Sunfire - Sunfire (1982)
Sunfire『Sunfire』レビュー
1982年にUSワーナー・ブラザースから登場した、ニューヨーク拠点のソウル/ファンク・トリオ、Sunfireによるセルフタイトル作。メンバーはReggie Lucas、Raymond Calhoun、Rowland Smithの3人で、アーティストプロフィールでも触れられている通り、このグループは「Young, Free and Single」でよく知られている。レーベルはWarner Bros. Records、型番はWPCP 5157。1982年当時のワーナー盤らしい、80年代初頭のダンス・ミュージックの空気をしっかりまとった一枚である。
この時期のニューヨークのR&Bは、ディスコの熱気が少し落ち着いたあとに、より打ち込み感のあるリズムや、ベースラインを前に出したブギー寄りのサウンドへ移っていく流れが見える。Sunfireもその文脈の中に置くと輪郭が見えやすい。派手な編成で押し切るタイプというより、曲の芯になるグルーヴと歌のフックで聴かせるタイプ。ファンク、ソウル、電子的な質感が同居していて、80年代初頭の都会的なR&Bの手触りがある。
作品全体の印象
アルバム全体は、Reggie Lucasの関与が示す通り、音の作りがかなり整っている印象を受ける。Lucasはこの時代のR&Bやポップ寄りソウルで重要な仕事をしていた人物で、輪郭のはっきりしたビート作りや、歌を前に出すバランス感覚に強みがある。Sunfireでもその持ち味が表れていて、演奏の隙間が多すぎず少なすぎず、リズムが常に前へ進む。
実際に聴くと、ベースとドラムの推進力がまず耳に残る。そこに鍵盤やシンセが重なり、ヴォーカルがリズムの上を滑っていく構成で、フロア向けの機能性がある一方、歌のメロディもきちんと立っている。80年代のブギー/ファンク盤にありがちな「ビート先行で曲が流れていく」感じはあるが、Sunfireはフックの作りが比較的わかりやすい。アルバムとしても、単なるダンス向けの寄せ集めではなく、グループの個性をまとった作品としてまとまっている。
注目曲: 「Young, Free and Single」
この作品を語るうえで外せないのが「Young, Free and Single」である。グループの代表曲として知られ、Sunfireの名前を最も強く印象づけた楽曲と言ってよさそうだ。Rowland Smith作、Reggie Lucasプロデュースというクレジットも、この曲の性格をよく示している。曲の作りは明快で、リズムの立ち上がりが早く、サビへ向かう流れがはっきりしている。ソウルでありながら、当時のクラブやラジオに届くことを意識した設計が見える。
聴きどころは、軽快さと押しの強さの両立にある。タイトルどおりの開放感を持ちながら、ただ陽気に流れるだけではなく、細かいリズムの刻みが曲を引き締めている。ヴォーカルは熱量を持って前に出るが、過剰に荒くならない。そのため、ファンクの粘りとポップな親しみやすさが同じ枠に収まっている。Sunfireの魅力を一曲で示すなら、この曲が最もわかりやすい。
アルバムの中での位置づけ
Sunfireにとって本作は、グループの代表作として見られることが多いタイトルである。プロフィールでも「Young, Free and Single」で記憶されているとされており、実際このアルバムはその認知を支える役割が大きい。セルフタイトル盤という形も含めて、バンド名とサウンドをそのまま提示するような作りで、初期印象を決定づける一枚になっている。
同時代の比較でいうと、ニューヨーク周辺のソウル/ファンク勢、たとえばダンス志向の強いグループや、ブギー寄りのR&Bを手がけたアーティストと並べて語られやすいタイプだろう。とはいえ、Sunfireは派手な大型ヒット狙いの作品というより、コンパクトにまとまったグルーヴとコーラスの魅力で勝負する印象が強い。80年代初頭のR&Bが、ディスコの残響を引き継ぎながら新しいリズム感へ移行していく、その途中にある作品として捉えやすい。
盤の仕様について
このUS盤は1982年当時のWarner Bros. Recordsのリリースで、レーベル・デザインの流れから見ても80年代前半のものとして自然な位置にある。ワーナーのこの時期の盤は、70年代後半から80年代初頭にかけてのクリーム色系ラベルの印象が強く、同レーベルの他作品とも共通する時代感がある。オリジナル期の盤として見ると、作品そのものの初出時の空気をそのまま伝える存在と言える。
Sunfire『Sunfire』は、派手な説明を必要としないほど、まず一聴でビートとメロディの役割が見えてくるアルバムである。代表曲「Young, Free and Single」を軸に、ニューヨーク産のソウル/ファンクが80年代初頭にどう鳴っていたかを知る手がかりになる一枚。グループの輪郭、プロデュースの方向性、そして当時のワーナー盤らしい安定した作りが、ひとつのパッケージに収まっている。
トラックリスト
- A1 Shake Your Body 5:21
- A2 Step In The Light 5:24
- A3 Feet 6:08
- A4 Givin' My Heart Away 4:30
- B1 Keep Rockin' My Love 4:26
- B2 Millionare 5:07
- B3 Sexy Lady 5:23
- B4 Young, Free And Single 4:36
動画
- Sunfire - Shake Your Body
- Sunfire - Step in the light
- Feet
- Givin' Away My Heart
- Keep Rockin' My Love
- Millionaire
- Sexy Lady
- Young, Free and Single
- Never Too Late for Your Lovin'