Jamiroquai - The Return Of The Space Cowboy (1994)
Jamiroquai 1994

Jamiroquai - The Return Of The Space Cowboy (1994)

Funk / Soul Funk Acid Jazz

Jamiroquai『The Return Of The Space Cowboy』について

Jamiroquaiの『The Return Of The Space Cowboy』は、1994年にUKでリリースされた2作目のアルバムだ。前作『Emergency on Planet Earth』で広く知られるようになった彼らが、その流れを受けて発表した作品で、初期Jamiroquaiの核にあるアシッド・ジャズとファンクの感触が、よりまとまった形で表れている。レーベルはSony Soho Square。90年代前半のUKポップ/クラブ文脈の中で、Jamiroquaiがどの位置にいたかを示す一枚でもある。

中心にいるのはもちろんJay Kayの歌と存在感だが、この時期の演奏面も見どころが多い。ベースのStuart Zender、キーボードのToby Smith、ドラムのNick van Gelderらが支えるグルーヴは、単なるポップ寄りのファンクではなく、ジャズ・ファンクの流れをきちんと踏まえたものになっている。USのネオソウルとは少し違い、UKらしい軽さとリズムの細かさが前に出るあたりも、この作品の特徴として捉えやすい。

アルバム全体の印象

このアルバムは、曲ごとの作りがかなり丁寧だ。派手な展開で押すというより、ベース、ドラム、キーボード、ホーン、歌が少しずつ噛み合いながら進むタイプの作品で、聴いているうちにリズムの細部が見えてくる。アシッド・ジャズの時代性を持ちながら、ファンクの骨格をしっかり残しているので、クラブの空気とバンド演奏の感覚が両立している印象がある。

レコード盤としてはゲートフォールド仕様で、歌詞やクレジット、写真を含むインナー・スリーブ付き。4面にわたる構成で、CDやカセットよりも「時間をかけて聴く」感覚が強い。とくに『Stillness In Time』がCD/カセットより長い形で収録されている点は、このLP版ならではの聴きどころだ。曲の流れの中で余白が増え、演奏の伸びや空気感が少しはっきり見える。

注目曲『Space Cowboy』

本作の代表曲としてまず挙げやすいのが『Space Cowboy』だろう。タイトルからしてJamiroquaiらしい遊び心があるが、実際の中身は軽いノリだけでは終わらない。グルーヴは跳ねすぎず、歌は流れを切らずに前へ進み、リズム隊が細かく支える構造になっている。ファンクの骨格に、都会的な洗練が重なった曲として聴こえる。

この曲は、初期Jamiroquaiのイメージをそのまま象徴する一曲でもある。派手なギターリフで押すのではなく、ベースの動きとリズムの配置で引っ張る作りで、90年代UKのクラブ感覚とも相性がいい。のちの大きなヒット群に比べると、ここではまだバンドの輪郭を丁寧に固めている段階に見える。

注目曲『Stillness In Time』

『Stillness In Time』は、このレコード版で特に触れておきたい曲だ。CDやカセットより長く収録されているため、曲の流れに少し余裕があり、演奏の積み重ねが見えやすい。タイトルどおり、時間の流れを少し緩めるような進行で、Jamiroquaiの中でも落ち着いた側面を感じやすい。

この曲では、リズムの細かなうねりと歌のメロディがぶつからず並んでいる。ファンク的な推進力はあるのに、せわしなさに寄らないところが面白い。アルバム全体の中でも、音数の多さより配置のうまさで聴かせる曲として印象に残りやすい。

収録曲と作品の位置づけ

『The Return Of The Space Cowboy』は、Jamiroquaiの初期2作の中でも、グルーヴの精度と曲の完成度を一段押し上げた作品として見られることが多い。後の『Travelling Without Moving』でより広い層に届く前段階として、ここにはバンドの基本形がかなり明確に入っている。アシッド・ジャズという言葉で括られながらも、単なる流行の再現ではなく、演奏中心のバンドとしての強さが前面にある。

同時代のUKでは、IncognitoやBrand New Heaviesのような流れと並べて語られることもあるが、JamiroquaiはそこにJay Kayのキャラクターとポップなフックを持ち込んだ点で少し見え方が違う。結果として、クラブ寄りの文脈にありながら、アルバム単位で聴くとバンド作品としてのまとまりがはっきりしている。1994年のUKファンク/ソウルを知るうえでも、重要な位置にある一枚だ。

トラックリスト

  1. A1 Just Another Story 8:48
  2. A2 Stillness In Time 6:13
  3. B1 Half The Man 4:48
  4. B2 Light Years 5:53
  5. B3 Manifest Destiny 6:19
  6. C1 The Kids 5:08
  7. C2 Mr Moon 5:28
  8. C3 Scam 7:00
  9. D1 Journey To Arnhemland 5:19
  10. D2 Morning Glory 6:21
  11. D3 Space Cowboy 6:25

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