Supersister - Startrack Vol. 1 (1973)
Supersister 1973

Supersister - Startrack Vol. 1 (1973)

Electronic Rock Pop Jazz Experimental Prog Rock Jazz-Rock

Supersister『Startrack Vol. 1』について

『Startrack Vol. 1』は、オランダのプログレッシブ・ロック・バンド、Supersisterが1973年にPolydorから発表した作品である。Supersisterは1960年代末から70年代前半にかけて活動したオランダの重要バンドで、ジャズの要素、実験性、ロックの推進力を組み合わせた独自の音作りで知られる。70年代初頭の欧州プログレッシブ・ロックの流れの中でも、英米勢とは少し違う、より軽やかで、演奏の切り替わりが細かいタイプの音楽を鳴らしていたグループとして位置づけられる。

本作は1973年リリースのオリジナル盤で、発売国はオランダ、レーベルはPolydor(2491 002)。Supersisterの活動期の中では、いわゆる初期から中期にかけての時期にあたり、バンドの個性がかなりはっきり出ている時期の記録として聴ける。Robert Jan Stipsの鍵盤を軸に、ジャズ寄りのフレーズ、曲想の切り替え、ややひねりのあるメロディが連続していく構成が、このバンドらしさを強く示している。

作品の位置づけ

Supersisterは1967年にSweet OK Supersisterとして始まり、1968年にSupersisterへ改名した。1974年にいったん解散しているので、1973年の『Startrack Vol. 1』は、オリジナル活動期の終盤に近い時期の作品ということになる。バンドのディスコグラフィー全体で見ると、初期の勢いと、演奏面での組み立てがさらに洗練されていく過程を確認しやすい一枚として捉えられる。

同時代のプログレッシブ・ロックと比べると、英国の長大組曲型の作品群とは少し違い、Supersisterは曲の中での展開やリズムの変化、ジャズ的な運びをより自然に織り込んでいく印象がある。カンタベリー系のバンドや、より実験色の強い欧州ロックと並べて語られることも多いが、その中でもメロディの通りやすさと皮肉っぽい感触が同居しているのが特徴である。

音の印象

この作品を通して聴くと、まず耳に入るのは鍵盤の存在感である。Robert Jan Stipsの演奏は単に前に出るだけではなく、リズムの隙間を埋めたり、曲の輪郭を急に変えたりする役割を持っている。そこにベースとドラムが細かく反応し、ジャズ・ロックらしい推進力が生まれる。ギターが前面に張り出すタイプのプログレというより、アンサンブル全体で動くタイプの作品に近い。

また、Supersisterの音楽は、複雑さを前面に押し出しながらも、完全に硬質には寄り切らない。ポップなフレーズや、耳に残る短いモチーフが差し込まれるため、演奏の変化が多くても流れが切れにくい。実際に聴くと、曲ごとの展開だけでなく、ひとつのフレーズが次の場面へ橋渡ししていく感覚がある。そこが本作の聴きどころになっている。

注目曲

収録曲の中でまず注目したいのは、アルバム全体の顔として機能するタイトル曲群である。『Startrack』という題名が示す通り、宇宙的なイメージをまといながらも、実際の音はふわっと漂うだけではなく、明確なリズムの起伏を持って進む。鍵盤の旋律が前に出たかと思うと、すぐに別のリズム・パターンへ滑り込むため、曲の中で視点が何度も切り替わる感じがある。

こうした構成は、単なる雰囲気づくりではなく、Supersisterの作曲の仕方そのものを示しているように聴こえる。テーマを長く引っ張るよりも、短い素材を積み重ねていく手つきで、展開のたびに景色が変わる。プログレッシブ・ロックの文脈ではあるが、演奏の流れにはジャズの即興的な身振りが残っている。そのため、同じ70年代前半の欧州インスト系作品の中でも、かなり個性が立っている部類といえる。

もうひとつ、作品全体を通して印象に残るのは、リズム隊の動きである。Supersisterは単純に拍を刻むのではなく、細かいアクセントの置き方で曲の表情を変えていく。速いパッセージでもただ勢いで押すのではなく、途中で間を作ったり、フレーズの終わり方をずらしたりするため、演奏に独特の緊張感が生まれる。こうした部分は、後年の再結成期にまで続くバンドの核を先取りしているようにも感じられる。

レーベルと盤の情報

本盤はオランダ盤のPolydorリリースで、品番は2491 002である。Polydorは1970年代前半の欧州ロック作品を数多く抱えていたレーベルで、Supersisterのような実験性とポップ性の両方を備えたバンドとも相性がよかった。1973年当時のオリジナル盤として見れば、同時代のオランダ・プログレの空気をそのまま閉じ込めた記録としての意味も持つ。

Supersisterは後年に再結成や編成変更を経て活動を続けるが、『Startrack Vol. 1』はやはりオリジナル期のまとまりを知るうえで重要な一枚である。演奏の緻密さ、曲の切り替え、ジャズとロックの接点、そこに少しだけ残るユーモアの感触まで、この時期のバンドの特徴がよく見える作品である。

トラックリスト

  1. A1 Bagoas 2:44
  2. A2 Judy Goes On Holiday 9:17
  3. A3 Babylon 7:54
  4. A4 Pudding En Gisteren 2:14
  5. B1 Present From Nancy 8:08
  6. B2 Mexico 3:21
  7. B3 Energy (Out Of Future) 4:21
  8. B4 Higher 3:14

動画

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