My Bloody Valentine - Loveless (1991)
My Bloody Valentine 1991

My Bloody Valentine - Loveless (1991)

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My Bloody Valentine『Loveless』(1991年・UK盤)レビュー

My Bloody Valentineの『Loveless』は、1991年にUKのCreation Recordsから出た2作目のフルアルバムで、バンドの名を決定づけた作品として知られている。アイルランドとイングランドのメンバーで構成されたこのバンドは、1980年代後半から活動し、オルタナティヴ・ロック、シューゲイズ、ノイズ・ロックの文脈の中で独自の音作りを押し広げてきた。本作では、その方向性がいちど大きく結晶していて、以後のギターロックの聴かれ方にも影響を残した一枚として扱われることが多い。

このUK盤は、光沢のあるジャケットと、厚手の紙を使った横開きのインナー・スリーブが付いた仕様。クレジットやアートワークを含め、当時のCreation Recordsらしい体裁になっている。レーベル表記は「A Creation Records Product」「℗ & © 1991 Creation Records」「Made in England」。盤としても、オリジナル期の空気をそのまま伝える仕様といえる。

作品の位置づけ

『Loveless』は、My Bloody Valentineにとって事実上の代表作であり、同時にシューゲイズという呼び名を強く印象づけた作品でもある。前作『Isn’t Anything』で見せた轟音ギターとメロディの接点を、より細かく、より密度高く詰め込んだ内容で、アルバム全体が一続きの質感を持っている。曲単位で聴いても成立するが、通して聴くと音の層や残響のまとまりがよりはっきり見えてくるタイプの作品だ。

同時代のUKロックの中では、ギターを前面に出しながらも、リフの強さやバンド感で押すより、音色そのものを組み立てる姿勢が目立つ。RideやSlowdive、Lushと並べて語られることが多い一方で、『Loveless』はその中でも特に音の処理が細かく、歌が前に出る瞬間と、ギターの壁に埋もれる瞬間の振れ幅が大きい。

聴きどころ1: 「Only Shallow」

冒頭を飾る「Only Shallow」は、このアルバムの入口として非常にわかりやすい。いきなり厚いギターのうねりが来るが、単に大きい音が鳴っているだけではなく、右から左へ流れるような音像の動きがある。リズムは比較的はっきりしているのに、全体としては輪郭が少し曖昧で、そこにKevin ShieldsとBilinda Butcherのボーカルが薄く重なる構成。アルバムの方向性を短時間で示す曲になっている。

この曲を聴くと、『Loveless』が“ギターで押し切る作品”というより、“ギターの質感を細かく設計した作品”だと感じやすい。音が前に出ているのに、どこか遠景のようにも聴こえる。その距離感が、このアルバム全体の聴感につながっている。

聴きどころ2: 「To Here Knows When」

「To Here Knows When」は、アルバムの中でも特に浮遊感の強い一曲として知られる。ドラムの輪郭、ギターの残響、ボーカルの置き方がそれぞれ独立しているようで、結果としてひとつの流れにまとまっている。メロディは明確に存在するのに、前面に出てこない。その抑えた配置が、逆に曲の印象を強くしている。

この曲では、My Bloody Valentineの録音作業の特徴がよく出ている。一般的なロック・バンドのように“演奏の勢い”で押すのではなく、レイヤーを積んでいくことで曲の輪郭を作っている感じだ。聴き進めるほどに、音の重なり方そのものが主役に近づいていく。

聴きどころ3: 「When You Sleep」

「When You Sleep」は、本作の中では比較的メロディがつかみやすい代表曲のひとつ。やわらかく聴こえるが、音の中身はかなり複雑で、ギターの粒立ちとボーカルの重なりが独特の密度を作っている。アルバムの中でこの曲に入ると、全体の中に短い明るさのようなものが差し込む。

ヒット曲という言い方をするなら、一般的にはこの曲や「Only Shallow」がまず挙がることが多い。とはいえ、いわゆるシングル的な派手さより、アルバムの流れの中で耳に残るタイプの代表曲だといえる。

作品全体の聴感

『Loveless』を通して聴くと、曲ごとの起伏よりも、アルバム全体に流れる音の連続性が強く印象に残る。ドラムは前に出すぎず、ギターは歪みながらも輪郭を完全には失わず、ボーカルはしばしば音の層のひとつとして扱われる。そのため、言葉を追う聴き方より、音の質感や空間の変化を追う聴き方のほうが、この作品の性格には合っているように感じる。

My Bloody Valentineにとっては、ここでひとつの到達点に達した、という見方がされやすい。後年の再結成以降もこの作品の評価は揺らいでおらず、むしろオルタナティヴ・ロック史の中で重要な位置を占めるアルバムとして定着している。1991年のUK盤は、その初期形を示す資料性も含めて、作品の輪郭をつかみやすい一枚だ。

トラックリスト

  1. A1 Only Shallow
  2. A2 Loomer
  3. A3 Touched
  4. A4 To Here Knows When
  5. A5 When You Sleep
  6. A6 I Only Said
  7. B1 Come In Alone
  8. B2 Sometimes
  9. B3 Blown A Wish
  10. B4 What You Want
  11. B5 Soon

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