Malo - Dos (1972)
Malo 1972

Malo - Dos (1972)

Funk / Soul Latin

Malo『Dos』解説

1972年に登場したMaloの2作目『Dos』は、サンフランシスコを拠点にしたラテン・ロック・バンドの勢いを、そのままアルバム単位で押し出した作品だ。Maloは、ラテンのリズム、ロックのバンド・サウンド、そこにソウルやファンクの感触を重ねたグループとして知られ、同時代のSantanaやWarと並べて語られることが多い。『Dos』はその初期Maloの中でも、バンド名義のアルバムとしての輪郭がよりはっきり見える一枚で、1972年という時代の空気を強く持っている。

この日本盤はWarner Bros. RecordsのP-8290Wで、リリース年も1972年。つまり、後年の再発ではなく、当時のオリジナル期に出た盤として扱える。Warner Bros.の1970〜73年頃のグリーン・ラベル期にあたる時代で、同レーベルがラテン・ロックやブラック・ミュージック、AORまで幅広く抱えていた流れの中にある。Maloがそのカタログに並んでいたこと自体、当時のラジオ・シーンでこの音楽が一定の存在感を持っていたことを示している。

Maloというバンドの立ち位置

Maloは、1972年に結成され、デビューから短期間のうちにWarner Bros.から4枚のアルバムを残したグループだ。中心にあるのは、ラテン・パーカッションを土台にしたグルーヴと、ロックの演奏感。ここにホーンやオルガン、ギターが加わることで、単なる“ラテン色の強いロック”ではなく、都市的でバンド色の濃いサウンドになっている。Santanaがギターの存在感と即興性で広く知られたのに対し、Maloはよりアンサンブルの厚みや歌ものの推進力に耳が向きやすい。

初期Maloを語るうえで外せないのが、シングル「Suavecito」だ。グループの代表曲として広く知られ、ポップ・ラジオにも届いた楽曲で、Maloの名前を一般層にまで押し上げた一曲である。『Dos』は、その成功で得た注目の中で出た時期の作品として見るとわかりやすい。ラテン・ロックが“新しいジャンル”として広がっていた時代の、実演感のある記録といえる。

アルバム全体の聴きどころ

『Dos』を通して聴くと、まず耳に入るのはリズムの組み立てだ。ロックの基本的なビートの上に、コンガやティンバレスが細かく絡み、曲によってはホーン・セクションが前に出てくる。こうした要素が重なっても、音像が散らからず、バンドとしてのまとまりが保たれているのがこの時代のMaloらしいところだ。演奏が前へ前へと進むタイプで、長めの曲でも流れが止まりにくい。

また、同時代のラテン・ロック作品に比べると、ソウルやファンク寄りのノリが自然に混ざっているのも特徴だ。ギターが前面に出る場面でも、単なるロック・バンドの押し切りにならず、ベースとパーカッションの動きが曲の芯を作っている。1970年代初頭の西海岸らしい、クラブで鳴っているような生々しさと、レコード作品としての整理された響きが同居している。

注目曲「Suavecito」について

『Dos』を語るなら、やはり「Suavecito」に触れないわけにはいかない。Maloを代表するこの曲は、甘さのあるメロディとラテン・リズムの組み合わせがはっきりしていて、当時のポップ・チャートにも届いた理由がわかりやすい。歌のフックが強く、バンドの演奏もそのフックを邪魔せず支えていく構成で、ラテン・ロックの入口として機能した一曲だ。

実際に聴くと、華やかなだけではなく、リズム隊の粘りが印象に残る。派手なソロで押し切るのではなく、歌とリズムの往復で引っ張る作りなので、繰り返し聴いても曲の骨格が見えやすい。Maloの魅力が、技巧の見せ場よりも、アンサンブル全体のうねりにあることが伝わる代表曲といえる。

『Dos』の位置づけ

本作は、Maloが“ラテン・ロックの新顔”から、ひとつのバンドとして認識されていく途中にある作品だ。デビュー直後の勢いだけでなく、曲作りと演奏のバランスをどう保つかという段階に入っているように聴こえる。Santanaのような大きな成功例がすでにあり、同じベイエリアからはWarやAztecaといった名前も出てきた時期だけに、Maloもまたその潮流の中で独自の立ち位置を作ろうとしていたことがわかる。

日本盤の1972年オリジナル期プレスという点でも、この作品は当時の受け止められ方をそのまま残した資料性がある。Warner Bros.のグリーン・ラベル期の雰囲気も含めて、1970年代初頭のラテン・ロックがメジャー・レーベルの棚に並んでいた時代を感じさせる一枚だ。Maloの初期像を確認するうえで、『Dos』は重要な位置にある。

トラックリスト

  1. A1 Momotombo 5:06
  2. A2 Oye Mamá 6:03
  3. A3 I'm For Real 6:39
  4. B1 Midnight Thoughts 3:58
  5. B2 Helá 5:06
  6. B3 Latin Bugaloo 9:31

動画

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