Ozric Tentacles - Tantric Obstacles (1985)
Ozric Tentacles 1985

Ozric Tentacles - Tantric Obstacles (1985)

Electronic Rock Ambient Experimental Psychedelic Rock Fusion Space Rock Dub Ethereal

Ozric Tentacles『Tantric Obstacles』について

Ozric Tentaclesは、1983年にサマセットで結成されたイギリスのプログレッシブ/スペース/サイケデリック・ロック・バンドで、本作『Tantric Obstacles』は1985年に残された初期音源を、2023年にKscopeからUK & Europe盤としてまとめ直した再発盤である。バンドはEd Wynneを中心に、40年以上にわたって編成を変えながら活動を続け、アルバム枚数も多い。そうした長いキャリアの中で見ると、この作品は後年の完成度の高いスタジオ作とは少し違い、バンドの出発点に近い空気をそのまま残す記録として位置づけられる。

Kscopeはロンドン拠点のプログレッシブ系レーベルで、現行の作品やカタログ再発を手がけている。この2023年盤は、1985年のオリジナル音源に℗1985 Kscope、©2022 Kscopeと記されており、古い時代の素材を現代の流通に乗せ直した形になっている。マスターノートには、別コンピレーションや別セットの一部としても再発されていることが示されていて、単独作としてだけでなく、初期Ozricの断片を知る入口として扱われていることがわかる。

初期Ozric Tentaclesの輪郭

Ozric Tentaclesの魅力は、ギターを軸にしつつ、シンセサイザー、フルート、ベース、打楽器が細かく重なり、曲の進行よりも音の流れそのものを聴かせるところにある。本作の時点では、その後の代表的な長尺ジャムや高密度な電子音処理へ向かう前段階の印象が強く、リズムの組み方や音色の選び方に、インディペンデントな実験精神が前面に出ている。プログレッシブ、スペースロック、ダブ、アンビエント、フュージョンといった要素が並ぶのも、まさにこのバンドの初期像を示すものだろう。

同時代の英国サイケデリック/アンダーグラウンドと比べると、Ozric Tentaclesはロックのバンド感を保ちながら、電子的な処理や反復をかなり積極的に取り込んでいる。Hawkwindの宇宙的な推進力、Can以降の反復感、あるいはフレーズの積み上げ方にはソフトマシーン系を思わせる部分もあるが、あくまで参照点のひとつという印象で、実際にはもっと雑多で、手触りの近い宅録感も含んだ音像になっている。

収録曲の聴きどころ

この種の初期音源では、単独のヒット曲を追うよりも、曲ごとのモチーフや展開の差を追うほうが面白い。本作でも、リフを繰り返しながら少しずつ音の層を増やす構成、フルートやシンセが前に出てくる場面、低音がダブ的に膨らむ場面など、後年のOzricに通じる要素が早い段階で確認できる。録音の質感は洗練一辺倒ではなく、むしろ音が前後に揺れながら進む感じがあり、初期作品ならではの生々しさになっている。

特に注目したいのは、Ed Wynneのギターが主役としてだけでなく、電子音やベースの流れに溶け込むように機能している点である。Ozric Tentaclesの作品では、派手なソロよりも、フレーズの断片を重ねていく組み立てが印象に残ることが多いが、この『Tantric Obstacles』でもその方向性ははっきりしている。曲の頭で提示されたパターンが、終盤に向けて別の質感へ変わっていく、その変化の仕方を聴くのがこの作品の中心になる。

2023年再発盤としての意味

2023年盤は、1985年のオリジナル音源を現在のレーベル体制で聴けるようにした再発という点に価値がある。Ozric Tentaclesはアルバムごとに編成や制作環境が変わってきたバンドだが、その出発点に近い音をまとめて確認できるのは大きい。現行メンバーにまでつながる長い歴史を踏まえると、この作品は「完成された代表作」ではなく、「後のOzric Tentaclesがどう形づくられたか」を見るための記録として読むのが自然だろう。

初期のアンダーグラウンド・プログレ、スペースロック、実験音楽の境目にある作品として、派手さよりも素材感が前に出る一枚。Ozric Tentaclesの作品群の中では、のちの大規模な展開の前に置かれた、かなり早い段階のスケッチのような位置づけが見えてくる。バンドの長い歴史をたどるうえで、こうした初期音源の再発は、流れの始点を確かめる役割を持っている。

トラックリスト

  1. A1 Og-Ha-Be
  2. A2 Shards Of Ice
  3. A3 Sniffing Dog
  4. B1 Music To Gargle At
  5. B2 Ethereal Cereal
  6. B3 Atmosphear
  7. B4 Ullular Gate
  8. B5 Tentacles Of Erpmind
  9. C1 Trees Of Eternity
  10. C2 Mescalito
  11. C3 Oddhamshaw Style
  12. C4 Become The Otter
  13. D1 Gnuthlia
  14. D2 Sorry Style
  15. D3 The Aum Shuffle

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