-Mix) 7:03
  3. A3 My Own Way 6:34
  4. B1 Hungry Like The Wolf (Night Version) 5:11
  5. B2 New Religion 5:13

動画

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