Oscar Peterson - The Way I Really Play (1968)
Oscar Peterson 1968

Oscar Peterson - The Way I Really Play (1968)

Jazz Cool Jazz

Oscar Peterson『The Way I Really Play』について

Oscar Petersonの『The Way I Really Play』は、1968年に発表されたピアノ・トリオ作品で、同年4月にHans Georg Brunner-Schwerの私設スタジオで録音されたアルバムである。リリース元はUK盤のPolydor、カタログ番号は583 715。レーベル表記にあるように、MPSとの提携で発売された作品でもあり、当時のヨーロッパ録音ならではの落ち着いた制作環境がそのまま音に反映されている。

Oscar Petersonはカナダ・モントリオール出身のジャズ・ピアニスト、作曲家、バンドリーダーで、クラシック教育を受けたのちジャズに転じた経歴を持つ。強いタッチと流麗な運指で知られ、即興の推進力と構成の明快さを両立させる奏法が持ち味だ。本作も、その特徴が非常にわかりやすく出ている一枚で、技巧を前面に出しながらも、演奏全体の見通しが崩れないところにPetersonらしさがある。

作品の位置づけ

1968年という時期のPetersonは、すでに長いキャリアを積み上げた後期の充実期に入っている。1950年代のトリオで確立したピアノ・ジャズの語法を土台にしながら、60年代後半の録音ではより洗練された音づくりが目立つ。本作も、派手さだけで押し切るタイプではなく、曲の輪郭やリズムの置き方をきっちり見せる内容になっている。

同時代のピアノ・ジャズを見渡すと、Bill Evansの内省的なアプローチや、Ahmad Jamalの間の使い方と比べられることがあるが、Petersonはそこよりも直線的で、推進力の強い演奏に特徴がある。とはいえ、ここでは単に速くて重いだけではなく、音の配置が整っていて、ヨーロッパ録音らしい空気感もある。そうした点が、このアルバムを単なる技巧派作品以上のものにしている。

録音と音の印象

録音は1968年4月、Hans Georg Brunner-Schwerのプライベート・スタジオで行われた。Brunner-SchwerはMPS周辺の録音で重要な存在で、静かな環境で演奏の細部を拾う録り方に定評がある。本作でも、ピアノのアタックが明瞭で、低音から高音までの分離がよい。ベースとドラムも過度に前へ出ず、トリオ全体のバランスが保たれている。

UK盤のPolydor 583 715は、1968年のオリジナル期にあたる仕様で、ラベルには当時のUK Polydorらしい情報がまとまっている。なお、この作品は後年さまざまな形で再発されているが、ここで扱うのは1968年盤としての初出の姿である。

注目曲

収録曲の中では、アルバムのタイトル曲である「The Way I Really Play」がまず中心になる。Petersonの演奏スタイルを端的に示す曲で、右手のフレーズが前へ進みながら、左手が和声と推進力を支える構図がはっきりしている。タイトルどおり、自分の流儀をそのまま提示するような内容で、装飾の多さと輪郭の明快さが同時に立っているのが印象的だ。

もう一つの聴きどころは、トリオとしての呼吸が見えやすい場面である。Petersonのソロだけでなく、ベースとドラムがどこで支え、どこで押し返すかによって曲の流れが変わる。特にテンポが上がる箇所では、ピアノが一気に走ってもアンサンブルが崩れず、むしろ全体が締まっていく。こうしたやり取りは、ライブ感の強いジャズ・トリオの醍醐味そのものだ。

このアルバムの聴きどころ

『The Way I Really Play』は、Oscar Petersonの技巧を確認するための作品であると同時に、録音の質感まで含めて楽しめる一枚でもある。ピアノの粒立ち、フレーズの切り返し、リズムの押し引きが見えやすく、Petersonの演奏がいかに整理されているかがよくわかる。派手な名演というより、完成度の高い演奏がきちんと積み上がっていくタイプのアルバムである。

Petersonのディスコグラフィーの中では、60年代後半の成熟した姿を示す作品として位置づけられる。若い時期の勢いとはまた違い、ここでは表現の安定感が前面に出る。ジャズ・ピアノの王道をそのまま体現したような内容で、彼のキャリアを通して見ても重要な時期の記録として受け取れる。

まとめ

『The Way I Really Play』は、1968年のOscar Petersonがどのように自分のピアノを鳴らしていたかを、かなり率直に伝えるアルバムである。ヨーロッパ録音らしい整った音像の中で、Petersonの強いタッチと明快な構成力がよく映える。Cool Jazzの枠に置かれながらも、実際にはもっと広いジャズ・ピアノの文脈で聴ける内容であり、彼の演奏の核心に触れやすい一枚だ。

トラックリスト

  1. A1 Waltzing Is Hip
  2. A2 Satin Doll 16:02
  3. A3 Love Is Here To Stay 4:45
  4. B1 Sandy's Blues 9:26
  5. B2 Alice In Wonderland 4:41
  6. B3 Noreen's Nocturne 5:15

動画

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