Lakim Shabazz - Pure Righteousness (1988)
Lakim Shabazz『Pure Righteousness』(1988)
ニュージャージー出身のMC、Lakim Shabazzが1988年にTuff Cityから発表した初期作。Flavor Unit周辺の動きとつながる人物で、90年代にかけてシーンで存在感を示していく、その入口にあたる一枚として位置づけやすい作品だ。Tuff Cityは1981年にAaron Fuchsが立ち上げたニューヨークのインディペンデント・レーベルで、80年代後半のヒップホップの現場感をそのまま刻んだようなリリースを多く残している。この『Pure Righteousness』も、その流れの中にある一枚として見ると輪郭がつかみやすい。
クレジットにはD.J. MarkとThe 45 Kingの名が見える。The 45 Kingといえば、サンプリングの切り方やビートの置き方に強い個性を持つプロデューサーとして知られ、当時のニューヨーク周辺の作品群に大きな足跡を残した人物だ。本作でも、その時代らしい硬質さと、言葉を前に出すための余白が印象に残る。派手な装飾よりも、ラップの芯とビートの骨格をきっちり見せるタイプの仕上がりという印象で、1988年という年の空気がそのまま盤に残っている。
作品全体の印象
『Pure Righteousness』は、タイトル通りの姿勢がまず目につく。内容はコンシャス寄りで、自己主張だけで押し切るのではなく、言葉の選び方に意識が向いている。80年代後半のヒップホップには、パーティー色の強い作品と、メッセージ性を前面に出す作品が並走していたが、本作は後者の流れにしっかり置ける。とはいえ説教臭さに寄り切るわけではなく、MCとしての立ち姿を見せることに重点がある。
音の作りは、当時のニューヨーク・ヒップホップらしく明快だ。ドラムは前に出るが、空間は詰め込みすぎない。ベースやサンプルの断片が、ラップの語尾や間を邪魔しない位置に置かれていて、言葉が中心に来る。こうした設計は、同時代の東海岸の作品、とくにラッパーの声とメッセージを軸に組み立てるタイプの作品と重なる部分がある。派手なクロスオーバー感より、現場の空気を保ったまま進むタイプのアルバムだ。
注目曲としての表題曲「Pure Righteousness」
表題曲は、この作品の方向性を最も端的に示す一曲として耳に残る。タイトルが示す通り、ここでは「正しさ」がテーマになっているが、単純なスローガンではない。ラップの運び方が比較的まっすぐで、語りかけるようなフロウの中に、MCとしての自負がにじむ。ビートは前のめりすぎず、言葉の輪郭を見せることに徹している印象だ。
この曲で目立つのは、フックや一節の強さよりも、全体を通した姿勢の一貫性。80年代後半のコンシャス・ラップにある、道徳的なメッセージとストリートの実感のあいだを行き来する感覚がある。Lakim Shabazzの初期像を知るうえで、まず押さえたい代表曲として扱いやすい。
もう一つの軸としての「The Lost Tribe」的な感触
本作を聴いていると、個別のヒット曲を追うというより、アルバム全体でひとつの主張を組み立てている感触が強い。曲ごとの派手な切り札を並べるというより、同じ温度のまま言葉とビートを積み重ねていく作りだ。そうした意味では、シングル単位で語られる作品というより、80年代後半のインディペンデントなヒップホップ作品らしいまとまりがある。
とくにTuff City周辺の作品に通じる、ローカルな熱量と実直な作りがこの盤にもある。メジャー作品のような大きな音圧や、後年の洗練されたサウンドとは違い、当時の現場で鳴っていた感触がそのまま残る。Lakim Shabazzのキャリアを見ても、後の活動へつながる初期の輪郭がこの時点でかなりはっきりしている。
時代背景と位置づけ
1988年のヒップホップは、サンプリングの手法やラップの語り口が急速に広がっていた時期だが、その中でLakim Shabazzは、東海岸のストリート感とメッセージ性を両立させる側にいる。Flavor Unit周辺の空気を踏まえると、個人の技巧だけでなく、コミュニティや姿勢の共有も見えてくる。そうした文脈の中で『Pure Righteousness』は、彼の初期キャリアを示す記録として意味を持つ一枚だ。
レーベル表記はTuff City Records、カタログ番号はTUFLP5557。オリジナルの1988年盤として見ると、まさにその時代の空気をまとった初出作であり、Lakim ShabazzというMCの入口を知るうえで外せない存在になっている。派手な伝説よりも、当時のニューヨーク・ヒップホップの現場感、言葉の置き方、ビートの組み方を静かに伝えるアルバムだ。
トラックリスト
- A1 Pure Righteousness 4:30
- A2 Black Is Back 3:40
- A3 All True And Living 2:25
- A4 Adding On 4:21
- B1 First In Existence 3:28
- B2 Sample The Dope Noise 2:49
- B3 The Posse Is Large (Remix) 3:28
- B4 Don't Try Us 2:59
- B5 Getting Fierce 3:21
動画
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LAKIM SHABAZZ * PURE RIGHTEOUSNESS
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LAKIM SHABAZZ * GETTING FIERCE
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LAKIM SHABAZZ * BLACK IS BACK
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LAKIM SHABAZZ * DON'T TRY US
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LAKIM SHABAZZ * FIRST IN EXISTENCE