R.E.M. - Reveal (2001)
R.E.M.『Reveal』──2001年のR.E.M.が残した、静かな輪郭のはっきりした一枚
R.E.M.は、アメリカ南部ジョージア州アセンズで1980年に結成されたロックバンドだ。インディ・ロックの出発点からメジャー・フィールドまでを長く歩きながら、90年代以降はオルタナティヴ・ロックの代表格としても語られてきた。『Reveal』はその12作目のスタジオ・アルバムで、2001年5月にWarner Bros. Recordsからリリースされた作品。2000年5〜10月にかけて複数のスタジオで録音され、マスタリングはポートランドのGateway Mastering Studiosで行われている。
この時期のR.E.M.は、90年代前半の大きな成功を経て、サウンドの整理と再構築を進めていた頃にあたる。『Reveal』は、その流れの中で、派手な押し出しよりも、メロディと音の配置を丁寧に聴かせる方向に寄ったアルバムとして位置づけられる。レコードのバックカバーではA面が「Chorus Side」、B面が「Ring Side」と表記されていて、曲順だけでなく盤面の見せ方にも意識が向いているのがわかる。歌詞インサート付きという点も、当時の作品らしい作り込みだ。
アルバム全体の印象
『Reveal』を聴くと、まず耳に残るのは音の密度よりも、音が置かれている位置の明瞭さだ。ギター、鍵盤、声、リズムがそれぞれ前に出過ぎず、曲の輪郭を保ったまま進んでいく。R.E.M.特有の、メロディが前面にありながら説明しすぎない感じはここでも健在だが、90年代の大作志向とは少し距離がある。広がりはあるのに、手触りは落ち着いている。そういうバランスの作品に聞こえる。
同時代のオルタナティヴ・ロックを見渡すと、より荒さを残すバンドもいれば、ポップ寄りに振るバンドもいた。その中でR.E.M.は、歌とアンサンブルの整合性を重視する方向に進んでいた印象がある。『Reveal』は、その中間を丁寧に取ったアルバムとして記憶されやすい。派手な一撃より、曲ごとの質感を積み上げるタイプの1枚だ。
「Imitation of Life」について
このアルバムで最も広く知られている曲としては、「Imitation of Life」が挙げられる。シングルとしても存在感があり、R.E.M.の2000年代初頭を代表する楽曲のひとつだろう。タイトルの時点で少し意味深だが、実際の曲も、言葉の断片が流れるように重なりながら、明るさと寂しさが同居する作りになっている。
演奏面では、リズムの押し引きがはっきりしていて、メロディの流れを邪魔しない。耳に残るのはサビの開け方だけではなく、曲全体が前へ進みながらも、どこかで立ち止まるような感覚だ。R.E.M.の代表曲群の中でも、90年代的な大きさと2000年代以降の整理された響きの両方を持った曲として聴ける。
「The Lifting」やアルバム冒頭の流れ
冒頭を担う「The Lifting」は、アルバムの空気を決める曲だ。派手に始めるというより、テンポと音の重なりでじわじわと引き込むタイプで、『Reveal』全体の方向性を早い段階で示している。R.E.M.らしいメロディの運びがありつつ、音像は比較的すっきりしていて、歌が過度に前へ出ない。そのため、アルバムを通して聴いたときの入口として機能している。
ここで見えるのは、R.E.M.が長年続けてきた「バンドとしてのまとまり」を、過剰な装飾なしに見せる姿勢だ。ギターのフレーズ、ベースの動き、ボーカルの置き方が、どれも曲の流れを優先している。アルバム全体の静かな推進力は、この冒頭からすでに始まっている。
制作と盤の情報
録音はバンクーバー、アテネ、ダブリン、マイアミなど複数のスタジオで行われている。こうした制作環境は、曲ごとに少しずつ質感を変えながらも、最終的にはひとつのまとまりに収めるためのものだったように見える。実際、聴感上も、曲ごとの差はあるのにアルバムとしては散らばらない。R.E.M.の制作体制の安定感が、作品の骨格にそのまま出ている。
今回の盤は2001年のヨーロッパ盤で、Warner Bros. Recordsのカタログ番号は9362-47946-1。レーベル表記やデザインは当時のワーナー系LPらしい仕様で、ランアウトはエッチング。オリジナル同年リリースのアナログ盤として、作品発表時の空気をそのまま持つ一枚といえる。後年の再発盤と違って、まずは2001年の作品としての手触りをそのまま受け取れる点がこの盤の魅力だ。
まとめ
『Reveal』は、R.E.M.が長いキャリアの中で、音を削ぎ落としながらもメロディの強さを保っていた時期を示すアルバムだ。大きな話題性だけで語るより、曲の並び、歌の置き方、音の整理の仕方に注目すると、作品の輪郭が見えやすい。特に「Imitation of Life」を軸に聴くと、この時期のR.E.M.がどこにいたのかがつかみやすい。南部出身のバンドが、アメリカン・ロックの中心で長く活動を続けた、そのひとつの到達点として聞ける作品だ。
トラックリスト
- Chorus Side
- A1 The Lifting 4:39
- A2 I've Been High 3:25
- A3 All The Way To Reno (You're Gonna Be A Star) 4:45
- A4 She Just Wants To Be 5:22
- A5 Disappear 4:15
- A6 Saturn Return 4:55
- Ring Side
- B1 Beat A Drum 4:21
- B2 Imitation Of Life 3:57
- B3 Summer Turns To High 3:32
- B4 Chorus And The Ring 4:31
- B5 I'll Take The Rain 5:51
- B6 Beachball 4:14
動画
- R.E.M. - Imitation Of Life (Official Music Video)
- R.E.M. - I'll Take The Rain (Official Music Video)
- All The Way To Reno (You're Gonna Be A Star) (Official Music Video)
- The Lifting
- I've Been High
- Disappear
- Beat A Drum