Smash - Glorieta De Los Lotos (1970)
Smash 1970

Smash - Glorieta De Los Lotos (1970)

Rock Blues Psychedelic Rock Prog Rock

Smash『Glorieta De Los Lotos』について

Smashの『Glorieta De Los Lotos』は、1970年という時代の空気を強く背負ったスペイン産のロック作品だ。Sevilleを拠点に活動したSmashは、スペインのアンダーグラウンドから頭角を現したグループで、プログレッシブ・ロックとアンダルシア地方の音楽感覚を接続した先駆的な存在として知られている。この作品でも、ロック、ブルース、サイケデリック・ロック、プログ・ロックといった要素が、ひとつのバンドの中で自然に並んでいる。

中心にいるのはマルチ楽器奏者のGualberto Garcíaで、そこにManuel Molina、Julio Matito、Antonio S. Rodríguez、Silvio Fernándezらが関わる編成。Smashはスペイン・ロック史の中でも、MódulosやMàquina!と並んで語られることが多く、のちのアンダルシア系ロックやフラメンコ・ロックへの流れを考えるうえで重要な位置にある。『Glorieta De Los Lotos』も、その文脈の中で見ておきたい一枚だ。

作品の輪郭

このレコードはEurope盤として流通しており、Thorns Backtrack Archive Seriesの名義で出ている。元の1970年作品を踏まえた再登場盤として扱われることが多く、Smashというバンドの初期像を追ううえでの資料性も高い。盤面のクレジットや流通の経緯を含め、オリジナル時代の空気を後追いで確認するような性格の強いタイトルだ。

音の印象としては、まずリズムの置き方がはっきりしている。ブルース由来の骨格を持ちながら、演奏はそのまま真っ直ぐには進まず、間を作ったり、音数を絞ったりしながら展開していく。ギターはリフを前に出しつつ、曲によってはサイケデリックな揺れを残す。そこにスペイン語の歌が乗ることで、英米の同時代バンドとは違う輪郭が生まれている。

Smashというバンドの位置づけ

Smashは、スペインのロックがまだ制度的にも市場的にも未成熟だった時期に、先へ進もうとしたグループだ。単なる模倣ではなく、King Crimsonのようなプログレッシブ・ロックや、Vanilla Fudgeに通じる重さのあるサイケデリアを参照しつつ、アンダルシアの伝統音楽へ接続していく姿勢が特徴になる。後年のPata NegraやLole y Manuelへ連なる感覚を、早い段階で示していた点も見逃せない。

その意味で『Glorieta De Los Lotos』は、Smashの中でも「スペインのロックがどこへ向かうか」を示す作品のひとつとして捉えやすい。派手な大作志向だけでなく、土着的なリズムや旋律の扱いが曲の中に残っていて、輸入ロックの枠に収まらない。バンドの個性が、演奏の細部に出るタイプのアルバムだ。

注目したいポイント

タイトル曲の「Glorieta De Los Lotos」は、この作品を象徴する入口になっている。曲名の響きから連想される通り、直線的なロック・ナンバーというより、空間の広がりを意識した構成に目が向く。ギターのフレーズが前景と背景を行き来し、歌がその上をなぞるように進むため、旋律の流れを追っているだけでもバンドの性格が見えてくる。サイケデリックな揺らぎと、地に足のついたバンド・アンサンブルの両方が確認できる曲だ。

もうひとつの聴きどころは、ブルース色の強い楽曲群だろう。Smashはブルースを単なる様式としてではなく、演奏の推進力として使っている印象がある。リズム隊が粘りを作り、ギターがその上で少しずつ音程や音色をずらしていくため、曲が進むほどにテンションが上がる。ロックの基本形に見えて、実際にはかなり細かいニュアンスで組み立てられているのがわかる。

また、Manuel Molinaの存在もこの作品では大きい。後年の活動を知っていると、ここでの歌唱やフレーズの置き方に、のちのフラメンコ方面へつながる感覚がうっすら見えてくる。もちろんこの段階ではまだロック作品としての比重が高いが、声の運びや節回しに、スペイン語圏の歌としての強さが残る。そこが英語圏の同時代バンドとの違いとして、はっきり耳に残る。

聴きどころのまとまり

『Glorieta De Los Lotos』は、派手なヒット曲で押すアルバムというより、バンドの演奏感覚そのものを聴かせる作品だ。曲ごとの色合いはありつつも、全体としてはSmashの持つサイケデリックな感触、ブルースの骨格、そしてプログレッシブな構成意識が、無理なく同居している。スペイン・ロックの初期を知るうえで、かなり重要な位置に置けるタイトルだろう。

1970年当時の作品として見ても、英米の大きな流れをそのまま追うのではなく、地域性を保ったまま前進している点が面白い。Smashは、ジャンルの名前だけでは捉えにくいバンドだが、このレコードではその輪郭がはっきり出ている。ロックの形式とアンダルシア的な感覚、その接点を記録した一枚として、静かに存在感を持つ作品だ。

トラックリスト

  1. A1 Forever Walking
  2. A2 Light Blood, Dark Bleeding
  3. A3 Free As The Green Little Men
  4. A4 Tove And All That
  5. A5 It's Only Nothing
  6. A6 Glorieta De Los Lotos
  7. A7 Nazarin Again
  8. B1 Love Millonaire
  9. B2 Sitting On The Truth
  10. B3 Ottenos
  11. B4 Ahimsa
  12. B5 Rock And Roll

動画

Share
記事一覧に戻る
toast