Joe Gibbs & The Professionals - African Dub All-Mighty - Chapter 3 (1977)
Joe Gibbs & The Professionals 1977

Joe Gibbs & The Professionals - African Dub All-Mighty - Chapter 3 (1977)

Reggae Dub

Joe Gibbs & The Professionals『African Dub All-Mighty - Chapter 3』について

1977年にジャマイカで登場した『African Dub All-Mighty - Chapter 3』は、Joe Gibbs & The Professionals名義によるダブ作品だ。Joe Gibbsはプロデューサーとして知られ、その制作現場を担ったThe Professionalsは、当時のジャマイカ録音文化を支えた腕利きの演奏陣として機能している。タイトルにある通り、本作は『African Dub All-Mighty』シリーズの第3章にあたり、前後の流れの中で聴くと、この時期のJoe Gibbs周辺のダブ制作がどのように洗練されていったかが見えやすい一枚でもある。

録音はJoe Gibbs Recording Studioで行われ、ジャマイカ盤として1977年にリリースされた。クレジットを見るだけでも、Robbie Shakespeare、Tommy McCook、Lloyd Parks、Ossie Hibbert、Willie Lindo、Gladstone Anderson、Winston Wright、Leroy “Horsemouth” Wallace、Bobby Ellis、Herman Marquis、George Fullwood、Earl “Chinna” Smith、Ruddy Thomas、Eric Lamont、Uziah “Sticky” Thompson、Franklyn “Bubbler” Waul、Lowell Dunbar、Joel Arthur Gibson、Albert Valentine Chinといった面々が並び、当時のジャマイカ音楽の中核を担うプレイヤーが集まっていることがわかる。演奏の骨格がしっかりしているからこそ、ダブ特有のエコーや残響、音の抜き差しが前に出る構成が成立している。

作品の輪郭

本作は、歌を前面に押し出すというより、リズムトラックそのものを再構成していくタイプのダブ作品だ。ベースとドラムがまず土台として置かれ、そこにギターやキーボード、ホーンの断片が現れては消える。音の要素が整理されていく場面と、急に空間が開く場面の切り替えがはっきりしていて、1970年代後半のジャマイカ・ダブの実践がよく表れている。

Joe Gibbsの作品群の中でも、このシリーズはダブの組み立て方を楽しめる位置にある。ルーツ・レゲエの延長線上でありながら、ミックスそのものを主役に置く発想が強く、同時代のKing Tubby周辺の手法とも比較されやすい流れだ。とはいえ、本作は単に実験的というより、演奏の安定感を背景にした構築型のダブという印象が残る。

聴きどころ1: ベースとドラムの重心

まず印象に残るのは、ベースとドラムの置き方だ。Robbie ShakespeareやLloyd Parks、Lowell Dunbarといった名前が並ぶことからもわかるように、リズム隊の厚みがそのまま音の説得力につながっている。ダブでは低音が単に鳴るだけでは成立しにくいが、この作品では音の間に芯があり、抜き差しされても土台が崩れにくい。

そのため、ミックスで音が一気に引いた瞬間にも、曲が細くならない。むしろ、残されたベースの線やスネアの跳ね返りが前景化して、リズムの輪郭が見えやすくなる。派手な展開よりも、同じグルーヴをどう見せ替えるかに重心がある作りだ。

聴きどころ2: ホーンとキーボードの断片

Tommy McCook、Bobby Ellis、Herman Marquisといったホーン奏者の存在は、この作品の表情づけに大きく関わっている。ダブでは旋律がはっきり続くとは限らないが、短いフレーズや残響の尾が残るだけで空気が変わる。本作でも、ホーンの一撃が空間の密度を変え、その後に音が引いていく流れが聴きどころになっている。

また、Ossie HibbertやWinston Wright、Gladstone Andersonらの鍵盤が、単なる和音の補助に留まらず、エコー処理を受けて断片的に浮かび上がる場面も要点だ。リズムの隙間を埋めるのではなく、隙間そのものを活かす方向で機能していて、ダブという形式の面白さがよく出ている。

シリーズの中での位置づけ

『African Dub All-Mighty』の第3章として見ると、本作はシリーズが持つ方向性をさらに明確にした一作として捉えやすい。タイトルから受ける印象どおり、ルーツ・レゲエの重さを下敷きにしながら、制作側の判断で音を削り、残響を足し、配置を変えていく。1977年という時期は、ジャマイカのダブがすでに重要な表現形式として定着しつつあった頃で、その成熟した手つきがこの盤にも反映されている。

Joe Gibbs制作の作品群を追うと、演奏の精度とミックスの操作が両輪になっていることが見えてくる。本作もその延長上にあり、演奏者の名前が強く印象に残る一方で、最終的にはミックスの設計が作品全体をまとめている。ダブの記録として、そして1970年代ジャマイカ録音の一断面として、静かに存在感のあるアルバムだ。

まとめ

『African Dub All-Mighty - Chapter 3』は、Joe GibbsとThe Professionalsによる1977年のダブ作品として、リズムの強度とミックスの操作が両立した一枚だ。録音現場、参加ミュージシャン、そして当時のジャマイカ・ダブの文脈がそのまま反映されていて、派手さよりも手つきの確かさが印象に残る。シリーズ作品としての連続性も含め、1970年代レゲエの制作文化を知るうえで押さえておきたい内容になっている。

トラックリスト

  1. A1 Chapter Three
  2. A2 Rema Dub
  3. A3 Tribesman Rockers
  4. A4 Freedom Call
  5. A5 Jubilation Dub
  6. B1 The Entebbe Affair
  7. B2 Angolian Chant
  8. B3 Zion Gate
  9. B4 Jungle Dub
  10. B5 Dub Three

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