Iron Maiden - Killers (1981)
Iron Maiden『Killers』――NWOBHMの熱をそのまま閉じ込めた2作目
Iron Maidenの『Killers』は、1981年にUKでリリースされた2作目のアルバムである。前作で姿を見せた初期アイアン・メイデンの輪郭をさらにくっきりさせ、ベースを軸にした推進力、ツイン・ギターの絡み、そして荒々しいボーカルが前面に出た一枚として知られている。タイトルだけでも十分に物騒だが、内容もその印象に沿っていて、デビュー作よりも攻撃性が増した作品という位置づけで語られることが多い。
この時期のIron Maidenは、いわゆるNWOBHMの中心にいたバンドのひとつで、同時代のJudas PriestやSaxonと並べて語られることが多い。とはいえ『Killers』は、その中でもかなりロンドンの街角感が強い。整った大作志向というより、ライヴハウスで鍛えた勢いをそのままスタジオに持ち込んだような手触りがある。1981年2月2日発売のこの盤は、後の大ブレイク前夜を記録した重要作でもある。
オリジナルUK盤の仕様とこのレコードのポイント
ここで取り上げるのは、UK盤のEMI EMC 3357。ジャケット背表紙、ラベル、ランアウトに同じカタログ番号が入る仕様で、EMIのカンパニー・インナーも付属する。録音はロンドンのBattery Studiosで行われ、ランアウトには「TOWNHOUSE」の刻印がある。初期プレスのUK盤らしい、当時のEMIロック作品に見られる実用的な作りで、装丁よりも中身で勝負するタイプの一枚という印象が強い。
盤としては1981年のオリジナル期の空気をそのまま持つ。のちの再発盤に比べて、初出当時の音像やマスタリングをそのまま味わえる点が魅力になりやすい。『Killers』は録音自体が派手に作り込まれたアルバムではないため、UK初期盤の持つ直線的な鳴りが、曲の性格とよく合っている。
アルバム全体の流れ
『Killers』は、1曲ごとの役割がはっきりしている。速く押す曲、リフを刻む曲、短く締める曲が並び、アルバム全体のテンポが落ちにくい。Steve Harrisのベースは相変わらず忙しく、単なる低音の支えではなく、曲の推進役として働いている。Clive Burrのドラムも、硬く叩きつけるというより、前へ前へと押す感覚が強い。そこにDave MurrayとAdrian Smithが後年の洗練とは少し違う、荒い粒立ちでギターを重ねる。
そして何より、Paul Di'Annoのボーカルがこの作品の温度を決めている。Bruce Dickinson加入前のIron Maidenとしては最後のスタジオ作で、歌の表情はかなりストレートだ。高音で大きく押し切るタイプではなく、語気を強めて引っ張る歌い方が中心で、曲の硬質さと噛み合っている。後のメイデンを知っていると別物にも聞こえるが、この時期ならではの生々しさがある。
注目曲「Wrathchild」――短く鋭く、ライブでも残る核
『Killers』を語るうえで外しにくいのが「Wrathchild」である。アルバム中でも特に記憶に残りやすいリフを持ち、短い尺の中で勢いを切らさずに走り切る。ベースのうねりとギターの刻みが前に出て、サビに入る前から曲の輪郭がはっきりしている。スタジオ版でも十分に引き締まっているが、のちにライブ定番曲として扱われたことも納得しやすい構成だ。
この曲は、初期Iron Maidenの「メロディを大きく見せる前の、骨格の強さ」がよく出ている。派手な展開よりも、反復で押す力が中心で、聴き終わったあとにリフだけが残るタイプの曲といえる。アルバムの中で最もわかりやすく、同時に最もバンドの体力を感じさせる一曲でもある。
表題曲「Killers」――不穏さを残す締めの曲
タイトル曲「Killers」は、アルバム後半で空気を変える役割を担う。ここでは単純なスピードだけではなく、陰のある進行と緊張感が前に出る。曲名通りの危うさを抱えたまま進み、最後まで張りつめた感触を保つのが特徴だ。『Killers』という作品名が、ただの強い言葉ではなく、バンドの当時の輪郭そのものを示しているようにも聞こえる。
この曲では、Di'Annoのボーカルが持つ少し荒れた質感がよく生きている。後年のメイデンが壮大な構図を得意にしていくのに対し、この時期はもっと直接的で、街の匂いが残る。タイトル曲がその方向性を象徴していて、アルバムの締めとしても印象が残りやすい。
作品の位置づけ
『Killers』は、Iron Maidenが「ただの新興ヘヴィ・メタル・バンド」から、独自の推進力を持つ存在へ移っていく途中の記録として見やすい。翌年以降、Bruce Dickinson加入でバンドはさらに大きなスケールを獲得していくが、その前段階としての荒さ、速さ、攻撃性がこの盤には詰まっている。完成度の高さだけで語るアルバムではないが、初期メイデンの芯を知るには外しにくい一枚である。
同時代の英国ヘヴィ・メタルの中でも、『Killers』はかなり「生の演奏感」に寄った作品だ。整ったコーラスや大仰な構成より、演奏の圧と前進力で押すタイプで、そこがこの時期のIron Maidenらしさになっている。1981年という年の空気、そしてバンドが次の段階へ進む直前の緊張感。その両方が、このUKオリジナル盤にははっきり刻まれている。
トラックリスト
- A1 The Ides Of March 1:48
- A2 Wrathchild 2:54
- A3 Murders In The Rue Morgue 4:14
- A4 Another Life 3:22
- A5 Genghis Khan 3:02
- A6 Innocent Exile 3:50
- B1 Killers 4:58
- B2 Prodigal Son 6:05
- B3 Purgatory 3:18
- B4 Drifter 4:47
動画
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Iron Maiden - The Ides Of March
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Iron Maiden - Wrathchild
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Iron Maiden - Murders In The Rue Morgue
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Iron Maiden - Another Life
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Iron Maiden - Genghis Khan
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Iron Maiden - Innocent Exile
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Iron Maiden - Killers
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Iron Maiden - Prodigal Son
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Iron Maiden - Purgatory
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Iron Maiden - Drifter
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The Ides of March (2015 Remaster)
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Murders in the Rue Morgue (2015 Remaster)
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Another Life (2015 Remaster)
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Genghis Khan (2015 Remaster)
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Innocent Exile (2015 Remaster)