The Byrds - Preflyte (1969)
The Byrds 1969

The Byrds - Preflyte (1969)

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The Byrds『Preflyte』解説

The Byrdsの『Preflyte』は、バンドがまだ本格的にデビューする前の録音をまとめた作品として知られている。1969年にオリジナルが出たアルバムというより、The Byrds誕生前夜の空気をそのまま封じ込めた資料性の高い一枚で、後の代表作とは少し役割が違う。2001年にはUKのPoptonesから再発盤が出ており、今回の盤はその流通形態のひとつとして捉えるのが自然だろう。

The Byrdsは、1960年代のアメリカン・ロックを語るうえで欠かせない存在だ。フォークの歌心に、ロックの推進力と、後のカントリー・ロックへつながる感覚を持ち込んだバンドで、中心人物のRoger McGuinnを軸に、David Crosby、Gene Clark、Chris Hillmanらが重要な役割を担った。『Preflyte』は、そうした完成形に至る直前の素材が並ぶため、バンドの輪郭が固まる前の手触りを追える作品になっている。

作品の位置づけ

本作に収められているのは、The Byrds結成以前からの録音や初期セッションの断片で、のちの洗練されたサウンドと比べると、演奏や歌の置き方にまだ余白がある。とはいえ、その余白こそが面白い。完成されたヒット曲集ではなく、曲がバンドの手でどう形を変えていくかを見るための記録という性格が強い。

1960年代半ばのロサンゼルス周辺では、フォーク・リバイバル、ビートルズ以後のポップ感覚、ガレージ・ロックの勢いが重なっていた。The Byrdsはその交差点に立っていたバンドで、『Preflyte』はまさにその前史にあたる。後年の『Mr. Tambourine Man』や『Turn! Turn! Turn!』のような代表作と並べると、曲そのものよりも、グループの出発点を確認する意味が大きい。

聴きどころ1: 初期録音に残る曲作りの輪郭

この作品でまず目を引くのは、完成前の楽曲に触れられる点だ。The Byrdsはデビュー後、フォーク・ソングをロックの編成で鳴らす方向に進んだが、その前段階では、曲の構造やハーモニーの置き方がまだ試行錯誤の途中にある。そこには、のちにバンドの代名詞となる12弦ギターのきらびやかな響きや、整ったコーラスの印象とは少し違う、素朴で直接的な音の運びがある。

聴感上は、デモや初期テイクに近い質感が前面に出るため、音像の密度よりも、フレーズの選び方や歌い回しの変化に耳が向く。Roger McGuinnの後の明快なリフ主体のギターとはまだ距離があり、Gene Clarkのメロディ志向、David Crosbyのコーラス感覚が、バンドの色として固まる前の段階で見えてくる。

聴きどころ2: 代表曲へつながる前史

『Preflyte』はヒット曲を並べた作品ではないが、The Byrdsの代表的な方向性がどこから立ち上がったかを示す意味で重要だ。のちにバンドがフォーク・ロックの代表格として認識されるのは、アコースティック寄りの楽曲をエレクトリックな編成へ接続し、そのうえで独自のコーラスと推進力を作ったからだが、本作ではその接続部分がまだ生々しい。

そのため、すでに完成された名曲を聴くときのような分かりやすい高揚より、素材が組み上がっていく過程に立ち会う感覚が残る。後年の『Sweetheart of the Rodeo』で顕著になるカントリー・ロックへの展開を思えば、この時期の録音にはまだロック・バンドとしての輪郭が強く、フォークの要素は核でありながらも、全体はよりラフな印象を保っている。

再発盤としての見方

2001年のUK Poptones盤は、1969年のオリジナルから時間を経た再発として流通したもので、The Byrdsの初期資料を改めて手に取れる形にした盤といえる。Poptonesは独立系レーベルとして再発やカタログの掘り起こしに力を入れていた時期があり、この盤もその文脈に置ける。オリジナル期の空気をそのまま知るというより、後年の聴き手がThe Byrdsの始まりを確認するための入口として機能する一枚だ。

まとめ

『Preflyte』は、The Byrdsの完成形を楽しむ作品というより、完成に至る前の断面を読む作品だ。Roger McGuinn、Gene Clark、David Crosbyらが、後のバンド像へ向かう途中でどんな音を鳴らしていたのか。その手前の段階が見えることで、The Byrdsというグループの輪郭がかえってはっきりする。フォーク・ロックやカントリー・ロックの歴史をたどるうえでも、出発点の記録として意味のある一枚である。

トラックリスト

  1. A1 You Showed Me
  2. A2 Here Without You
  3. A3 She Has A Way
  4. A4 The Reason Why
  5. A5 For Me Again
  6. B1 Boston
  7. B2 You Movin'
  8. B3 The Airport Song
  9. B4 You Won't Have To Cry
  10. B5 I Knew I'd Want You
  11. B6 Mr. Tambourine Man

動画

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