Karakorum - Prison Bitterness (2021)
Karakorum 2021

Karakorum - Prison Bitterness (2021)

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Karakorum『Prison Bitterness』について

英国のアーカイヴ再発レーベル、Seelie Courtから2022年にLP化されたKarakorumの『Prison Bitterness』は、1970年代初頭の英国アンダーグラウンド・ロックの空気をそのまま掘り起こしたような一枚だ。オリジナルのリリース年は2021年で、この盤はその作品をUKでレコード化したものになる。Karakorumは1969年から1973年にかけて活動した英国のバンドで、東洋的なニュアンスを含むプログレッシブ・ロックを、催眠的な反復やトランス感のあるリズムで組み立てていたとされる。録音が長く表に出なかったバンドの音源が、Seelie Courtの手でようやくまとまった形で聴けるようになった、という位置づけがまず大きい。

バンドのプロフィールを見ると、当時の英国ロック紙Soundsで「Keith Moon is raving about Karakorum」と紹介された、というエピソードが残っている。Alexis Kornerの公演でKarakorumが前座を務めた際、Keith Moonが彼らを高く評価した、という話で、ライブでの評判がかなり強かったことがうかがえる。実際、関係者やマネージャーからは大きな成功を期待されていたようだが、音楽性はかなり独特で、当時の主流には収まりにくいものだったらしい。そうした背景を踏まえると、『Prison Bitterness』は単なる未発表音源集というより、埋もれていたバンドの輪郭を後から確認するための資料性も持った作品といえる。

Seelie Court盤としての意味

Seelie Courtは、英国のレア音源や未発表録音を再発してきたレーベルで、特に1960〜70年代の英国アンダーグラウンドに強い。Karakorumのように、当時は正式な商業流通に乗らなかった音源を救い出す役割が大きく、『Prison Bitterness』もその流れの中にある。2022年の盤は、2021年に出た作品をLPとして受け取れる形にしたものなので、作品そのものの初出年と、レコードとしての流通年は分けて見ておきたい。

再発盤としての特徴は、こうしたアーカイヴ・タイトルに典型的な“発掘感”にある。オリジナルの時代背景を前提にしながら、現代のリスニング環境に合わせてレコードとしてまとめ直された印象で、Karakorumという名前を作品単位で追えるのが大きい。Seelie Courtが扱うタイトル群の中でも、英国産のプログレッシブ・ロックとサイケデリック・ロックの境界線にある音源として見ておきたい一枚だ。

音の中心にあるもの

このバンドの特徴として挙げられているのは、強いリズムの反復と、東洋的な響きを帯びた進行だ。そこにプログレッシブ・ロックの構成感が重なり、さらにサイケデリック・ロックの感覚が差し込む。派手な技巧で押すというより、同じフレーズを少しずつ変化させながら引っ張っていくタイプの音像が想像しやすい。聴きどころは、展開そのものよりも、演奏の重なり方やテンションの保ち方にある。反復が単調に落ちず、むしろ緊張を保ったまま進むところが、このバンドの核だろう。

同時代の英国プログレと比べると、より地下っぽい質感が強い。大きく組み立てるドラマ性より、バンドの中で生まれる持続感や、催眠的な推進力が前に出るタイプで、いわゆる定番の英国プログレというよりは、より実験的で、サイケデリックな側面が残る。そうした意味では、主流の枠に収まりきらなかった理由も見えてくる。複雑で内向きなスタイル、と紹介されているのも納得感がある。

代表的に聴かれるであろう楽曲の印象

収録曲の細かな情報は手元では確認できないが、この作品を聴くときは、まずバンドのリズムの作り方に耳が向く。Karakorumの魅力は、メロディのわかりやすさよりも、演奏の持続が生む圧にある。曲ごとに大きな見せ場を作るというより、ひとつのモチーフを軸に、ギターやリズム隊が粘り強く形を変えていく感触が強い。そうした曲は、1回で輪郭をつかむというより、繰り返し聴くことで構造が見えてくるタイプだ。

特に中核になりそうなのは、反復が前面に出る長めの曲だろう。こうした曲では、単純なサイケデリックなうねりだけでなく、演奏者同士の呼吸や、少しずつ熱を上げていく組み立てが重要になる。Karakorumのプロフィールで語られる「催眠的なトランス感」は、まさにその部分に出るはずで、派手なフックよりも、局所的な音の変化を追う楽しさがある。代表曲を一曲で断定するのは難しいが、バンドの個性はこうした持続型の楽曲で最も見えやすい。

作品の立ち位置

『Prison Bitterness』は、Karakorumにとって初めて広く触れられる形になった重要な作品と見てよさそうだ。もともとライブで高く評価され、周囲からも期待されていたバンドでありながら、録音が長く埋もれていた。その断絶を埋めるのがこの盤の役割になる。英国の70年代初頭プログレ、そしてその周辺にいたサイケデリックなバンド群の中でも、Karakorumはかなり独自の位置にいたことが、後年の再発でようやく見えてきた、という流れだ。

派手な成功譚ではなく、独特すぎる音楽性のまま時代の表舞台から外れたバンド。その記録として『Prison Bitterness』は読める。Seelie Courtの仕事は、そうした「知られていなかったが、確かに存在した」音を、作品として手元に置ける形にすることにある。この盤もその例に入る一枚だ。

トラックリスト

  1. A1 Arnold Collins In Drag 3:44
  2. A2 Living My Life 2:59
  3. A3 Prisoners Bitterness 4:05
  4. B1 Breakfast 5:20
  5. B2 When The War Is Over 4:34

動画

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