Karen Dalton - In My Own Time: 50th Anniversary Deluxe Edition (1971)
Karen Dalton 1971

Karen Dalton - In My Own Time: 50th Anniversary Deluxe Edition (1971)

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Karen Dalton『In My Own Time: 50th Anniversary Deluxe Edition』について

Karen Daltonは、1960年代のグリニッジ・ヴィレッジ周辺で活動したアメリカのフォーク/ブルース歌手で、バンジョー奏者でもある。1937年生まれ、1993年没。チェロキーの血を引き、ブルース、フォーク、カントリー、ポップス、モータウンまで歌いこなした人物として知られる。この『In My Own Time』は、彼女の代表作として語られる1971年作『In My Own Time』を、50周年記念のデラックス仕様でまとめ直した2022年盤である。

盤としてはLight In The AtticからのUSリリース。オリジナルのアルバム本編を45RPMの2枚組LPに再構成し、さらにボーナス7インチ2枚を付けた大きな仕様になっている。2021年の新規トランスファーからカッティングされ、RTIでプレスされた180グラム盤という点も、この再発の重要な要素だろう。単なる復刻ではなく、資料性と音質面の両方を強く意識した作りである。

作品の位置づけ

『In My Own Time』は、Karen Daltonの数少ない公式アルバムの中でも特に評価の高い一枚として知られている。制作はBearsville Sound StudiosとMercury Sound Studiosで行われ、Michael LangとMarv Graftonがディレクションを担当。Just Sunshineから1971年に出たオリジナル盤で、当時のニューヨーク/ウッドストック周辺のフォーク・シーンとつながる作品でもある。

同時代のフォーク・シンガーと比べると、Daltonの歌声はかなり個性的だ。端正に整えるというより、声の揺れやかすれ、間の取り方そのものが表情になっている。Bob DylanやFred Neil、Holy Modal Roundersらと近い空気を共有しながらも、彼女の歌にはもっと生々しい体温がある。カバー曲であっても、曲の輪郭をそのままなぞるのではなく、自分の時間感覚に引き寄せて歌っている印象が強い。

このデラックス盤の特徴

今回の2022年盤は、三つ折りジャケットにLPをそれぞれ外側のポケットへ、7インチ2枚を中央へ収める構成。20ページのブックレットも付属し、未公開写真やLenny Kayeによるライナー、Nick CaveとDevendra Banhartの寄稿が収録されている。オリジナル盤の再現というより、アーカイブ資料を加えて作品世界を広げた再発と言えるだろう。

また、ボーナスとして未発表音源を含む7インチが2枚付く。ひとつは1971年4月21日、ドイツ・ブレーメンのBeat Clubで収録されたライブ音源。もうひとつは、1971年のフランス盤7インチの再現で、こちらも当時のシングル仕様を踏まえた扱いになっている。アルバム本編の延長線上に、同時代の別テイクや周辺資料が置かれている構成で、作品を「一枚のLP」以上のかたちで眺められる。

注目曲1: Something on Your Mind

本作の中でもまず耳に入るのが「Something on Your Mind」だろう。もともとアルバムを代表する楽曲として扱われてきた曲で、Daltonの歌の特徴がそのまま出る。旋律を大きく張り上げるのではなく、言葉の置き方で感情を運ぶタイプの歌唱で、伴奏の隙間に声がすっと入ってくる。派手な展開はないが、曲の中心にある気配が最後まで崩れない。

この曲では、彼女の歌が「うまさ」よりも「届き方」で記憶される理由がわかりやすい。フォーク・ソングの枠内にありながら、カントリー・ソウルのような粘りも感じさせるし、ブルースの語り口にも近い。オリジナル盤でも再発盤でも、この曲がアルバム全体の入口として機能しているのは変わらないはずだ。

注目曲2: One Night of Love

「One Night of Love」は、アルバム本編の中でも比較的軽い足取りを持つ曲として聴こえる。とはいえ、単に明るいだけではなく、Daltonの声が持つ陰影が曲に残る。メロディの流れに対して声が少し遅れて入るような感覚があり、そのズレが曲の空気を作っている。

この曲は、デラックス盤では別の形でも収録されている。ボーナス7インチの片面には、Beat Clubでのライブ版「One Night of Love」が入り、スタジオ版とは違う、より直接的な演奏が聴ける構成だ。放送用の記録として残った音源なので、アルバム収録曲が当時どのように扱われていたかを知る手がかりにもなる。

注目曲3: Take Me

もうひとつの7インチに収録された「Take Me」は、今回の再発で作品の周辺を広げる役割を持つ曲だ。フランス盤7インチの再現という形で収められており、オリジナル期のシングル文化をそのまま確認できるのが面白い。アルバム本編とは別の流通経路にあった音源として、当時の扱われ方を感じさせる。

こうした付属音源を含めると、『In My Own Time』は単なる名盤の再発というより、Karen Daltonの1971年前後を立体的に見せる資料集に近い。アルバムの曲、ライブ、シングルという複数の層があり、それぞれで彼女の歌の輪郭が少しずつ変わる。

総括

『In My Own Time: 50th Anniversary Deluxe Edition』は、Karen Daltonの代表作を、音源・装丁・資料の三方向から見直した2022年の再発盤である。オリジナルの1971年盤が持っていた静かな強さを保ちながら、45RPM化による2枚組LP、未発表音源を含む7インチ2枚、20ページのブックレットによって、作品の周囲まで含めて記録している。フォークの枠に収まらない歌い手としてのKaren Daltonを知るうえで、かなり情報量の多い一枚になっている。

トラックリスト

  1. In My Own Time (LP)
  2. A1 Something On Your Mind 3:20
  3. A2 When A Man Loves A Woman 2:56
  4. A3 In My Own Dream 4:15
  5. B1 Katie Cruel 2:20
  6. B2 How Sweet It Is 4:41
  7. B3 In A Station 3:48
  8. C1 Take Me 4:38
  9. C2 Same Old Man 2:38
  10. C3 One Night Of Love 3:10
  11. C4 Are You Leaving For The Country 3:08
  12. D1 Something On Your Mind (Alternate Take) 3:18
  13. D2 In My Own Dream (Alternate Take) 5:31
  14. D3 Katie Cruel (Alternate Take) 2:53
  15. Something On Your Mind / One Night Of Love (7" Single)
  16. E Something On Your Mind 3:20
  17. F One Night Of Love 3:10
  18. One Night Of Love B/w Take Me (7" Single)
  19. G One Night Of Love 3:20
  20. H Take Me 3:57

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