Grover Washington, Jr. - Reed Seed (1978)
Grover Washington, Jr. 1978

Grover Washington, Jr. - Reed Seed (1978)

Jazz Funk / Soul Jazz-Funk Soul-Jazz

Grover Washington, Jr.『Reed Seed』――1978年のジャズ・ファンクを Motown から聴く

Grover Washington, Jr. の『Reed Seed』は、1978年にUSのMotownからリリースされたアルバムである。サックス奏者としてすでに確かな評価を得ていた彼が、ジャズの演奏感とソウル/ファンクの流れを自然につないでいった時期の作品として位置づけられる。Grover Washington, Jr. は1943年生まれ、バッファロー出身のアメリカ人サックス奏者で、ソウル・ジャズからジャズ・ファンクまでをまたぐ活動で知られる人物。『Reed Seed』も、その流れの中で、1970年代後半のクロスオーバーな空気をよく反映している。

レーベルがMotownという点も、この作品を語るうえで重要だ。Motownはソウルやポップの大きな文脈で知られるが、1970年代にはジャズやインストゥルメンタル作品も手がけており、本作はその中でもジャズ・ファンク寄りのタイトルとして耳に残る。録音はペンシルベニア州フィラデルフィアのRidge Sound Studio、マスタリングはニュージャージー州エングルウッド・クリフスのRudy Van Gelder Recording Studioで行われている。レコードとしての仕上がりも、当時のジャズ盤らしい手触りを持つ一枚だ。

作品全体の印象

このアルバムは、派手に押し出すというより、リズムのうねりの中でサックスが前に出たり引いたりする構成が印象に残る。Grover Washington, Jr. の演奏は、音数で圧倒するタイプではなく、フレーズの置き方で楽曲の流れを作っていく方向にある。ソウル・ジャズの分かりやすさと、ジャズ・ファンクの推進力が同居していて、1970年代後半らしい整ったプロダクションも感じられる。

聴き進めると、ホーンの存在感だけで引っ張るのではなく、ベースやドラムの反復が土台を作り、その上でサックスが旋律を組み立てていく構図が見えてくる。音の隙間をきちんと残した作りで、リズム隊の輪郭がはっきり聞こえやすいのも特徴だろう。ジャズ寄りの即興性と、ソウル/ファンクの反復性がぶつからずに並んでいる。

収録曲と注目ポイント

タイトル曲「Reed Seed」は、アルバムの性格をそのまま示すような中心曲である。サックスの音色がまず耳に入り、そこからリズムの流れが立ち上がっていく作りで、Grover Washington, Jr. の持ち味である滑らかなリード感がよく出ている。曲名の通り、管楽器主体のアルバムであることを意識させる一曲で、強いフックを前面に出すというより、曲全体の流れの中でメロディが少しずつ輪郭を持っていくタイプだ。

この曲では、ソウル・ジャズ的な聴きやすさと、ジャズ・ファンクのグルーヴがきれいに接続している。派手な展開よりも、一定のビートの上でサックスが表情を変えるところに耳が向く。Grover Washington, Jr. の作品群の中でも、彼の音楽がいかに都会的で、かつリズム指向であったかを確認しやすい楽曲だと思う。

もう一つの聴きどころは、アルバム全体に通じるリズムの設計である。どの曲も、単独で強烈に主張するというより、曲間の流れの中でテンポ感や質感を変えながら進むため、1枚通して聴いたときの統一感がある。Grover Washington, Jr. のアルバムにしばしば見られる、メロディアスでありながら演奏の骨格がしっかりしている感覚が、本作でもきちんと保たれている。

1970年代ジャズ・ファンクの文脈で

1978年という時代を考えると、『Reed Seed』は、ジャズがファンクやR&Bと距離を縮めていた流れの中にある。Herbie Hancock や Donald Byrd、Roy Ayers などと並べて語られることのある時代性で、インストゥルメンタル音楽がクラブ的な感覚と接続していった時期でもある。Grover Washington, Jr. は、その中でもサックスを軸に、より滑らかでメロディ重視の方向を担っていた印象が強い。

本作は、彼のキャリアの中で、ソウル・ジャズからジャズ・ファンクへの接続を確認しやすい一枚でもある。後年のスムーズな方向性を思わせる耳当たりの良さがありつつ、演奏の芯はしっかりジャズにある。Motownというレーベルの持つソウルの感触と、Grover Washington, Jr. のサックスが持つ柔らかな推進力が、そのまま一つの作品としてまとまっているアルバムだ。

USオリジナル盤の見どころ

このUS盤は1978年の当時リリースで、Motownのレーベル表記やロゴの違いが複数確認されている。ラベル上の配置や表記の細部に差があり、同じタイトルでも複数のバリエーションが存在することがわかる。盤としては、作品そのものに加えて、Motownがジャズ作品を出していた時代の資料性も持っている。Grover Washington, Jr. の音楽を、1970年代後半のレーベル事情込みで見ることができる一枚である。

『Reed Seed』は、Grover Washington, Jr. のサックスが持つメロディアスな強さと、当時のジャズ・ファンクのリズム感が無理なく同居した作品だ。録音からマスタリングまで含めて、1978年の空気がそのまま閉じ込められているような、時代性のはっきりしたアルバムである。

トラックリスト

  1. A1 Do Dat 4:25
  2. A2 Step 'N' Thru 6:13
  3. A3 Reed Seed (Trio Tune) 4:52
  4. A4 Maracas Beach 4:47
  5. B1 Santa Cruzin 6:50
  6. B2 Just The Way You Are 4:43
  7. B3 Loran's Dance 7:38

動画

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