Gorillaz - Demon Days (2005)
Gorillaz 2005

Gorillaz - Demon Days (2005)

Electronic Rock Hip Hop Downtempo Leftfield Lo-Fi Trip Hop Pop Rap

Gorillaz『Demon Days』──仮想バンドの代表作としての2作目

Gorillazの『Demon Days』は、2005年にリリースされた2作目のスタジオ・アルバムで、前作『Gorillaz』で打ち出した「アニメーションの架空バンド」という企画を、より大きなスケールで押し広げた作品だ。Damon AlbarnとJamie Hewlettが中心になって作り上げたこのプロジェクトは、ポップ、ヒップホップ、ロック、電子音楽の要素を横断しながら、実在のミュージシャンたちの演奏と、作品世界のキャラクター性を重ねていく構成になっている。

このUK盤はParlophoneからの2005年プレスで、オリジナル期の仕様にあたる。見開きジャケット、内側にクレジットと各曲のイラストが入る作りで、インナースリーブの両面にはバンド“メンバー”の印刷がある。初回盤ではフロントにparent advisory stickerが貼られていたとされ、後発では印刷のみ、あるいはステッカーなしのものも見られる。盤面ごとに別のカタログ番号が振られている点も、この時期の2LP仕様らしいポイントだ。

作品の位置づけ

『Demon Days』は、Gorillazにとって単なるセカンド・アルバムではなく、プロジェクトの輪郭を決定づけた一枚として語られることが多い。前作よりも曲ごとの色分けがはっきりしていて、ラップ、サイケデリックな処理、ゴスペル的なコーラス、ダークなビートが場面ごとに切り替わる。虚構のキャラクター設定が前面にある一方で、音そのものはかなり具体的で、ロンドンの制作環境や当時のオルタナティブ・ポップの空気がきちんと刻まれている。

同時代の文脈で見ると、2000年代前半のヒップホップ以降のビート感や、ブリットポップ以後の英国的なロック感覚、さらにラジオ向けポップの設計が同居している。Massive AttackやUNKLEのようなダークなロック/ビートの混交、あるいはPortishead的な陰影とも比較されやすいが、Gorillazの場合はそこにキャラクター劇の視点が加わる点が独特だ。

音の作りと聴きどころ

録音はKong Studiosと13、ミックスはロンドンのPierce Roomsで行われている。全体を通して、低音の押し出しは強いが、音数はむやみに増やしていない。曲ごとにサンプル、打ち込み、バンド演奏、コーラスが整理され、短いフレーズが印象を残す設計になっている。1枚を通して聴くと、派手なフックだけで引っぱるのではなく、暗い空気と軽いユーモアが交互に出てくる流れが目立つ。

A1「Intro」から「Last Living Souls」への入り方で、アルバム全体の空気がかなり早く見えてくる。冒頭はサンプリングを含む短い導入で、そこからビートと歌が立ち上がる流れ。続く「Last Living Souls」は、メロディの分かりやすさと、どこか落ち着かない質感が同居していて、この作品の基本線を示している。

注目曲

「Feel Good Inc.」

このアルバムを代表する一曲。ベース・ラインの反復と、De La Soulのラップ、2Dの抜けた歌声がはっきり対比される。曲の中心にあるのは、軽いノリで進むのに、聴き終えると妙に引っかかる構造だ。サビのフックは非常に強く、2005年当時のGorillazを広く知らしめた楽曲として扱われることが多い。

音の作りはシンプル寄りだが、空間の使い方がうまい。ラップが前に出た瞬間に、歌の部分が引いていくような配置で、トラック全体に余白がある。MVを含めて作品世界の顔にもなっていて、アルバムの中で最も外向きの曲と言えそうだ。

「DARE」

「DARE」は、アルバム中でも特にダンス寄りの推進力を持つ曲だ。シンセの反復と強いリズムが前面にあり、2Dのボーカルに加えてShaun Ryderの参加が曲の輪郭をさらにくっきりさせている。タイトルの押し出しも含めて、アルバムの中で比較的わかりやすい高揚感を持つ。

ただ、単純に明るい曲というより、機械的な反復の上に声が乗ることで、少し不穏な印象も残る。『Demon Days』全体にある「踊れるのに落ち着かない」感覚が、この曲では特に見えやすい。

「Dirty Harry」

この曲では、軍事的な行進感のあるビートと、Children’s Choirのようなコーラスが重なり、アルバムの中でも重い側の空気を担っている。ラップと歌の切り替えも含めて、Gorillazが単なるポップ・ユニットではなく、政治や社会のイメージを音に織り込むプロジェクトであることを示す一曲だ。

歌詞の内容や映像表現も含め、明るいヒット曲とは別の方向で記憶されやすい。アルバム後半の流れの中で聴くと、作品全体の陰影がここで一段深くなる感じがある。

アルバムとしてのまとまり

『Demon Days』は、ヒット曲の強さと、アルバム全体の流れの両方が成立しているのが大きい。単曲で耳に残る場面が多い一方で、通して聴くと、曲間のつながりや配置の妙が効いている。内装のイラストやキャラクター表記も含め、音だけでなくパッケージ全体で一つの作品になっている印象がある。

Gorillazの作品の中でも、このアルバムは「架空のバンド」という設定を、実際の音楽作品としてどこまで押し広げられるかを示した盤として見られやすい。2005年という時点で、ポップの届き方とアルバム文化の両方を意識した作りになっており、今聴いても曲ごとの役割分担が見えやすい一枚だ。

トラックリスト

  1. A1 Intro
  2. A2 Last Living Souls
  3. A3 Kids With Guns
  4. A4 O Green World
  5. B1 Dirty Harry
  6. B2 Feel Good Inc.
  7. B3 El Mañana
  8. C1 Every Planet We Reach Is Dead
  9. C2 November Has Come
  10. C3 All Alone
  11. C4 White Light
  12. D1 Dare
  13. D2 Fire Coming Out Of The Monkey's Head
  14. D3 Don't Get Lost In Heaven
  15. D4 Demon Days

動画

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