Friedhof - Friedhof (1973)
Friedhof『Friedhof』(1973) について
Friedhofの『Friedhof』は、1973年にドイツでリリースされたセルフタイトル作で、Nienburg/Weser出身のトリオが残した唯一のアルバムとして知られている。レーベルはSound-Star-Ton、カタログ番号はSST 0103。ローカルなアンダーグラウンド・バンドが、当時のドイツでどのように鳴っていたかをそのまま切り取ったような一枚で、KrautrockとPsychedelic Rockの文脈で語られることが多い。
この作品の特徴は、まず演奏編成のシンプルさにある。Rainer Bartl、Ernst-Ulrich Freitag、Norbert Schulzの3人によるインストゥルメンタル中心の内容で、全体を通してギター、ベース、ドラムのぶつかり合いが前面に出る。とくにErnst-Ulrich Freitagのギターは、細かなフレーズを積み重ねるというより、長く伸ばした音や勢いのあるソロで曲を押し切る場面が目立つ。録音はかなりラフで、音の輪郭が整った作品ではないが、そのぶん演奏の熱量が直接伝わってくるタイプのアルバムだ。
アーティストとしての位置づけ
Friedhofは1970年代初頭のローカルなアンダーグラウンド・トリオで、アルバムを1枚だけ残して姿を消した存在として扱われている。大きなシーンの中心にいたバンドではなく、地域性の強い小規模な活動から生まれた作品という印象が強い。そうした背景もあって、この1枚はバンドの代表作であると同時に、実質的な全記録でもある。作品単位で語られることが多いのは、そのためだろう。
同時代のドイツ・ロックの中では、Jimi Hendrix以降のギターバンド的な感覚と、より実験的な長尺構成の両方が見える。CanやAmon Düül IIのような流れを思わせる部分もあるが、Friedhofの場合はよりストレートにバンドの生演奏感が前に出る。構成の整ったプログレというより、即興の勢いとヘヴィさで押していく場面が多く、その点がこの作品の個性になっている。
アルバム全体の聴こえ方
全曲を通して、演奏はかなり攻撃的だ。特に10分超の曲が2曲入っている点は、このアルバムの性格をよく示している。短い楽曲を積み重ねるのではなく、ひとつのモチーフを引き延ばしながら、途中でテンションを上げていく作りが目立つ。旋律が明快に整理されるというより、反復と崩しが交互に現れ、曲の進行そのものが少しずつ形を変えていく感触がある。
音像は荒いが、ただ粗いだけでは終わらない。ベースとドラムが土台を保ちながら、ギターが上から切り込んでいくため、演奏の密度は高いまま進む。聴感上はかなり詰まった印象で、空間の広がりよりも、狭い場所で音がぶつかり合っているような感触が残る。こうした録音の質感も含めて、1973年という時代のローカル盤らしさが出ている。
注目曲について
この作品では、長尺曲が中心的な存在になっている。とくに10分以上に及ぶ楽曲は、Friedhofの演奏スタイルを端的に示す場面として重要だ。ひとつのテーマを提示してから、ギターのソロとリズムの推進力で押し広げていく流れがあり、途中で空気が切り替わる瞬間もある。単純なジャムではなく、曲としての起伏を保ちながら進むところに、このバンドの持ち味が見える。
もうひとつの長尺曲も、アルバムの中核にある。こちらは、ヘヴィなリフとインプロヴィゼーションのあいだを行き来するような展開が印象的で、ギターの暴れ方がいっそう前面に出る。メロディが強く歌うというより、フレーズの断片を重ねながら熱を上げていくタイプで、終盤に向けての圧が強い。派手なヒット曲がある作品ではないが、この2曲がアルバムの顔になっているのは確かだ。
まとめ
『Friedhof』は、完成度の高いスタジオ作品というより、70年代初頭のドイツ地方シーンに残った、強い演奏意志の記録として受け止めやすいアルバムだ。演奏はラフで、録音も整っているとは言いにくいが、インストゥルメンタルのハードロックを軸に、サイケデリックな感覚とプログレッシブな展開が同居している。大きな知名度を持つ作品ではないものの、当時のKrautrock周辺の広がりを知るうえで、ひとつの具体的な例として存在感がある一枚だ。
トラックリスト
- A1 Orgasmus
- A2 Nothing At All
- B1 Undertaker's Joy
- B2 Setting Sun
- B3 Clear Blue Sky
動画
- Friedhof - Friedhof (Full Album) 1993
- Friedhof - Nothing At All
- Friedhof - Undertaker's Joy (1973)
- Friedhof - Clear Blue Sky/Bonus Song (1971)
- Friedhof - Orgasmus