Mogwai - As The Love Continues  (2021)
Mogwai 2021

Mogwai - As The Love Continues (2021)

Rock Post Rock

Mogwai『As The Love Continues』について

Mogwaiの『As The Love Continues』は、2021年にRock Action Recordsからリリースされた作品で、UK盤は同年発表の初出リリースとなる。Scottish post-rock bandとして1995年にグラスゴーで始動した彼らにとって、10作目のスタジオ・アルバムにあたる重要作であり、長く続くバンドの現在地をそのまま示す1枚として位置づけられている。レーベルもグラスゴーのRock Action Recordsで、バンドの活動拠点と強く結びついたリリースという点も印象的だ。

Mogwaiといえば、静かな立ち上がりから大きな音像へと展開していく構成、ギターを中心にした長尺曲、そして歌ものに寄りすぎない独特のバランスで知られてきた。『As The Love Continues』でもその基本線は大きく変わらないが、過去作に比べて輪郭がはっきりしており、メロディの見通しも良い。録音はイングランドのVada Recording Studiosで行われている。演奏の密度と音の整理のされ方に、そのスタジオ作業の丁寧さが出ているように感じられる。

作品の立ち位置

このアルバムは、初期の荒さや爆発力だけで押し切る作品ではなく、長年の活動で積み重ねてきた構成力が前面に出た内容だ。Mogwaiの中でも、比較的楽曲単位で印象が残りやすいアルバムとして語られることが多い。インスト中心のバンドとしての軸はそのままに、ボーカルの使い方や曲の起伏のつけ方がより明快で、バンドの成熟をそのまま音にしたような印象がある。

同時代のポストロック勢と比べると、Mogwaiは初期から音量の変化や空間の作り方に強みを持っていたが、この作品ではその持ち味がより整理されている。Tortoiseのような構築性や、Explosions in the Skyに通じる叙情性と並べて語られることもあるが、Mogwaiの場合はそこに少し硬質な感触が残る。感情を過度に押し出さず、演奏の積み重ねで押し切るタイプのアルバムだ。

注目曲「Pat Stains」

冒頭を飾る「Pat Stains」は、このアルバムの方向性を示す1曲としてわかりやすい。静かなパートと音圧のある展開を行き来しながら、Mogwaiらしい起伏を短い時間の中にまとめている。派手なフックで引っ張るというより、リフと音の重なりで空気を変えていく作りで、1曲目としての役割がはっきりしている。

この曲でまず伝わるのは、演奏の精度だ。各パートが前に出過ぎず、それでも全体としてはしっかりと盛り上がる。Mogwaiの初期作にある荒々しさとは少し違い、音のぶつけ方が整理されているぶん、後半に向けての高まりが読みやすい。アルバム全体の入口として、かなり機能的な配置になっている。

注目曲「Ritchie Sacramento」

「Ritchie Sacramento」は、アルバムの中でも特に耳に残りやすい曲だ。ボーカルが前面に出ることで、Mogwaiのインスト主体のイメージとは少し違う輪郭を見せる。とはいえ、歌が中心になりすぎるわけではなく、バンド特有の空間の広がりの中に声が置かれている感覚が強い。

この曲は、アルバムの中でメロディのわかりやすさが際立つ一方、演奏の質感はあくまでMogwaiのものだ。静かに進む部分と、音が重なっていく部分の切り替えが自然で、派手さよりも持続力のある印象を残す。代表曲として挙げられやすいのも納得できる位置づけだ。

アルバム全体の流れ

『As The Love Continues』は、曲ごとの表情がはっきりしている。長尺でじわじわ積み上げる曲もあれば、比較的コンパクトにまとまった曲もあり、アルバムとしての聴きやすさがある。限定500枚のLPで、MP3ダウンロードコードとバンドのサイン入り写真が付属する仕様も、フィジカル作品としての存在感を強めている。

2021年のMogwaiを知るうえで、このアルバムはかなり重要な1枚といえる。グラスゴーのバンドが、地元のレーベルから、長年の方法論を保ちながら現在形の音を鳴らした作品。ポストロックという言葉で括られやすい一方で、その中身はかなり具体的で、演奏、構成、音の置き方の細部にまで目が届く内容だ。長く続くバンドの節目としても、ひとつの到達点としても見やすいアルバムである。

トラックリスト

  1. A1 To The Bin My Friend, Tonight We Vacate Earth
  2. A2 Here We, Here We, Here We Go Forever
  3. A3 Dry Fantasy
  4. B1 Ritchie Sacramento
  5. B2 Drive The Nail
  6. B3 Fuck Off Money
  7. C1 Ceiling Granny
  8. C2 Midnight Flit
  9. C3 Pat Stains
  10. D1 Supposedly, We Were Nightmares
  11. D2 It's What I Want To Do Mum

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