Space - Magic Fly (1977)
Space『Magic Fly』──フレンチ・ディスコが一気に世界へ抜けた1977年作
Spaceの『Magic Fly』は、1977年にフランスのVogueから登場したデビュー・アルバムである。中心人物はDidier MarouaniとRoland Romanelliで、そこに複数のミュージシャンが加わる形で制作された。レコード全体は電子音を軸にしながら、当時のディスコのリズム感を強く持っていて、いわゆるフレンチ・ディスコ、シンセポップ、ユーロ・ディスコの初期像をはっきり示す作品になっている。アルバムの顔となるタイトル曲「Magic Fly」は、Spaceを一気に国際的な存在へ押し上げた代表曲であり、この作品の価値のかなりの部分を担っている。
作品の輪郭
このアルバムはほぼインストゥルメンタル中心で進み、歌もののアルバムというより、シンセサイザーと反復するビートを前面に出した構成が印象に残る。録音はフランス国内で行われ、ジャケットやクレジットからも、当時のヨーロッパ制作盤らしい空気がそのまま伝わってくる。『Magic Fly』というタイトルそのものが象徴的で、曲もアルバムも、宇宙的なイメージとダンス・ミュージックの接点を狙った作りになっている。
実際に聴くと、冒頭からリズムの置き方がはっきりしていて、音数は多すぎないのに推進力がある。シンセのフレーズは短く反復され、そこにベースの動きと打ち込み的なドラムが重なることで、じわじわと引っ張るような展開になる。派手なメロディで押し切るタイプではなく、同じモチーフを何度も見せながら少しずつ熱を上げていく作りで、1977年という時点でここまで機械的なグルーヴを前に出しているのはかなり重要だと感じる。
「Magic Fly」という代表曲
やはり中心はタイトル曲「Magic Fly」である。もともとこの曲はテレビ番組向けの依頼から生まれたとされ、その後にディスコ的なビートを加えて完成したという経緯が知られている。結果として、クラブ向けの推進力と、テレビ音楽由来のわかりやすいフレーズ感が同居する一曲になった。英Official Chartsではシングルが最高2位を記録し、長くチャートにとどまったことからも、フランス発のインストゥルメンタルとしてはかなり大きな反応を得たことがわかる。
アルバム版の「Magic Fly」もまた、シングルとは少し違う流れの中で聴けるのが面白いところで、曲単体の印象だけでなく、アルバム全体の中で“入口”として機能している。Spaceの名前を決定づけた楽曲であり、この作品を語るときに外せない代表曲である。
制作背景と時代性
Spaceは、Didier Marouaniが自作名義での発表を目指したものの、レーベル側の判断などを経てグループ形態と宇宙人風のイメージを打ち出した、と伝えられている。その結果として、単なるソロ・プロジェクトではなく、視覚イメージ込みのディスコ・ユニットとして成立した。1970年代後半は、ヨーロッパのディスコがアメリカ流のファンクやソウルとは別の方向へ広がっていた時期で、Spaceはその中でも電子音を強く押し出した存在だった。
同時代の比較でいえば、映画音楽や電子音楽の感覚をダンス・ミュージックへ接続した点で、後のシンセ主体のポップやディスコともつながる。後年の回顧では、Electronic Soundがこの曲を1977年の世界的ヒットであり、シンセポップの前触れの一つと位置づけている。大げさに言い切る必要はないが、少なくともこの時点で、電子音が“未来的な飾り”ではなく、楽曲の骨格として成立しているのは確かである。
アルバムとしての位置づけ
『Magic Fly』はSpaceの出発点であり、同時にこのグループの方向性をはっきり示した作品でもある。後の『Just Blue』のような作品では、より広いダンス感覚や実験性が見えてくるが、その土台にあるのはこのデビュー作の成功だろう。初期3作が大きなセールスを記録したとされることからも、Spaceにとって本作は単なる1枚目ではなく、国際的評価を得る入口だったと見てよさそうだ。
1977年のフランス盤らしく、Vogueレーベルの流通・プレス体制の中で出た作品でもあり、ジャケット裏には「Made in France」「Printed in France」といった表記が入る。盤としては、オリジナル年と同年のリリースで、当時の空気をそのまま反映した初出盤である点も重要だろう。ディスコの勢いが強かった時代に、フランスからこうした電子主体の作品が世界へ届いたこと自体が、このレコードの存在感につながっている。
まとめ
『Magic Fly』は、Spaceというグループの名を一気に広めたデビュー作であり、タイトル曲の強さで記憶されるレコードである。派手な歌唱や複雑な構成に頼らず、シンセサイザーの反復、明確なビート、宇宙的なイメージを組み合わせて成立している点が特徴的だ。フレンチ・ディスコ、電子音楽、シンセポップの境界に立つ作品として、1977年という年の空気をよく伝える1枚である。
トラックリスト
- A1 Fasten Seat Belt 5:58
- A2 Ballad For Space Lovers 2:16
- A3 Tango In Space 4:28
- A4 Flying Nightmare 3:31
- B1 Magic Fly 4:18
- B2 Velvet Rape 4:27
- B3 Carry On, Turn Me On 8:18