The Dead Weather - Dodge And Burn (2015)
The Dead Weather 2015

The Dead Weather - Dodge And Burn (2015)

Rock Alternative Rock

The Dead Weather『Dodge And Burn』──荒々しさと緊張感を前面に出した2015年作

The Dead Weatherの『Dodge And Burn』は、2015年にThird Man Recordsから出たアルバム。Jack White、Alison Mosshart、Dean Fertita、Jack Lawrenceという4人による編成で、バンドの持ち味である硬質な演奏と、ロックの原点に近いざらついた手触りがそのまま詰まった作品だ。Third Man Recordsの看板バンドのひとつとしても位置づけやすく、レーベルの色が強く出た一枚でもある。

バンド自体は、2008年末から2009年初頭にかけて、各メンバーの動きが重なって自然発生的にまとまった経緯を持つ。The KillsのAlison Mosshart、Queens of the Stone Ageでも知られるDean Fertita、The GreenhornesやThe Raconteurs周辺のJack Lawrence、そしてJack Whiteという組み合わせは、最初から役割分担が明確なプロジェクトというより、即興性と相互反応を軸にしたバンド像を思わせる。そうした出自は、この作品にもそのまま残っている印象だ。

作品全体の印象

『Dodge And Burn』は、派手な装飾を増やすタイプのアルバムではない。むしろ、ドラム、ベース、ギター、オルガン、ボーカルのぶつかり合いを前に出し、曲ごとの圧を保ちながら進んでいく構成に耳が向く。Dead Weatherらしいのは、Alison Mosshartの歌が単なるフロントの歌唱に留まらず、演奏の攻撃性や不穏さを引き受ける役割を持っている点だろう。Jack Whiteのドラムとギターも、整った伴奏というより、曲の推進力そのものとして機能している。

2010年代半ばのロック作品として見ると、音数を詰め込む方向ではなく、音の輪郭をくっきり見せる作りが目立つ時期でもあった。その中で本作は、オルタナティヴ・ロックの文脈にありながら、ブルースロックやガレージ寄りの感触も強く、The White StripesやThe Kills、Queens of the Stone Age周辺の感触を同時に思わせる場面がある。とはいえ、単純な焼き直しではなく、4人のぶつかり方をそのまま作品化した盤という印象が残る。

注目曲「I Feel Love (Every Million Miles)」

アルバムの入口として強い存在感を持つのが「I Feel Love (Every Million Miles)」だ。リズムの立ち上がりが速く、ギターのリフも細かく揺れながら前へ進む。Alison Mosshartの声は、甘さを足すというより、曲のざらつきにそのまま乗っていくタイプで、最初の数十秒でこのアルバムの温度が伝わる。Dead Weatherの曲の中でも、比較的フックがはっきりしているため、作品の入口として機能しやすい一曲だ。

この曲で感じるのは、勢いだけで押し切るのではなく、各パートが微妙に間を取りながら噛み合っている点だ。ベースが低い位置で粘り、ドラムが前に出すぎないよう踏みとどまり、ギターがその上を引っかくように走る。ロックの基本形に近い構造だが、演奏の温度差があるぶん、平板にならない。The Dead Weatherの編成の強みがそのまま出た代表曲といえる。

注目曲「Open Up (That's Enough)」

「Open Up (That's Enough)」は、より不穏な空気を持つ曲として耳に残る。テンポの押し引きがはっきりしていて、ボーカルもリフも、常に少しだけ危うい位置に置かれている感じがある。曲名の通り、開放感よりも圧迫感が前に来るタイプで、アルバム全体の中でも緊張の質が違う。

こうした曲では、Alison Mosshartの歌の置き方が重要になる。叫ぶだけではなく、語気を強めたり、リズムの隙間に言葉を差し込んだりすることで、演奏の硬さと同じ方向を向いていく。The Dead Weatherの魅力は、メンバーそれぞれの個性が強いのに、曲の中ではまとまりが崩れないところにあるが、この曲はその特徴がよく出ている。

注目曲「Buzzkill(er)」とアルバム後半の流れ

「Buzzkill(er)」のような曲では、アルバム後半に向かうにつれて、演奏の荒さが単なる勢いではなく、楽曲の輪郭として定着していくのがわかる。フレーズの反復が多いぶん、細かな音の変化やボーカルの入り方が曲の印象を左右する。The Dead Weatherは、こうした反復の中で少しずつ熱量を上げる作りに強みがある。

作品全体を通してみると、ヒット曲を前面に置いて広く聴かせるというより、バンドの演奏感そのものを記録したような性格がある。2015年の時点で、Jack WhiteはThird Man Recordsの中心人物としても存在感が大きく、レーベル運営と並行しながらこうしたバンドを継続していたことも、この盤の位置づけをわかりやすくしている。The Dead Weatherのカタログの中では、初期作の延長にありつつ、より引き締まった印象を残すアルバムとして受け取れる。

まとめ

『Dodge And Burn』は、The Dead Weatherというバンドの核にある、即興性、硬いグルーヴ、Alison Mosshartの歌、Jack Whiteの推進力を、2015年の時点で整理し直したような作品だ。派手な演出より、演奏の当たりの強さや、曲が進むごとに生まれる緊張感が見どころになる。Third Man Recordsの作品らしく、レーベルの美学ともつながる一枚として記憶されやすい。

トラックリスト

  1. A1 I Feel Love (Every Million Miles) 3:17
  2. A2 Buzzkill(er) 3:08
  3. A3 Let Me Through 4:18
  4. A4 Three Dollar Hat 3:24
  5. A5 Lose The Right 3:19
  6. A6 Rough Detective 3:03
  7. B1 Open Up 3:51
  8. B2 Be Still 2:48
  9. B3 Mile Markers 3:47
  10. B4 Cop And Go 4:07
  11. B5 Too Bad 3:47
  12. B6 Impossible Winner 4:02
  13. B7 Untitled
  14. C I Feel Love (Every Million Miles)
  15. D Cop And Go

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