Teresa Gatta , Annalena Limentani - Cantadonnacanta (1978)
Teresa Gatta , Annalena Limentani 1978

Teresa Gatta , Annalena Limentani - Cantadonnacanta (1978)

Folk, World, & Country Folk

Teresa Gatta & Annalena Limentani『Cantadonnacanta』

1978年にイタリアでリリースされた、Teresa Gatta と Annalena Limentani による『Cantadonnacanta』は、Folk / World系の中でも、かなり素直に歌の輪郭が立つ作品として捉えやすいレコードだ。レーベルは Mama Records。イタリアの録音会社として1976年に Herbert Pagani によって設立された経緯を持つレーベルで、この時期のイタリア盤らしい空気をそのまま伝える存在でもある。派手な装飾よりも、声と旋律、言葉の運びを前面に置いた一枚という印象が強い。

タイトルの通り、女性の歌を中心に据えた作品として受け取れる。アーティスト情報や周辺資料は限られているものの、1970年代後半のイタリアでは、フォークや民謡、地域色のある歌を現代的な録音で記録する動きが続いており、この作品もその文脈の中で聴くと位置が見えやすい。大きな編成で押し切るタイプではなく、歌そのものの存在感で聴かせるタイプのレコードとして整理できる。

作品の輪郭

『Cantadonnacanta』という題名は、女性が歌うこと、歌い継ぐことをそのまま示すような言葉の並びになっている。実際に盤を通して聴くと、目立つのは技巧の誇示よりも、声の重なりやフレーズの運びにある。Folk の作品にありがちなギター主体の素朴な進行だけでなく、歌詞の抑揚やリズムの置き方が前に出ていて、聴き手はまず「歌の形」を受け取ることになる。

1978年という年を考えると、すでにフォーク・リバイバルの初期衝動は落ち着き、各地の伝承歌や社会的な歌を、より整理された録音で残す段階に入っている。そうした時期の作品として見ると、このレコードは過度に実験的でもなく、かといって単なる懐古でもない。歌の素材をきちんと並べ、声の質感でまとめる姿勢がはっきりしている。

Teresa Gatta と Annalena Limentani の並び

二人の名前が並ぶことで、作品はソロ盤とは少し違う重心を持つ。どちらか一方が前に出続けるのではなく、声の受け渡しや並走が自然に起こる構成として聴こえる。デュオならではの利点は、旋律の同じ場所を歌っていても、響きの置き方で印象が変わる点にある。この盤でも、その差が曲ごとの表情を分けているように感じられる。

とくにフォーク系の録音では、歌い手の人数が増えると厚みが出る一方で、言葉の輪郭がぼやけることもあるが、この作品ではそのバランスが比較的明瞭だ。声が重なる場面でも、各フレーズの入り方が見えやすく、合唱的な広がりと個々の発声の間を行き来するつくりになっている。

注目したい聴きどころ

まず耳を引くのは、タイトル曲『Cantadonnacanta』のような、作品全体の輪郭を代表する場面だろう。ここでは、曲名が示す通り「歌うこと」そのものが前面にあり、メロディの流れよりも、声の置き方とことばの連なりが印象を決める。大きく盛り上がるというより、短いフレーズを積み重ねていく感触が強く、レコード全体の姿勢を端的に示している。

もう一つの聴きどころは、デュオとしてのやり取りがはっきり出るタイプの曲だ。二人の声が同じ旋律をなぞる場面では、完全な同質化ではなく、わずかな音色差が残る。その差が残ることで、曲の中に小さな陰影が生まれる。フォークの録音では、こうした細部が作品の印象を左右しやすいが、この盤もその例に入る。

1970年代イタリアのフォーク文脈

同時代のイタリアでは、地域の歌、労働歌、民謡、女性の歌声をテーマにした作品が少なくない。そうした中で『Cantadonnacanta』は、政治色を強く打ち出すというより、歌の形式そのものに重きを置いた一枚として見える。シンプルな伴奏と声の関係が中心にあるため、同時代のイタリア・フォークを追う際の一つの座標にはなりうる。

派手な話題性で語られるタイプではないが、1978年のイタリア盤フォークとしては、記録性の高い佇まいがある。レーベルの成り立ちを含めても、当時の録音文化の一端を示す資料性がある作品だ。ジャケットや盤面を含めて、作品全体が「歌を残す」ことに向いている印象でまとまっている。

まとめ

『Cantadonnacanta』は、Teresa Gatta と Annalena Limentani の声を軸に、1978年のイタリアで記録されたフォーク作品として捉えやすい。華やかな演出よりも、歌の形、声の重なり、言葉の運びに焦点がある。Folk / World の棚の中でも、まずは声の記録として見ると輪郭がつかみやすい一枚だ。

トラックリスト

  1. 1A Le Osterie della Creazione
  2. 2A La Donna è Malata
  3. 3A Se Spera
  4. 4A Cade L'uliva
  5. 1B La Mondina
  6. 2B E per la Strada
  7. 3B I Mugliere d'Americane
  8. 4B Sebben che Siamo Donne
  9. 5B Le Osterie di Sor Giolitti
  10. 6B Regazzine
  11. 7B Io Fabbrico Spolette
  12. 1C Abballate Femmene
  13. 2C Le Otto Ore
  14. 3C Batton l'Otto
  15. 4C Le Osterie del Voto
  16. 5C E Quei Briganti Neri
  17. 6C La Donna Italiana
  18. 1D Cosa è Successo. Cosa l'è Stato
  19. 2D Bella, Ciao
  20. 3D Le Osterie delle Leggi
  21. 4D Cantadonnacanta

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