Lucio Battisti - Amore E Non Amore (1971)
Lucio Battisti 1971

Lucio Battisti - Amore E Non Amore (1971)

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Lucio Battisti『Amore E Non Amore』――1971年のイタリア・ロック/ポップを押し広げた一枚

Lucio Battistiの『Amore E Non Amore』は、1971年にイタリアで発表されたアルバムだ。Battistiがソングライターとしてすでに強い存在感を持っていた時期の作品で、メロディの強さを軸にしながら、ロックやプログレッシブな感触を取り込んだ構成が印象に残る。彼の名前はヒット曲の作り手として語られることが多いが、この時期のアルバムを聴くと、単なるポップ・シンガーの枠には収まらない動きがはっきり見えてくる。

タイトルの『Amore E Non Amore』は、そのまま「愛」と「愛ではないもの」を並べた言葉で、作品全体の視線にも通じている。Mogolとの共作で知られるBattistiは、当時のイタリアン・ポップの中でも、言葉の切り取り方と曲の展開に独自性があった。本作もその延長線上にありつつ、よりアルバム単位での流れを意識した作りになっている。

作品の位置づけ

1971年という時期は、Battistiのキャリアの中でも重要だ。1960年代後半のヒットの蓄積を経て、1970年代前半には作家性の強いアルバムへと歩を進めていく。その中で『Amore E Non Amore』は、ポップソングの明快さと、当時のロック的な演奏感覚をつなぐ位置にある作品として捉えやすい。のちの『Anima latina』のような大規模な実験性に比べると、まだ歌の輪郭は保たれているが、そのぶん曲の中に潜む細かな仕掛けが聴き取りやすい。

同時代のイタリアでは、歌謡曲の流れだけでなく、英米ロックの影響を受けたアーティストが増えていた。Battistiはその中でも、単に海外の流行をなぞるのではなく、イタリア語の響きとメロディの運びを保ったまま、編曲や展開で新しさを出していた人だ。Banco del Mutuo SoccorsoやPFMのような本格的なプログレ勢とは別の場所にいながら、アルバム全体の感触には同時代の空気がしっかり入っている。

収録曲の聴きどころ

表題の『Amore E Non Amore』は、このアルバムの核になる曲だ。Battistiらしい旋律の運びがありながら、ただ親しみやすいだけでは終わらない。歌が前に出る場面と、演奏が少し引いて空気を作る場面の切り替えが効いていて、曲全体に起伏がある。イタリアン・ポップの文脈で聴くと、メロディの美しさだけでなく、構成の練り方に耳が行くタイプの一曲だ。

この曲では、Battistiのヴォーカルの置き方も見どころになる。大げさに盛り上げるのではなく、言葉を追いながら少しずつ熱を上げていく歌い方で、Mogolの詞と音の流れが噛み合っていく感覚がある。サビのわかりやすさだけで記憶に残る曲ではなく、何度か聴くうちに、各セクションのつなぎ方や間の取り方が印象に残るタイプだ。

もう一つ注目したいのは、アルバム全体を通じて見える静と動の切り替えだ。Battistiの作品はメロディ先行で語られがちだが、この時期にはアレンジの細部、リズムの置き方、音数の整理の仕方にも意識が向いている。派手な技巧を前面に出すというより、曲の流れの中で必要な要素だけを残していく作りで、そこに1971年らしい実験性がある。

サウンドと制作の印象

オリジナルのイタリア盤はRicordiからのリリースで、レーベル表記やラベル面の細部にも当時の初回プレスらしい特徴が見られる。盤面のクレジットに「ed. Acqua Azzurra」が入り、リム表記には「Made in Italy by Dischi Ricordi S.p.A.」がある。こうした情報からも、作品がイタリア国内の制作・流通の中でしっかり組み上げられていたことがわかる。

音の印象としては、ロック寄りのビート感を持ちながら、歌の線が常に中心にある。英米のハードなロックとは違い、演奏が前面に出ても、曲の輪郭は崩れない。そこがBattistiの魅力で、ポップスとしての聴きやすさを保ったまま、アルバム単位では少し複雑な手触りを残している。

Lucio Battistiというアーティストの中で

Battistiは、イタリア音楽史の中でも特に重要なソングライターとして扱われることが多い。初期のヒットで広く知られ、その後は作家性の強い作品へ進んでいく流れがはっきりしている。『Amore E Non Amore』は、その移行期の手応えが見えやすい一枚だ。歌の強さを土台にしながら、アルバム全体で少し先を見ている感じがある。

結果として本作は、単独の名曲だけでなく、1971年という時代のイタリア・ポップの変化を一枚で感じやすい作品になっている。Battistiのメロディ、Mogolの言葉、当時のロック的な空気、その三つが比較的わかりやすい形で交わっている点が、このアルバムの面白さだと思う。

トラックリスト

  1. A1 Dio Mio No
  2. A2 Seduto Sotto Un Platano Con Una Margherita In Bocca Guardando Il Fiume Nero Macchiato Dalla Schiuma Bianca Dei Detersivi
  3. A3 Una
  4. A4 7 Agosto Di Pomeriggio. Fra Le Lamiere Roventi Di Un Cimitero Di Automobili Solo Io, Silenzioso Eppure Straordinariamente Vivo
  5. B1 Se La Mia Pelle Vuoi
  6. B2 Davanti Ad Un Distributore Automatico Di Fiori Dell'Aereoporto Di Bruxelles Anch'Io Chiuso In Una Bolla Di Vetro
  7. B3 Supermarket
  8. B4 Una Poltrona, Un Bicchiere Di Cognac, Un Televisore. 35 Morti Ai Confini Di Israele E Giordania

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