Kyrie Eleison - The Fountain Beyond The Sunrise (1976)
Kyrie Eleison 1976

Kyrie Eleison - The Fountain Beyond The Sunrise (1976)

Rock Psychedelic Rock Prog Rock Krautrock Symphonic Rock

Kyrie Eleison『The Fountain Beyond The Sunrise』(1976)

オーストリアのプログレッシブ・ロック・バンド、Kyrie Eleisonが1976年に残したアルバムが『The Fountain Beyond The Sunrise』である。バンドはのちにIndigoへ発展していく流れにあり、70年代オーストリアのプログレ文脈を知るうえでも重要な一枚として見ておきたい作品だ。レーベルはウィーンのMerlin Records。国産のシーンから出てきた作品らしく、英米の大きな潮流をそのままなぞるのではなく、当時のヨーロッパ的な感触をまとった音像が印象に残る。

このアルバムは、ジャンル表記としてはRockに置かれつつ、Krautrock、Psychedelic Rock、Prog Rock、Symphonic Rockの要素を含むとされる。実際、作品全体の輪郭は、長めの構成を持つプログレ的な展開、鍵盤を軸にした組み立て、そしてサイケデリックな揺らぎが同居するタイプのものとして捉えやすい。演奏は複数メンバーによるアンサンブルで、Felix Rausch、Norbert Morin、Karl Novotny、Michael Schubert、Gerald Krampl、Manfred Drapela、Alex Munkas、Gerhard Eder、Otto Singerらが名を連ねている。編成の厚みが、そのまま音の層にもつながっている印象だ。

1976年という時期を考えると、英国ではすでにプログレの第一波がピークを過ぎつつあったが、ヨーロッパ各地ではなお、シンフォニックなロックやサイケデリックな感覚を保った作品が生まれていた。Kyrie Eleisonもその流れに位置づけやすい。特にGenesisからの影響が指摘されるバンドだけに、組曲的な展開や、メロディを丁寧につないでいく構成意識が耳に入ってきそうな作品だ。とはいえ、単なる模倣に収まるというより、オーストリアのローカルなシーンの中で独自にプログレを鳴らしているところに意味がある。

作品全体の聴きどころ

『The Fountain Beyond The Sunrise』の魅力は、まず曲ごとの変化を追う楽しさにあるはずだ。静かな導入から音が重なり、途中でリズムが切り替わり、再びテーマへ戻っていくような、70年代プログレに典型的な構成が軸になっていると考えられる。ここでは派手な技巧そのものより、曲の流れを壊さずに少しずつ盛り上げていく運びが重要になる。シンフォニック・ロック寄りの手触りも、その積み上げの中で出てくるタイプだろう。

また、KrautrockやPsychedelic Rockの要素が入っている点も見逃せない。ドイツ圏のロックに近い硬質さや反復感、あるいはサイケデリックな音の揺れが、単に英国プログレの延長ではない輪郭を作っている可能性が高い。こうした要素が同居することで、メロディを前面に出す場面と、演奏の推進力を前に出す場面が切り替わる作品になっているはずだ。70年代中盤のヨーロッパ・プログレらしい、複数の流れを一枚に収めた感触である。

注目したいポイント

この作品でまず注目したいのは、バンドの出自そのものだ。Kyrie EleisonはのちにIndigoへ転じていくため、単独のアルバムとしてだけでなく、その後の変化を考える入口にもなる。1976年時点では、まだ70年代プログレの語法がしっかり生きている時期であり、ここに残された演奏や構成感は、後年の活動を知るうえでも手がかりになりやすい。バンド名義の時点での表現と、その後の変化の前段階として受け取ると、作品の位置づけが見えやすい。

もうひとつは、オーストリアという地域性だ。英米の大手シーンとは距離がありながら、ヨーロッパの同時代的なロックの流れにはしっかり接続している。そのため、比較対象としてはGenesis系の英国プログレだけでなく、ドイツ圏のKrautrockや、シンフォニックな編成感を持つ欧州プログレ全般が思い浮かぶ。そうした背景の中で、このアルバムは“どこかで聴いたことがある”に留まらない、地域ごとの温度差を感じさせる作品として見えてくる。

まとめ

『The Fountain Beyond The Sunrise』は、Kyrie Eleisonが1976年に残したオーストリア産プログレッシブ・ロックの記録であり、バンドの出自やその後の流れを知るうえでも重要な一枚だ。Genesisの影響を感じさせるというプロフィールの通り、シンフォニックな構成意識を持ちながら、Krautrockやサイケデリック・ロックの要素も交えた、70年代ヨーロッパらしい幅を持っている。大きなヒット曲で知られるタイプの作品ではないが、当時のローカル・シーンでプログレがどう鳴っていたかを示す資料性の高いアルバムとして、静かに存在感を放っている。

トラックリスト

  1. A1 Out Of Dimension 10:06
  2. The Fountain Beyond The Sunrise 14:20
  3. B1 Forgotten Words 8:40
  4. B2 Lenny 16:40

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