Pentatonix - That's Christmas To Me (2014)
Pentatonix『That’s Christmas To Me』について
Pentatonixの『That’s Christmas To Me』は、2014年にオリジナル・リリースされたホリデー作品で、アメリカのア・カペラ・グループとしての持ち味がもっともわかりやすく出たアルバムのひとつだ。Arlington, Texas出身の5人組で、ポップ、ヒップホップ、R&Bを土台にしながら、声だけで曲の構造を組み立てていくスタイルで知られる。グループはすでにグラミー賞を2度受賞しており、Billboard 200で1位を記録したアルバムも持つ。そうした実績の流れの中で見ると、本作はPentatonixの認知をさらに広げた季節作品として位置づけられる。
この盤は2015年のUS盤で、RCAからのリリース。ブルー・ヴァイナル仕様のBarnes & Noble Exclusiveとして流通した盤で、コレクション性の高い仕様になっている。オリジナルの2014年盤をベースにしつつ、2015年のアナログ盤として手元に置く楽しみがある一枚だ。Pentatonixの作品の中でも、ホリデー・レパートリーを単なる定番の寄せ集めではなく、グループの編成そのものを前面に出したアルバムとして聴ける点が大きい。
アカペラ・グループとしての強みが出る構成
Pentatonixの魅力は、歌声だけでリズム、ベース、和声、メロディを分担するところにある。本作でもその役割分担は明快で、低音の支え、ビート感のあるパート、主旋律、上声の重なりがきっちり組まれている。ホリデー・アルバムは装飾過多になりやすいが、この作品では声のレイヤーそのものがアレンジとして機能している印象が強い。楽器を使わない分、各メンバーの音量や発音、息の置き方がそのまま曲の輪郭になる。
2010年代半ばのポップ・ホリデー作品の中でも、Pentatonixは比較的「録音された声の構築物」としての完成度が高いタイプに入る。大きく鳴らす部分と、細かく刻む部分の切り替えがはっきりしていて、合唱的な広がりと、現代的なビート感が同居している。アカペラというと伝統的な合唱を連想しがちだが、このアルバムはそうした印象を更新する側面もある。
タイトル曲「That’s Christmas To Me」
表題曲の「That’s Christmas To Me」は、このアルバムの核になる1曲だ。華美な演出に寄りすぎず、家族や身近な時間を思わせるテーマを、まっすぐなメロディでまとめている。Pentatonixの楽曲の中でも特に親しみやすい部類で、複雑な構成よりも、言葉の運びと和声の積み重ねが印象に残る。ホリデー・ソングとしての機能がはっきりしていて、季節の定番として受け止められやすい作りだ。
聴いていてまず目につくのは、主旋律の通りの良さと、後ろで支えるコーラスの整理された配置だ。声の重なりが多いのに、輪郭がぼやけにくい。グループの各パートが過度に自己主張せず、曲全体の流れを優先しているので、タイトル曲としての安定感がある。アルバム全体のトーンを決めるうえでも重要な位置にある。
「Mary, Did You Know?」と宗教曲の扱い
ホリデー・アルバムの中でよく注目されるのが「Mary, Did You Know?」だ。Pentatonixはこの種の楽曲でも、荘厳さを押し出しすぎず、声の密度で聴かせる。曲の持つ静かな緊張感を保ちながら、サビで和声を広げていく流れがわかりやすい。アカペラで歌われることで、メロディの直線性よりも、フレーズの間にある余白がはっきり見える。
この曲では、歌唱のうまさを見せるというより、曲の感情を段階的に積み上げる姿勢が目立つ。Pentatonixは技巧のアピールが先に立つグループにも見えるが、このトラックではむしろ抑制が効いている。ホリデー作品の中でも、宗教的な題材に対して丁寧に向き合っている1曲として受け取れる。
「Little Drummer Boy」ほか、定番曲の再構成
「Little Drummer Boy」は、Pentatonixの代表的なホリデー・トラックのひとつとして扱われることが多い。原曲の打楽器的なイメージを、声だけでどう作るかが聴きどころで、ここではリズムの刻みがそのままアレンジの土台になっている。反復するフレーズの上に声が重なっていくため、曲の推進力が失われにくい。アカペラでありながら、行進するような流れが感じられる構成だ。
また、既存のクリスマス曲を並べるだけでなく、Pentatonixらしい再解釈が各曲に入っている点も本作の特徴だ。原曲の輪郭を保ちながら、和声の置き方やビートの作り方で印象を変えている。比較すると、同時代のホリデー作品の中でも、バンド編成の賑やかさより、声の層そのものに焦点を当てた作りがはっきりしている。
2015年盤としての見どころ
このUS盤は2015年リリースのアナログ盤で、ブルー・ヴァイナルという点も含めて、オリジナルの2014年作品とは少し違う楽しみ方ができる。音楽そのものは2014年の作品として捉えるのが自然だが、盤としては2015年の仕様が加わることで、ホリデー・アルバムを物として持つ満足感がある。RCAからの流通で、Pentatonixがメジャー・レーベルの枠組みの中で広く展開されていた時期の一枚でもある。
『That’s Christmas To Me』は、Pentatonixのアカペラ表現をホリデー・アルバムの形式にしっかり落とし込んだ作品だ。派手な演出に寄りすぎず、声の編成と和声の積み重ねで季節感を作る。グループの代表的な季節作品として扱われるのも自然な流れだろう。曲ごとの作り込みと、アルバム全体のまとまり、その両方が見えやすい一枚である。
トラックリスト
- A1 Hark! The Herald Angels Sing 3:12
- A2 Winter White Hymnal 2:47
- A3 Sleigh Ride 2:16
- Winter Wonderland / Don't Worry Be Happy 3:27
- A5 That's Christmas To Me 3:02
- B1 Mary, Did You Know? 3:23
- B2 Dance Of The Sugar Plum Fairy 2:06
- B3 It's The Most Wonderful Time Of The Year 3:05
- B4 Santa Claus Is Coming To Town 2:42
- B5 Silent Night 3:13
- Bonus Track
- B6 Let It Go 3:26
動画
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Hark! The Herald Angels Sing
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White Winter Hymnal (Fleet Foxes Cover)
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Sleigh Ride
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Winter Wonderland / Don't Worry Be Happy
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That's Christmas to Me
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Mary, Did You Know?
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Dance of the Sugar Plum Fairy
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It's the Most Wonderful Time of the Year
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Santa Claus is Coming to Town
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Silent Night
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Let It Go
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Joy to the World
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Just For Now
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The First Noel
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Have Yourself a Merry Little Christmas
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Mary, Did You Know?
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Christmas Eve