Herbie Hancock - Secrets (1976)
Herbie Hancock 1976

Herbie Hancock - Secrets (1976)

Jazz Funk / Soul Funk Fusion Jazz-Funk

Herbie Hancock『Secrets』(1976)について

Herbie Hancockの『Secrets』は、1976年にUSのColumbiaから発表されたアルバムで、同年リリースのオリジナル盤にあたる作品だ。ハービー・ハンコックは、ジャズ・ピアニスト/キーボーディストとして知られ、1960年代のアコースティック・ジャズで評価を固めたのち、1970年代には電気楽器を前面に出したジャズ・ファンク、フュージョンへと活動の軸を移していく。その流れの中で出た本作は、彼の70年代中盤のサウンドをよく示す1枚として位置づけられる。

レーベルはColumbia、カタログ番号はPC 34280。スパインには「PC 34280」と「COLUMBIA STEREO X698」が印字されており、クレジットには「© 1976 CBS Inc. / ℗ 1976 CBS Inc.」「Manufactured by Columbia Records / CBS Inc.」が確認できる。ジャケットや盤の表記からも、当時のCBS/Columbia系リリースらしい仕様がわかる。

70年代半ばのハービー・ハンコックという文脈

ハービー・ハンコックは、マイルス・デイヴィスのグループで広く知られるようになったのち、自身のバンドでジャズ・ファンクとフュージョンを押し進めた。『Secrets』は、同じ時期の『Man-Child』や『Head Hunters』以後の流れを受けつつ、よりメンバーの演奏の噛み合わせやリズムの推進力が前に出る作品として聴こえる。70年代のジャズ・ファンクは、ウェザー・リポートやリターン・トゥ・フォーエヴァー、あるいはデイヴィス周辺の電化路線とも比較されることが多いが、このアルバムではハンコック独自の鍵盤の置き方と、ファンク寄りのビート処理が軸になっている。

実際に耳を通すと、音の重心はかなり低く、ベースとドラムが曲の骨格を強く支える。その上で、キーボードやエレクトリック・ピアノ、シンセ系の音色が層を作るので、演奏は密度がありながらも、各パートの役割が見えやすい。ジャズの即興性と、当時のファンク・バンドに近い反復感が、同じ曲の中で並走している印象だ。

収録曲の聴きどころ

この作品でまず注目したいのは、タイトル曲「Secrets」だ。アルバム全体の方向性をはっきり示すナンバーで、冒頭からリズムの刻みが前に出てくる。ハンコックの鍵盤が和声を埋めすぎず、隙間を残しながら展開していくため、バンド全体のうねりがよく伝わる。フュージョン寄りの洗練と、ファンクの反復が同居していて、1976年という時代の空気がそのまま音になったような曲だ。

「Doin' It」も、このアルバムを語るうえで外せない。こちらはよりビートの推進力がはっきりしていて、演奏の切れ味が目立つ。ハービー・ハンコックの作品では、メロディそのものよりも、リズムの組み立てや音色の運びで曲が進む場面が多いが、この曲もそのタイプに入る。短いフレーズの積み重ねで緊張感を保ちながら、バンドが一体で押していく構成だ。

さらにアルバム後半に向かうほど、単なるファンク一辺倒ではなく、フュージョンらしい流れの変化や、ソロの配置が見えてくる。ハービーのアルバムは、名曲単体で語られることも多いが、『Secrets』は曲ごとの連続性を含めて聴くと、全体像が掴みやすい。派手なヒット曲で引っぱるというより、バンドのグルーヴとアレンジのまとまりで聴かせるタイプの1枚だ。

この盤のポイント

1976年オリジナルのUS Columbia盤という点も、この作品の性格を理解するうえで重要だ。1970年代のColumbiaは、ハービー・ハンコックのようなジャズ/フュージョン系アーティストの電化サウンドを積極的に送り出していた時期で、本作もその流れにしっかり乗っている。レーベル表記やスパインの印字からも、当時のUS盤らしい実用品としての仕上がりが見て取れる。

『Secrets』は、ハービー・ハンコックがアコースティック・ジャズの名手にとどまらず、70年代のジャズ・ファンク/フュージョンの文脈でどこまで表現を広げたかを示す作品だ。リズムの粘り、鍵盤の色づけ、バンド全体の運動感。その3つがきれいにまとまったアルバムとして、彼のディスコグラフィーの中でも重要な位置を占める1枚といえる。

トラックリスト

  1. A1 Doin' It 8:00
  2. A2 People Music 7:07
  3. A3 Cantelope Island 7:06
  4. B1 Spider 7:20
  5. B2 Gentle Thoughts 7:01
  6. B3 Swamp Rat 6:25
  7. B4 Sansho Shima 4:50

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