Steamhammer - Steamhammer (1969)
Steamhammer『Steamhammer』について
Steamhammerの『Steamhammer』は、イングランド南東部ワージング出身のバンドが1969年に発表したデビュー作である。ブルースを出発点にしながら、のちにプログレッシブ・ロック寄りへと進んでいくこのバンドの最初期像を、比較的まっすぐに捉えた一枚として位置づけられる。のちの複雑な展開や実験性が前面に出る作品群と比べると、ここではバンドの核にあるブルース・ロックの感触がまだ強い。
リリースはドイツ盤のBellaphon盤で、カタログ番号は220·07·010。オリジナルは英国CBS系での登場だが、この盤はドイツで流通した再発盤として受け止めるのが自然だろう。ジャケットやレーベルの違いを含め、当時の欧州盤らしい編集・流通の背景も見えてくるタイトルである。
バンドの出発点と作品の位置づけ
Steamhammerは1968年にMartin QuittentonとKieran Whiteを中心に結成された。初期メンバーにはMartin Pugh、Steve Davy、Michael Rushtonが並び、ブルース色の濃い編成で活動を始めている。グループはその後、Steve Jolliffeの加入でより多彩な音楽性を取り込み、さらにLouis Cennamo参加後の『Speech』ではかなり実験的な方向へ進む。その意味で、『Steamhammer』は、まだバンドの輪郭が比較的わかりやすい段階の記録でもある。
1969年という時期を考えると、英国のロックはブルース・ロックの延長から、より長尺で構成的な演奏へ向かう過渡期にあたる。Steamhammerもその流れの中にいて、同時代のバンドでいえば、初期のColosseumやChicken Shack、あるいはブルースを土台に持つ多くの英国グループと地続きの感触がある。一方で、単なる模倣ではなく、のちのプログレッシブ方面への足場もすでに見え始めている点が興味深い。
アルバム全体の聴きどころ
この作品の中心にあるのは、ギター、ハーモニカ、オルガン、リズム隊が前に出る、60年代末の英国ブルース・ロックの手触りである。演奏は派手に技巧を誇るというより、曲の推進力を保ちながら少しずつ熱を上げていくタイプで、バンドとしてのまとまりがよく出ている。Kieran Whiteのヴォーカルは、感情を強く押し出すというより、曲の骨格に沿って言葉を置いていく印象がある。
また、プロデュース面では“Devised and Produced By Artist Musical Productions”とクレジットされており、バンド側の意図が比較的前面に出た作品として受け取れる。収録曲のクレジットには、Franklin Boyd Music、Louis Zito Music、Arc Musicといった出版表記が並び、当時の英国ロック作品らしい管理のされ方も見て取れる。
注目曲「Junior's Wailing」
『Steamhammer』を語るうえで外しにくいのが「Junior's Wailing」である。のちにライブ定番として知られるこの曲は、リフの明快さと推進力が際立つ一曲で、バンドの初期像を端的に示している。ギターの切り込み方とリズムの押し出しが強く、ブルースの型を土台にしながらも、単純な12小節の枠に収まりきらない前のめりの運動感がある。
この曲では、Steamhammerが「ブルースを演奏するバンド」というだけでは終わらないことがはっきりする。演奏の密度が高く、各パートが同じテンションで前進していくため、後年のより長い組曲的な展開を思わせる部分もある。初期作品の中で、最もバンドの輪郭が見えやすい代表曲の一つと言えるだろう。
注目曲「Twenty-Four Hours」
「Twenty-Four Hours」は、原曲の持つブルースの枠組みを保ちながら、演奏の重心で引っ張るタイプのナンバーである。タイトルが示す時間感覚の通り、せわしなく展開を重ねるというより、一定のグルーヴを保ったままじわじわと進行していく。こうした進め方は、初期Steamhammerの持ち味をよく表している。
この曲では、ギターとリズム隊の噛み合いが聴きどころになりやすい。ブルース・ロックとしての骨格は明確だが、単純なコピーに寄らず、バンド独自の緊張感が乗っている。のちのプログレッシブ化を知っていると、この段階で既に演奏の組み立て方に独特の意識があることがわかる。
再発盤としての見どころ
このBellaphon盤は、オリジナル英国盤とは異なるドイツ市場向けの再発である。1969年のBellaphonのLPカタログ体系に属するタイトルで、オリジナル初出の空気をそのまま伝えるというより、欧州での流通の中で改めて盤として成立したものと見るほうが近い。ドイツ盤らしく、レーベルやジャケットの仕様に独自性がある点も、この時代のコレクションでは重要な要素になりやすい。
Steamhammerのデビュー作は、のちの大作志向や実験性へ向かう前の、バンドの基礎体力がそのまま記録されたアルバムである。ブルースの踏み込み、演奏のまとまり、そして少し先の時代を見せる構成意識。その三つが同居しているところに、この作品の面白さがある。
トラックリスト
- A1 Water (Part One) 0:51
- A2 Junior's Wailing 3:18
- A3 Lost You Too 3:29
- A4 She Is The Fire 3:10
- A5 You'll Never Know 3:26
- A6 Even The Clock 4:08
- B1 Down The Highway 4:23
- B2 On Your Road 2:51
- B3 Twenty Four Hours 7:30
- B4 When All Your Friends Are Gone 3:50
- B5 Water (Part Two) 1:44
動画
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Steamhammer - Down The Highway
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Steamhammer - Even The Clock
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Steamhammer-On Your Road
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When All Your Friends Are Gone (Digitally Remastered Version)
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Steamhammer - Windmill
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Steamhammer - 'Autumn Song' (1969)
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Steamhammer – Steamhammer (Full Album Vinyl Rip)
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Steamhammer - Junior's Wailing
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Steamhammer - Lost You Too (Reflection 1969)
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STEAMHAMMER-Reflection-06-Even The Clock-{1969}