FM - Surveillance (1979)
FM 1979

FM - Surveillance (1979)

Rock Prog Rock

FM『Surveillance』について

FMは、カナダ・トロントで結成されたプログレッシブ・ロック・バンドで、1970年代後半から活動を続けてきたグループだ。『Surveillance』は1979年にUSのAristaから出た作品で、バンドの初期ディスコグラフィーの中でも、スペースやSF的な感覚を軸にした作風をはっきり示す1枚として位置づけられる。FMという名前は短いが、演奏の組み立てはかなり緻密で、シンセやギターを中心にした展開の中に、当時のプログレらしい構成美が見える作品である。

この時期のFMは、メンバー交代の多いバンドとして知られるが、中心人物が一貫してグループを支えている。そのため、作品ごとに音の輪郭は変わりつつも、宇宙感や機械的なイメージを伴うテーマ性は比較的はっきりしている。『Surveillance』も、その流れの中にあるタイトルで、バンドの初期から中期へ向かう入口のような位置にある。

1979年というタイミング

1979年のプログレ・ロックは、70年代前半の大作志向から少し距離を取りつつ、よりタイトな曲構成や、シンセサイザーを前面に出したサウンドへ移り始めていた時期でもある。FMの『Surveillance』もその空気をまとっていて、長尺で押し切るだけではなく、曲の中に明確なフックやリフを置きながら進む印象がある。カナダのバンドらしい端正さと、英国プログレの影響を感じさせる組み立ての両方が見えるあたりが面白い。

同時代のバンドでいえば、同じくシンセを生かしたドラマ性を持つYes系統や、硬質なリフと構成力を両立させるRush周辺の文脈と並べて語られることはありそうだ。ただしFMは、よりコンセプト色と近未来的な題材に寄った側面が強く、音の作りも含めて独自の立ち位置を持っている。

作品の内容と聴きどころ

この盤は、印刷インナー・スリーブ付きで発表され、クレジット面も含めて1979年当時のLPらしい仕様になっている。レーベルはAristaの1979年仕様で、同年のデザイン変更が反映された盤面という点も、コレクション面では分かりやすい特徴だ。制作クレジットにはJake Productions、発行はPassport Records表記があり、楽曲はVenerable Music管理となっている。こうした表記からも、バンドが北米のロック流通の中で展開していたことがうかがえる。

音の面では、ベースやドラムが前に出る場面と、シンセが空間を広げる場面の切り替えが聴きどころになる。ギターはむやみに派手ではなく、フレーズの切れ味で曲を押していくタイプで、そこにボーカルが乗ることで、SF的な題材が単なる装飾ではなく曲の推進力になっている。演奏はきっちりしていて、各パートが同時に鳴っても混乱しにくい。プログレとしての組み立てが見えやすいタイプのアルバムだ。

収録曲の中で注目したいポイント

収録曲の中では、まずシングル性のある曲が耳に残りやすい。FMはこの時期、難解さだけに寄らず、比較的わかりやすいメロディを置くことがあるので、アルバム全体の流れの中でも入口になりやすい楽曲がある。そうした曲では、サビの抜け方よりも、リズムの刻み方やシンセの重ね方に個性が出る。単純に歌で押すのではなく、アンサンブルのまとまりで覚えさせる作りだ。

一方で、展開の長い曲では、FMらしいSF的な空気がよりはっきり出る。音が前進していく感覚と、途中で一度引いて空間を作る感じの組み合わせがあり、アルバムの中で最も「バンドらしさ」を感じやすい部分でもある。リスナーによっては、こうした曲の方にこの作品の中心を見出すかもしれない。派手な技巧の見せ場というより、曲全体の流れをどう組み立てるかに重きがある。

代表曲として触れておきたい点

『Surveillance』はタイトル曲としての印象が強く、作品全体の方向を示す役割を持っているように聴こえる。監視や視線といったテーマは、70年代末のテクノロジー感覚とも相性がよく、バンドの持つ近未来的なイメージを短い言葉でまとめている。音の作りも、そのテーマに沿って整理されていて、無機質さとロックの推進力が同居している。

また、アルバム中には古典曲の引用も含まれており、楽曲のつながり方に70年代ロックらしい遊びが見える。こうした要素は、単にオリジナル曲を並べるだけではないFMの構成感を示す部分でもある。アルバム単位で聴くと、曲ごとの個性よりも、全体で1つの世界を作ることを意識した作りだと受け取れる。

まとめ

『Surveillance』は、FMの初期の方向性を知るうえで重要な1979年作だ。カナダ出身のプログレ・バンドとしての端正さ、SF的な題材、そして70年代末らしいシンセ中心のロック・アレンジがまとまった1枚である。大仰に語るより、演奏と構成の積み重ねで聴かせるタイプの作品で、FMというバンドの輪郭がつかみやすいアルバムと言えそうだ。

トラックリスト

  1. A1 Rocket Roll 3:29
  2. A2 Orion 1:33
  3. A3 Horizons 4:21
  4. A4 Random Harvest 4:36
  5. A5 Shape Of Things 3:07
  6. B1 Seventh Heaven 5:39
  7. B2 Father Time 4:23
  8. B3 Sofa Back 3:01
  9. B4 Destruction 6:00

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