Hummingbird - Hummingbird (1975)
Hummingbird『Hummingbird』(1975)
Hummingbird のセルフタイトル作、1975年のUS盤。A&M Records からのリリースで、レーベル番号は SP 4536。British-American band として1974年に Bobby Tench を中心に結成されたグループで、このアルバムはバンド名をそのまま掲げた初期の代表作として位置づけやすい1枚だ。ロックを軸にしながら、ファンク、ソウル、R&B、ブルースロックの要素が自然に混ざる内容で、時代の空気がそのまま詰まった作品という印象がある。
メンバーには Bernard Purdie、Max Middleton、Conrad Isidore、Robert Ahwai、Bernie Holland、Clive Chaman らが名を連ねる。演奏陣の顔ぶれだけ見ても、ロック寄りのバンドというより、リズム感とアンサンブルの密度を重視したセッション色の強い作品だとわかる。実際、曲ごとの輪郭ははっきりしていながら、いわゆる“バンドの勢いだけで押し切る”タイプではなく、各パートの役割分担が明確な作りになっている。
アルバム全体の印象
聴き進めると、ギター、ベース、ドラムの噛み合い方がまず目につく。ロックの骨格に、ファンク由来の細かなグルーヴが入り、そこへソウルのフレーズ感が重なる。派手な技巧を前面に出すより、各曲のリフやリズムの置き方で引っ張っていくタイプで、70年代半ばのA&Mらしい洗練も感じられる。録音はロンドンの Scorpio Sound が中心で、Side 2 の一部は Air、さらに1曲は Apple Studios で録音されたとクレジットされている。スタジオが分かれていても、全体の質感は比較的まとまっている。
この時期の英国周辺のハード寄りロックやソウルロックを思い浮かべると、Hummingbird はそこに少しアメリカ的な黒さを持ち込んだバンドとして聴ける。比較対象を挙げるなら、単純なハードロック勢よりも、ファンクやR&Bを吸収したバンドの流れに近い。とはいえ、コピー的な印象は薄く、演奏の重心が低いぶん、アルバム全体に落ち着いた推進力がある。
収録曲の注目点
オープニングの A1 は、アルバムの方向性を早い段階で示す重要な1曲だ。ギターの切り込み方とリズム隊の粘りが前面に出て、ロックの勢いとファンクのノリが同居する。派手なイントロで一気に持っていくというより、入って数十秒でグルーヴの輪郭が見えてくる構成で、アルバムの入口としてかなり機能的だ。ここでの演奏は、各楽器が主張しながらもぶつかりすぎないバランスが取れている。
A2、A4、B1 には Inkwell Music、A1 と A3、B2〜B4 には Irving Music、A5 には Jobete Music と Stone Again Music のクレジットが付いている。こうした出版社の分かれ方からも、曲ごとに作曲の色合いが異なることがうかがえる。アルバムを通すと、ミドルテンポで粘る曲、ソウル寄りの歌心を持つ曲、ブルースの語法を残した曲が並び、一本調子にならない。特に後半に行くほど、演奏の呼吸が見えやすくなる。
A5 は Jobete Music Co. Inc. と Stone Again Music Div. の共作扱いで、アルバム内でもやや異なる気配を持つトラックだ。モータウン系の出版社名が見えることからも、ソウル由来のニュアンスが表に出やすい位置づけと考えやすい。実際の聴感でも、ロックの荒さだけではなく、フレーズの置き方やコーラス感に別系統の匂いがある。バンドの持つ柔らかさが前に出る場面として印象に残りやすい。
US初回盤について
このUS盤は Pitman pressing の変種として扱われている。A&M の1970年代中盤のプレスらしく、レーベル面には ℗ 1975 A&M Records, Inc. の表記がある。オリジナル期の盤としては、作品そのものの初期の姿を確認できる1枚で、のちの再発盤と比べると、当時のA&Mの流通とプレス事情がそのまま反映されるタイプだ。レーベルの歴史の中でも、A&M が大型レーベル化していく時代の空気を感じやすい。
位置づけ
Hummingbird のデビュー期を語るうえで、このセルフタイトル作はかなり重要な位置にある。Bobby Tench を核にしたバンドの個性を示しつつ、ロック、ファンク、ソウル、R&B を無理なく接続しているからだ。派手なヒット性より、演奏の密度と曲の組み立てで聴かせるアルバムで、70年代中盤のクロスオーバー感覚をそのまま記録したような内容になっている。バンドの出自やメンバーの経歴を踏まえて聴くと、単なる英国ロックでも、単なるソウルロックでもない、少し独特な立ち位置が見えてくる。
全体としては、スタジオ録音の整った質感と、ライブ感のあるバンド演奏が同居した作品だ。曲単位で見ると、グルーヴを前に出すもの、歌心を押し出すもの、ブルースの線を残すものが並び、その振れ幅がアルバムの聴きどころになっている。70年代のA&M周辺を掘る人には、バンドの個性がはっきり立つ1枚として記憶されやすいはずだ。
トラックリスト
- A1 Music Flowing 4:24
- A2 You Can Keep The Money (Just Leave Me My Guitar) 3:16
- A3 Such A Long Ways 4:14
- A4 Horrors 3:38
- A5 I Don't Know Why I Love You 5:58
- B1 Maybe 5:24
- B2 For The Children's Sake 3:50
- B3 Ocean Blues 5:38
- B4 Island Of Dreams 7:32
動画
- Hummingbird - Hummingbird [Full Album] (1975 Vinyl)
- Hummingbird ► I Don't Know Why I Love You [HQ Audio] 1975
- Hummingbird - "Island of Dreams"
- hummingbird - maybe
- Hummingbird - Horrors I Don't Know Why I Love Y.wmv
- hummingbird "Music Flowing"
- You Can Keep The Money - Hummingbird
- Such A Long Ways - Hummingbird
- Hummingbird - For The Children's Sake
- Hummingbird - Ocean Blues