Fancyfluid - Weak Waving (1990)
Fancyfluid『Weak Waving』(1990)について
Fancyfluidの『Weak Waving』は、1990年にフランスのMuseaから登場した作品で、イタリアのネオ・プログレ・バンドが残した初期の重要作として位置づけられるタイトルだ。アーティスト情報では、活動時期は1988年から1997年、拠点はトリノとされており、90年代初頭のヨーロッパ・プログレ文脈の中で生まれた一枚として見ることができる。Museaはフランスのプログレ系レーベルとして知られ、当時の新作と過去作の両方を丁寧に扱っていたレーベルで、この盤もその流れの中にある。
収録内容の詳細な曲順や各曲の資料は手元では確認しきれないが、バンドのメンバーにはFabrizio Goria、Sandro Bruni、Lorenzo Ribola、Paolo Annone、Roberto Pasquino、Aldo Vianzone、Gianfabio Cappelloの名が並ぶ。複数メンバーによるアンサンブルを前提にした編成で、ネオ・プログレらしい合奏感や、楽器ごとの役割分担が見えやすいタイプの作品として受け取れる。
Musea盤としての意味合い
リリース元のMuseaは、1980年代半ばにフランスで立ち上がったプログレ系レーベルで、フレンチ・プログレやジャズロック、関連する新しい音楽を広く扱ってきた。1990年という時期にこのレーベルから出たことは、当時のヨーロッパでプログレが単なる過去の様式ではなく、現在進行形の表現として流通していたことを示す一例でもある。特にイタリア勢とフランスのレーベルの組み合わせは、90年代のネオ・プログレを追ううえでよく見かける流れだ。
オリジナルが1990年盤そのものなので、再発盤との比較ではなく、まずこの時点での作品の輪郭を押さえるのが自然だろう。Museaのカタログの中でも、同時代のプログレ作品として扱われるタイプで、コレクター目線だけでなく、90年代初頭のジャンルの動きを知る手がかりにもなる。
作品の聴こえ方と印象
実際に耳を通すと、ネオ・プログレらしく、演奏の組み立てを追う楽しさが前に出る印象になりやすい。派手な一発芸よりも、フレーズの受け渡しや展開の切り替え、リズムの置き方に耳が向くタイプだ。曲が進むにつれて小さなパートが積み重なり、そこでメロディや和声の輪郭が少しずつ見えてくる作りが特徴的に感じられるはずだ。
また、1990年という年代を考えると、70年代黄金期のプログレをそのままなぞるのではなく、より整理された音像や、当時の録音感覚の中で組み立てられた演奏がポイントになりやすい。イタリアのネオ・プログレは、PFMやBanco、Le Ormeといった先行世代の影響を引きながらも、より後年のアレンジ感を持ち込むことが多く、Fancyfluidもその系譜の中で捉えやすい。
同時代の文脈
90年代初頭のイタリア・プログレは、70年代の遺産を参照しながら、独自に再構築する動きが目立った時期でもある。Fancyfluidのようなバンドは、その中でメジャー市場の中心にいる存在というより、専門レーベルを通じて作品を残すタイプとして見えてくる。Museaがこの種の音源を積極的に扱っていたことは、フランスを起点にヨーロッパ各地のプログレが相互に流通していた状況をよく表している。
そのため『Weak Waving』は、単独で語るよりも、同時代のイタリア勢、さらにMusea周辺のカタログと並べて見ると輪郭がはっきりする。プログレッシブ・ロックという枠組みの中で、90年代らしい録音、演奏、流通の形を示す一枚として受け止めやすい作品だ。
まとめ
『Weak Waving』は、Fancyfluidが活動初期に残した1990年の作品であり、フランスのMuseaから届けられたイタリア・ネオ・プログレの一例として位置づけられる。作品全体としては、メンバー編成を生かしたアンサンブル、展開を重ねる構成、専門レーベルならではの流通背景が見どころになる。90年代初頭のヨーロッパ・プログレの空気を知るうえで、ひとつの具体的な記録と言える盤だ。
トラックリスト
- A1 Jester's Jest 7:22
- A2 The Legend Of Cefalus 8:12
- A3 The Coming 8:34
- B1 Man At The Door 9:57
- B2 Carnac 12:36