Hawkwind - Levitation (1980)
Hawkwind 1980

Hawkwind - Levitation (1980)

Rock Space Rock

Hawkwind『Levitation』について

Hawkwindの『Levitation』は、1980年に発表された作品で、UKのスペースロック・シーンを代表するバンドが、70年代のサイケデリックな宇宙観を80年代へと持ち込んだ一枚だ。Hawkwindは1969年結成以来、ライヴ志向の強さとSF的な世界観で知られ、メンバーの入れ替わりが激しい一方で、Dave Brockを軸に活動を続けてきた。本作もその流れの中にあり、バンドの持つ推進力と、時代に合わせた音の整理が同居している作品として位置づけられる。

この1987年のCastle Classics盤は、オリジナルの音源を収めた再発盤にあたる。レーベル表記やクレジットからも、1980年のオリジナル録音を英国内で改めて流通させた盤であることが分かる。Hawkwindの作品は再発が多いが、『Levitation』はその中でも、80年代初頭のバンドの変化をつかむうえで重要なタイトルとして扱われることが多い。

80年代のHawkwindにある転換点

『Levitation』の時期のHawkwindは、70年代後半までの混沌とした宇宙ロックから、より締まった演奏とリフ主体の構成へと移っていく途中にある。重心の低いギター、反復するフレーズ、機械的な推進感は残しつつ、曲の輪郭は以前よりはっきりしている。ハードロックやヘヴィメタル寄りの感触も見え、同時代のブリティッシュ・ロックの変化とも響き合う内容だ。

Dave Brockを中心に、Nik Turner、Harvey Bainbridge、Simon King、Tim Blakeらが関わるこの時期の編成は、Hawkwindらしい浮遊感と、バンドとしてのまとまりの両方を意識したものに聴こえる。スペースロックという言葉で想像される広がりだけでなく、リズムの粘りや曲の進行の明快さが前面に出ている点が、この作品の特徴だろう。

収録曲の聴きどころ

「Levitation」

タイトル曲の「Levitation」は、この作品の性格を端的に示す中心曲だ。Hawkwindらしい反復の上に、音が少しずつ積み重なっていく構成で、曲全体が上昇していくような感覚を持つ。派手な展開で押し切るというより、一定のテンポを保ちながら、演奏の密度で引っ張るタイプの曲だ。

同じスペースロックでも、60年代末のサイケデリック・ジャムとは違い、ここではリズムとリフの管理がかなり明確だ。耳に残るのは、派手なメロディよりも、音の層が少しずつ変化していく過程。Hawkwindの中でも、80年代的な整理された攻め方が見える曲として印象に残る。

「Motorway City」

Hawkwindの代表曲として触れられることが多いのが「Motorway City」だ。高速道路を思わせるタイトルどおり、直線的に進むビートとギターの反復が軸になっていて、バンドの持つ機械的な推進力がよく出ている。ライヴでも映えそうな、分かりやすい勢いのある曲調だ。

この曲では、宇宙的なイメージが抽象的な空間表現というより、都市と移動の感覚に結びついているのが面白い。HawkwindはSF的な語彙を使いながらも、実際の音はかなり地に足がついていて、そのズレが独特の魅力になっている。「Motorway City」はその分かりやすい例で、バンドの80年代初頭の方向性を象徴する一曲といえる。

「World of Tiers」ほか

本作には、タイトル曲や代表曲だけでなく、曲ごとにリフの立て方やテンポの置き方を変えながら、アルバム全体の流れを作る楽曲が並ぶ。Hawkwindの作品は、単曲の強さだけでなく、通して聴いたときに同じ質感の中で少しずつ景色が変わるところに味がある。この盤でも、その構成感はしっかり感じられる。

特に、演奏の隙間に入る電子音や空間処理は、70年代の宇宙ロックの名残として機能している。そこに80年代らしい硬さが加わることで、単なる過去作の延長ではない輪郭が出ている。Hawkwindらしさを保ちながら、時代の音へ寄せていく途中の記録として聴ける内容だ。

再発盤としての聴きどころ

1987年のCastle Classics盤は、オリジナル期の作品を改めて手に取りやすくした再発盤としての意味合いが強い。ジャケットやクレジットの違いを含め、当時のHawkwindを別の入口から聴けるのがポイントだ。オリジナルの1980年盤を追う人にとっては時代の資料として、あとから触れる人にとってはバンドの転換点を押さえる一枚として見やすい。

Hawkwindは、同時代のブリティッシュ・ロックの中でも、Pink Floydのような音の拡張性と、よりラフで地上感のあるロックの衝動を同時に持っていたバンドだと言える。その中で『Levitation』は、重さと浮遊感、整理と混沌の間を行き来する時期の作品として、バンドの変化を確認しやすいアルバムになっている。

まとめ

『Levitation』は、Hawkwindの長い活動史の中でも、70年代のスペースロックから80年代のタイトなロックへ移る節目を示す作品だ。タイトル曲や「Motorway City」に見られる反復の強さ、電子音の扱い、演奏の推進力など、バンドの核はしっかり残っている。再発盤であっても、この時期のHawkwindを知るうえでは十分に重要な一枚だろう。

トラックリスト

  1. A1 Levitation
  2. A2 Motor Way City
  3. A3 Psychosis
  4. A4 World Of Tiers
  5. B1 Prelude
  6. B2 Who's Gonna Win The War
  7. B3 Space Chase
  8. B4 The 5th Second Of Forever
  9. B5 Dust Of Time

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