Fred Katz - The Little Shop Of Horrors (1984)
Fred Katz 1984

Fred Katz - The Little Shop Of Horrors (1984)

Jazz Stage & Screen Soundtrack

Fred Katz『The Little Shop Of Horrors』について

Fred Katzは、チェロ奏者、作曲家、編曲家、指揮者として知られる音楽家で、ジャズと映像音楽のあいだを行き来してきた人物だ。クラシックの訓練を受けたうえで、Chico Hamilton Quintetでチェロを前面に出した演奏と作曲を担い、その後は映画やテレビ、舞台の領域でも仕事を重ねている。そんな彼の名義で1984年に登場したのが『The Little Shop Of Horrors』で、タイトル通り『Little Shop of Horrors』の音楽を扱う作品として位置づけられる。

この作品は、Fred Katzの活動歴のなかでも、映像作品向けの音楽性が前に出る一枚として見ることができる。ジャズの作曲家としての輪郭と、劇伴や舞台音楽で培った構成感が重なる内容で、単なるサウンドトラックというより、彼の仕事の幅を示す記録としても興味深い。1984年のUS盤としてRhino Recordsから出ている点も重要で、Rhinoが80年代に力を入れていた再発・編集的な仕事の流れの中にある一枚でもある。

Rhino Records盤としての1984年リリース

レーベルはRhino Records、カタログ番号はRNSP 304。Rhinoは当時、再発やコンピレーションに強いレーベルとして知られ、80年代半ばには旧作の掘り起こしや音源整理で存在感を増していた。『The Little Shop Of Horrors』も、その文脈のなかで受け止めやすいタイトルだ。1984年という年は、RhinoがCD展開を始めた時期とも重なっており、同レーベルのカタログ拡張の流れを感じさせる。

オリジナル作品として見ても、サウンドトラックという形式はFred Katzの経歴に自然につながる。彼はChico Hamilton Quintetでの活動で、室内楽的な響きとモダンジャズの間を行き来する書法を示してきたが、本作ではその経験が映像音楽の文脈に収斂している。ジャズの即興性よりも、場面ごとの切り替えやテーマの整理が前に出る作りで、作曲家としての手際が見えやすい。

作品の聴きどころ

『The Little Shop Of Horrors』でまず目に入るのは、曲そのものの派手さよりも、場面を支える役割に徹した書き方だ。ホラー、コメディ、舞台性が混ざる題材だけに、音楽も一方向には寄らず、軽さと不穏さのあいだを往復する。Fred Katzの作品らしく、響きの整理がきっちりしていて、音の数を増やしすぎずに雰囲気を作る場面が多い。

とくに注目したいのは、主題の扱い方だ。作品全体を通して、ひとつのモチーフを場面ごとに変形させながら使っていくタイプの書法が目立つ。サウンドトラックとして聴くと、旋律が前に出る場面と、伴奏的に流れる場面の切り替えが明確で、映像の展開に合わせた設計が伝わってくる。ジャズ奏者の仕事というより、作曲家としての整理された筆致が印象に残る。

『Little Shop of Horrors』という題材との相性

『Little Shop of Horrors』は、もともとブラック・コメディ寄りの題材として扱われてきた作品で、音楽もその性格を背負うことになる。Fred Katzの音楽は、その場の笑いを強調しすぎず、かといって怖さを単独で引っぱりすぎることもない。こうしたバランスは、舞台や映像のために音楽を書いてきた彼ならではのものとして捉えやすい。

同時代のサウンドトラックと比べると、ロックやポップのヒット曲で押すタイプではなく、編成や和声の組み立てで場面を支える方向に重心がある。ジャズ畑の作曲家でありながら、映画音楽としての機能をきちんと優先しているところが、この作品の性格をはっきりさせている。聴き進めると、派手な展開よりも、短いフレーズの積み重ねで画面の空気を作る仕事ぶりが見えてくる。

Fred Katzのキャリアのなかで

Fred Katzは、ジャズの演奏家としてだけでなく、作編曲家としても活動の幅が広かった人物だ。Chico Hamilton Quintetでの仕事は彼の代表的な実績のひとつだが、その後の映画・舞台・放送向けの仕事を考えると、『The Little Shop Of Horrors』はそうした後半の活動を示す資料としても読める。チェロを含む室内楽的な感覚、ジャズ由来の運び、そして舞台音楽的な明快さが、ここではひとつの形にまとまっている。

1984年のUS盤としてRhinoから出た本作は、80年代の再評価の流れのなかで手に取られた一枚とも言える。作品そのものは派手に自己主張するタイプではないが、Fred Katzという音楽家が、ジャズの枠を超えて映像音楽へどのように関わっていたかを確認できる内容になっている。サウンドトラックとしての機能性と、作曲家の個性が同居するタイトル。

トラックリスト

  1. A1 The Little Shop Of Horrors (Main Title) 2:30
  2. A2 Music For Old Invalids 1:58
  3. A3 Sick Room Serenade 2:11
  4. A4 Moonlight On Skid Row 1:58
  5. A5 Feed Me! 0:45
  6. A6 Another Drop 0:17
  7. A7 Looking For Food 1:02
  8. A8 The Passionate People Eater 3:38
  9. A9 Feed Me More! 1:39
  10. A10 Fancy Schmancy Dinner Music 2:31
  11. B1 The Krelboined Bop 2:00
  12. B2 Fooooood! 1:32
  13. B3 Unpleasant Surprise 1:01
  14. B4 How's The Rain On The Rhubarb? 2:34
  15. B5 In Memory Of Luther Burbank 2:44
  16. B6 Schmendrick Theme 0:32
  17. B7 Blink, Blink 1:19
  18. B8 Shut Up And Bring On The Food! 1:13
  19. B9 Babysitting For Junior 0:46
  20. B10 Sexy Audrey Senior 0:56
  21. B11 Exciting Chase Sequence 2:23
  22. B12 Full Bloom 0:26
  23. B13 I Didn't Mean It (The End) 0:17

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