Otis Redding - The Immortal Otis Redding (1968)
Otis Redding 1968

Otis Redding - The Immortal Otis Redding (1968)

Funk / Soul Funk Soul

Otis Redding『The Immortal Otis Redding』(1968)

Otis Reddingの『The Immortal Otis Redding』は、1968年にUSのATCO Recordsから出たアルバムで、Otisの死後にまとめられた作品のひとつだ。タイトルどおり、本人の存在感をそのまま残したような内容で、ソウル・シンガーとしての強さと、ステージで培った歌の押し出しがはっきり伝わる構成になっている。Otis Reddingは1941年ジョージア州生まれ。1967年12月に飛行機事故で亡くなっており、このアルバムに収められた音源は、主に1967年の春から秋にかけて録音されたものだ。つまり、晩年の充実期を切り取った一枚という位置づけになる。

Otisは60年代アメリカン・ソウルを代表する存在で、R&Bの語法を土台にしながら、歌の入り方、フレーズの置き方、叫びすぎないのに熱量が落ちない歌唱で評価されてきた。ここでもその持ち味は変わらない。バンドの推進力に乗りながら、歌が前に出る。曲によってはファンキーなリズムが強く、別の曲ではサザン・ソウルらしい粘りが出る。Otisのディスコグラフィーの中では、代表作『Otis Blue』『Dictionary of Soul』などに続く流れのなかで、最後期の録音を聴ける作品として見ておきたい。

作品の位置づけ

このアルバムの重要な点は、未発表曲を中心にした編集盤的な性格にある。収録曲のうち、先行シングルとして知られるのは「The Happy Song」だけで、それ以外は当時未発表だった音源だという。録音時期が1967年に集中しているので、Otisが亡くなる直前の歌唱と演奏をまとめて確認できる内容でもある。生前のアルバム群と比べると、ヒット曲を並べた編集というより、最後のセッションの空気をそのまま残した記録に近い。

同時代のソウルでいうと、Sam & Daveのようなサザン・ソウルの切れ味、Aretha Franklinのような強い歌の主張、あるいはJames Brownのファンク的な推進力と比較されることが多いが、Otisの場合はそのどれとも少し違う。力で押すというより、声の揺れや間の取り方で引き込むタイプだ。この盤でも、その歌の組み立て方がよく出ている。

「The Happy Song」

注目曲としてまず挙げたいのが「The Happy Song」。もともと1968年4月にシングルとして出ていた曲で、このアルバムの中では唯一、先に世に出ていた音源になる。タイトル通り明るさのある曲だが、単純に軽いだけではなく、Otisの声が入ることでグルーヴに芯が通る。リズムの跳ね方と歌の押し引きが噛み合っていて、いかにも当時のソウル・シングルらしい作りだ。

聴いていると、Otisがメロディをなぞるだけでなく、語るように歌を前へ進めていくのがわかる。サビでの勢いもあるが、細かな節回しの中に余裕がある。派手な装飾で盛り上げるというより、バンドの土台の上で声をしっかり鳴らすタイプの一曲だ。

アルバム全体の聴きどころ

『The Immortal Otis Redding』は、収録曲ごとの温度差も含めて面白い。ソウルの王道を行くバラード寄りの楽曲では、Otisの低めの声がじわっと前に出るし、ファンキーな曲ではリズムの切り方がはっきりしてくる。1967年録音ということで、Stax系のサウンドに通じる乾いた輪郭と、ATCOでの流通らしい広い聴かれ方の両方を感じる一枚でもある。

また、この盤は1968年のUS盤としてATCO Recordsから出ており、レーベル面では当時のAtlantic系ATCOらしい仕様が見られる。ATCOはAtlanticの傘下レーベルとして機能していた時期で、60年代後半のソウルやポップスを広く扱っていた。US盤の1968年リリースとしては、Otisの死後に作品をどのように残すかという流れの中に置かれる盤でもある。

オリジナル盤としての見方

この1968年盤は、作品が初めて世に出た時点の姿にあたる。Otis Reddingの最晩年の録音を、当時の編集感覚でまとめたものなので、後年の再発盤とはまず時代の空気が違う。録音そのものの価値に加えて、1968年という年にこの内容がどう受け取られたか、という文脈も持っている。Otisの死後、残された音源がどのように整理され、アルバムとして提示されたのかを知るうえでも重要なタイトルだ。

ソウルやファンクの歴史の中で見ると、この作品は大ヒット曲だけを追うための一枚というより、Otis Reddingという歌い手の最後期の記録として意味が大きい。声そのものの説得力、バンドとの一体感、そして録音年代の近さが、そのままアルバムの価値になっている。

トラックリスト

  1. A1 I've Got Dreams To Remember 3:10
  2. A2 You Made A Man Out Of Me 2:06
  3. A3 Nobody's Fault But Mine 2:20
  4. A4 Hard To Handle 2:18
  5. A5 Thousand Miles Away 2:09
  6. A6 The Happy Song (Dum-Dum-De-De-De-Dum-Dum) 2:40
  7. B1 Think About It 2:59
  8. B2 A Waste Of Time 3:15
  9. B3 Champagne And Wine 2:49
  10. B4 A Fool For You 2:55
  11. B5 Amen 3:20

動画

Share
記事一覧に戻る
toast