Led Zeppelin - Houses Of The Holy (1973)
Led Zeppelin 1973

Led Zeppelin - Houses Of The Holy (1973)

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Led Zeppelin『Houses Of The Holy』(1973) レコード解説

Led Zeppelinの5作目となるスタジオ・アルバムが『Houses Of The Holy』だ。1973年3月26日にAtlanticから発表され、バンドが70年代前半に築いた作曲面と演奏面の幅を、そのまま一枚に収めた作品として位置づけられる。ハードロックを軸にしながら、ブルース由来の骨格だけに収まらず、リズムの組み方、音の置き方、曲の展開にまで踏み込んだ作りがはっきりしている。前年までの勢いを引き継ぎつつ、より整理された構成へ進んだ時期の記録でもある。

このアルバムは、メンバーが自宅にスタジオを設けたこともあって、制作の自由度が増した作品として語られることが多い。Robert Plant、Jimmy Page、John Paul Jones、John Bonhamの4人だけで全演奏とヴォーカルを担い、プロデュースはJimmy Page、ミックスはEddie Kramer。外部の装飾を増やすより、バンド内部で音を組み立てていく感触が強い。結果として、曲ごとの性格がかなり分かれていながら、アルバム全体では一本の流れを保っている。

オリジナルUK盤の仕様

今回の盤は1973年のUK初期リリース。Atlanticのオレンジ/白/グリーンのラベルで、Warnerのロゴは入らない仕様だ。マットな見開きジャケット、厚手の紙を使った上開きのスリーブ、歌詞インナーのテクスチャー感など、当時の英国盤らしい作り込みがある。初期コピーには、表にアーティスト名とアルバム名、裏にAtlanticのカタログ番号と注記を印刷した横長の白い帯が付属した例もある。ラベルと歌詞インナーで表記されるカタログ番号が異なる点も、この盤ならではの見どころだ。

UK初版では、ラベル面の見た目が印象的だ。オレンジのセクションに「All Rights...」の円周テキストが入り、Atlanticの当時のデザイン感がよく出ている。クレジットには「Made in UK」「Superhype Publishing / Warner Bros. Music」「℗ 1973」といった表記が並ぶ。盤面のランアウトは基本的にスタンプで、RLのみエッチングという点も確認できる。

アルバムの位置づけ

『Houses Of The Holy』は、Led Zeppelinの中でも「曲の完成度」と「音の広がり」が同時に見えやすい一枚だ。1stや2ndのような直線的な押し出しだけではなく、リズムの変化、録音空間の使い方、曲尺の伸び方にバンドの成熟が出ている。ハードロックの文脈に置きながらも、単純なギター・リフ中心の作品としてはまとまりきらないところが、このアルバムの性格を決めている。

同時代の英国ロックと比べても、Led Zeppelinはブルースの引用にとどまらず、フォーク、ファンク寄りのノリ、重心の低いミドルテンポまで取り込んでいる。ここではその傾向がかなり明確で、曲ごとに違う表情を見せながら、演奏の芯はぶれない。後年の『Physical Graffiti』へつながる広がりも、この時点ですでに見えている。

注目曲: 「The Song Remains the Same」

冒頭を飾るこの曲は、アルバムの入口として非常にわかりやすい。ギターの細かなフレーズが前に出る一方で、リズム隊がしっかりと支え、曲全体を押し流していく。短い曲尺の中に情報量が多く、Led Zeppelinの演奏精度がそのまま出るタイプだ。ライブでも重要な位置を占めた楽曲で、アルバムの時点で既に「速く、しかし雑ではない」バンドの強みが見えている。

注目曲: 「The Rain Song」

『Houses Of The Holy』の中でも特に構成の変化がはっきりした曲だ。静かな立ち上がりから、少しずつ厚みを増していく展開で、ギターの響きと歌の入り方が印象に残る。Led Zeppelinのバラード的な側面を示す一曲だが、単なる抒情に寄らず、演奏の段階で緊張感を保っている。アルバムの中で曲順が進むにつれて、作品全体の温度を変える役割も担っている。

注目曲: 「No Quarter」

重心の低い進行と、鍵盤の使い方が際立つ曲。John Paul Jonesの存在感が強く、バンドがギター主導だけでないことを示している。音数を抑えながら圧を作るタイプの楽曲で、派手さよりも持続する緊張がある。アルバム後半に置かれることで、前半の推進力とは別の方向へ盤面を広げていく。

「The Ocean」とタイトル曲について

「The Ocean」は、アルバムを締める代表曲のひとつだ。リフの推進力とコーラスのわかりやすさがあり、Led Zeppelinの中でも比較的入り口が明瞭なナンバーとして知られる。強いビートに乗せながら、演奏はきっちりと組み上がっていて、終盤に向けての高揚感を作る役割がある。

一方で、タイトル曲「Houses Of The Holy」はこのオリジナル盤には収録されていない。後に別の形で世に出ることになるが、アルバム名としては作品全体の雰囲気を象徴する語として機能している。収録曲群を見ても、実際には特定の一曲に寄せるより、複数の方向へ開いた内容になっているのが面白いところだ。

総評

『Houses Of The Holy』は、Led Zeppelinが大きな音で押し切るバンドから、曲ごとに設計を変えられるバンドへ移っていく途中の記録として読むと見えやすい。ハードロック、ブルースロックという枠組みの中にいながら、演奏の組み立てや音の空間で別の景色を作っている。UK初版の仕様も含めて、1973年という時代の空気がそのまま封じ込められた一枚だ。

トラックリスト

  1. A1 The Song Remains The Same 5:24
  2. A2 The Rain Song 6:32
  3. A3 Over The Hills And Far Away 4:06
  4. A4 The Crunge 3:52
  5. B1 Dancing Days 3:40
  6. B2 D'yer Mak'er 4:18
  7. B3 No Quarter 6:52
  8. B4 The Ocean 4:16

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