Jack White - Blunderbuss (2012)
Jack White 2012

Jack White - Blunderbuss (2012)

Rock Blues Rock

Jack White『Blunderbuss』について

『Blunderbuss』は、Jack Whiteが2012年に発表した初のソロ・アルバム。The White Stripes、The Raconteurs、The Dead Weatherで知られるJack Whiteが、バンドの枠を外れて自分の名義で出した作品として位置づけられる。リリース元は自身のThird Man Recordsで、US盤はTMR-139として流通した。ブルース・ロックを軸にしながら、ロック作品としての骨格を保ったまま、曲ごとに表情を変えていく内容になっている。

Jack Whiteは1975年生まれ、デトロイト出身のミュージシャン、ソングライター、プロデューサー、レーベル主宰者。Third Man Recordsの運営や、The White Stripesでの活動で広く知られているが、この『Blunderbuss』では、そうしたキャリアの集積がソロ作品としてどうまとまるかがはっきり見える。バンドの看板を背負ったときの勢いとは少し違い、楽曲そのものの構成や音の置き方に意識が向いている印象がある。

作品全体の印象

このアルバムは、録音の質感と曲の展開がかなり重要な作品だ。ギターの鳴り、ピアノの入り方、リズムの置き方が細かく変わり、1曲ごとに空気が切り替わる。ロックの基本形を使いながら、単純な勢いだけで押し切らないところに、ソロ作としての性格が出ている。聴き進めると、荒さのある曲と、歌を前に出した曲が交互に現れ、アルバム全体の流れを作っているのがわかる。

同時代のロック作品と比べると、ガレージ寄りの粗い音像を持ちながら、曲の作り込みはかなり丁寧な部類に入る。The White Stripes時代のような二人編成の切迫感とは別の、ひとりの作家が複数の要素を束ねる感覚が強い。ブルース・ロックという軸はあるが、演奏の置き方や曲順の運びで、単なる復古調には寄らない構成になっている。

注目曲「Sixteen Saltines」

アルバムの中でも「Sixteen Saltines」は、Jack Whiteらしい攻撃的なギターと、言葉の切れ味が前に出る1曲。冒頭から勢いがあり、リフの反復で押しながら、歌がその上を走る構図になっている。音数は多くないのに、細部の動きが目立つため、短い曲の中でも緊張感が持続する。

この曲は、ソロ作の中でも比較的わかりやすくロックの推進力を感じる曲として受け取られやすい。The White Stripesの文脈を思わせる部分はあるが、単純に過去作の延長というより、ソロ名義であらためてその手触りを整理したような印象がある。ライブで映えそうな構造も含めて、アルバムの中でひとつの柱になっている。

注目曲「Love Interruption」

先行曲として知られる「Love Interruption」は、アルバムの中でも異なる温度を持つ。テンポを急がず、歌とアコースティック寄りの響き、そして歌詞の言い回しで引っ張るタイプの曲だ。ここではJack Whiteの声のざらつきが、演奏の隙間にそのまま残る。派手な展開よりも、曲そのものの輪郭を見せる方向に寄っている。

この曲があることで、『Blunderbuss』が単なる硬質なロック盤ではないことが見えてくる。ブルース・ロックの系譜にありながら、静かな場面でもアルバムが成立することを示す1曲で、作品全体の幅を広げている。勢いのある曲との対比がはっきりしているため、アルバムの流れの中でも印象が残りやすい。

注目曲「I’m Shakin’」

「I’m Shakin’」は、リズムの跳ね方がわかりやすく、ロックンロールの身体感覚が前面に出る曲。原曲のあるナンバーとしても知られ、Jack Whiteの演奏では、古い曲をそのままなぞるのではなく、現在の音像で押し出している。ギターとリズム隊の動きが明快で、アルバムの中でも軽快に聴こえる。

この曲では、Jack Whiteが好んできた初期ロックやブルースの要素が、比較的ストレートに表れている。とはいえ、単なるオマージュではなく、音の抜き差しや歌い方で現在形に引き寄せているのがポイントだ。アルバムの中で、重さだけでなく跳ねる感覚も持っていることを示す場面になっている。

ソロ作品としての位置づけ

『Blunderbuss』は、Jack Whiteのキャリアの中で、バンド活動で培った要素を個人名義で再編した作品として見やすい。The White Stripesで確立したギター中心の感覚、The RaconteursやThe Dead Weatherで見せたバンド内の役割分担とは違い、この作品では作家としての輪郭がより前に出る。Third Man Recordsからの発表という点も含めて、音楽だけでなく制作や発信の姿勢まで一体になったアルバムと言える。

2012年という時点で見ると、ロックが過去の様式を参照しながら新しさを探していた時期でもある。その中で『Blunderbuss』は、ブルースやガレージの語法を使いながら、曲作りと録音のバランスで独自性を出している。派手な新機軸というより、Jack Whiteがもともと持っていた要素を、ソロという形式で整理し直した作品として受け取ると、アルバムの輪郭がつかみやすい。

まとめ

『Blunderbuss』は、Jack Whiteのソロ第一作として、彼の持つロックンロール、ブルース、ラフな演奏感、そして曲を書く力をまとまった形で示したアルバム。勢いのある曲と、歌を前に出した曲が並び、1枚を通して聴くと、単なる話題作ではなく、ソロ名義でしか出せない構成の作品として残る。Third Man Recordsから出た2012年のUS盤としても、Jack Whiteの活動史を語るうえで外しにくいタイトルだろう。

トラックリスト

  1. A1 Missing Pieces 3:27
  2. A2 Sixteen Saltines 2:37
  3. A3 Freedom At 21 2:52
  4. A4 Love Interruption 2:38
  5. A5 Blunderbuss 3:07
  6. A6 Hypocritical Kiss 2:50
  7. A7 Weep Themselves To Sleep 4:19
  8. B1 I'm Shakin' 3:00
  9. B2 Trash Tongue Talker 3:20
  10. B3 Hip (Eponymous) Poor Boy 3:04
  11. B4 I Guess I Should Go To Sleep 2:39
  12. B5 On And On And On 3:56
  13. B6 Take Me With You When You Go 4:08

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