The Jimi Hendrix Experience - Electric Ladyland (1968)
The Jimi Hendrix Experience 1968

The Jimi Hendrix Experience - Electric Ladyland (1968)

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The Jimi Hendrix Experience『Electric Ladyland』(1968)

The Jimi Hendrix Experienceの3作目にして、1968年を代表するアルバムのひとつ。ギタリスト/シンガー/ソングライターのジミ・ヘンドリックス、ベーシストのノエル・レディング、ドラマーのミッチ・ミッチェルを軸にした編成で、ロンドンで結成されたこのバンドが、短い活動期間の中で到達した大きな到達点がこの作品だ。US盤はReprise Recordsからのリリースで、ゲートフォールド仕様、オートカップリングの2枚組として出ている。盤面はWarner 7Arts/Repriseの“disc”ロゴを使ったオレンジ/イエローの2色ラベルで、後年の再発で見られるタン地のラベルとは見分けやすい。

『Are You Experienced』での鮮烈な登場、『Axis: Bold as Love』でのスタジオ表現の拡張を経て、この『Electric Ladyland』では曲の長さ、音の密度、録音の手触りまで含めて、バンドの輪郭がさらに大きくなっている。サイケデリック・ロックとブルース・ロックを土台にしながら、曲ごとに展開がかなり違うため、アルバム全体は統一感よりも振れ幅で聴かせるタイプ。1968年という時代の空気、ロックがシングル中心からアルバム単位へ移っていく流れも、はっきり反映されている。

作品の位置づけ

このアルバムは、The Jimi Hendrix Experienceのスタジオ作品としては最後の作品にあたる。バンド名義の作品でありながら、内容面ではヘンドリックス個人の制作意識が強く出ていて、セッション性の高い曲、凝った編集、ゲスト参加を含む曲が並ぶ。とくに米国盤では2枚組として構成されており、1枚目と2枚目で雰囲気が分かれるのも特徴だ。1枚の中に代表曲を詰め込むのではなく、長尺曲と短い曲、カバーとオリジナル、スタジオ実験と歌ものを並置している点に、この時期のロック・アルバムらしさがある。

録音はニューヨークのThe Record Plantで行われたとクレジットされている。サンディエゴやロンドン録音のイメージが強いヘンドリックス作品の中では、アメリカのスタジオで大きく作り込まれた印象が残る。音の層が厚く、ギターの多重録音や左右の振り分けも含めて、ヘッドホンで聴くと細部がよく見えるタイプの盤だ。

冒頭の「And the Gods Made Love」から「Have You Ever Been (To Electric Ladyland)」へ

アルバム冒頭は短いインストゥルメンタル的な「And the Gods Made Love」。ここでいきなり曲というより音の場を作り、次の「Have You Ever Been (To Electric Ladyland)」へつなぐ構成になっている。タイトル曲は、アルバム全体の入口として機能していて、歌メロのわかりやすさよりも、リフ、うねるリズム、音響処理の積み重ねで進む。いわゆる“名曲が最初から飛び出す”というより、作品世界へ入っていく導線の役割が強い。

この導入部を聴くと、ヘンドリックスが単にギターの名手というだけでなく、スタジオをひとつの楽器として扱っていたことが伝わる。音の輪郭がくっきりしている一方で、細かな残響や定位の揺れがあり、1960年代後半のロック作品の中でもかなり録音志向の強いアルバムだと感じられるはずだ。

代表曲「Voodoo Child (Slight Return)」

終盤に置かれた「Voodoo Child (Slight Return)」は、このアルバムを語るうえで外せない代表曲だ。ブルースを土台にしながら、ワウ・ペダルを前面に出したギターが引っ張っていく構成で、同時代のブルース・ロックの中でもかなり攻めた音作りになっている。リフの反復だけで押し切るのではなく、フレーズの間合い、弦をこするようなノイズ、音の立ち上がりまで含めて楽曲の一部になっているのが印象的だ。

この曲はライヴでも重要な位置を占めるが、スタジオ版は特に密度が高い。歌とギターが競い合うというより、ヘンドリックスの声がギターのうねりに乗っていく感覚がある。ブルース・ロックの文脈で聴くと、エリック・クラプトン周辺の硬質な解釈とは違い、もっと自由度の高い崩し方をしているのがわかる。サイケデリック・ロックの側から見ても、音色そのものが曲の主役になっている点で存在感が大きい。

「All Along the Watchtower」とカバーの扱い

アルバム中盤の「All Along the Watchtower」は、ボブ・ディラン作の楽曲をヘンドリックス流に塗り替えた有名な一曲。原曲の骨格を残しつつ、ギターの層と緊張感のあるアレンジで、別の曲のように聴こえる場面が多い。ディラン本人がこの解釈を高く評価したことでも知られ、カバーが単なる付け足しではなく、作品の中心に食い込む例になっている。

この曲の面白さは、派手さよりも構成の整理にある。コード進行は比較的明快でも、音の配置が細かく、短い尺の中でかなりの情報量を持たせている。アルバム全体が長尺曲と実験的な曲に寄りがちな中で、この曲はラジオ的な分かりやすさも持ちながら、内容はしっかりヘンドリックスのものになっている。

「Crosstown Traffic」「1983... (A Merman I Should Turn to Be)」

「Crosstown Traffic」は、比較的コンパクトな形でまとまった曲として印象に残る。軽快に進むリズムの中で、ギターが歪みを持ちながらも整理されていて、アルバムの中ではアクセント役だ。長尺の組曲的な曲が続く中で、こうした短い曲があることで作品全体の呼吸が整う。

一方で「1983... (A Merman I Should Turn to Be)」は、アルバム後半の長い曲のひとつで、音響的な展開が大きい。水中を思わせるような処理や、場面転換のような構成があり、歌ものというより組曲的な聴き方に向く。1968年のロックが、単なる3分前後の楽曲から、ひとつの長い体験へ広がっていく流れをそのまま示すような内容だ。

US初期盤の見どころ

US初期盤は、ゲートフォールド、2枚組、オレンジ/イエローの2トーンラベル、そしてWarner 7Arts/Repriseの“disc”ロゴが大きな特徴。ジャケット表記は「Electric Lady Land」と分かち書きになっており、スパインもその表記になっている。後年の再発ではタン地のラベルと四角い赤いRepriseロゴに変わるため、初期プレスは見た目でも判別しやすい。

収録曲の構成や音の作り込みを含めると、『Electric Ladyland』はThe Jimi Hendrix Experienceの集大成として語られることが多い。ブルース・ロックの骨格、サイケデリックな音処理、スタジオ作品としての完成度が同居していて、1960年代末のロックがどこまで広がっていたかを示す一枚になっている。

トラックリスト

  1. A1 ... And The Gods Made Love
  2. A2 Have You Ever Been (To Electric Ladyland)
  3. A3 Crosstown Traffic
  4. A4 Voodoo Chile
  5. B1 Little Miss Strange
  6. B2 Long Hot Summer Night
  7. B3 Come On (Part I)
  8. B4 Gypsy Eyes
  9. B5 Burning Of The Midnight Lamp
  10. C1 Rainy Day, Dream Away
  11. C2 1983....(A Merman I Should Turn To Be)
  12. C3 Moon, Turn The Tides....Gently Gently Away
  13. D1 Still Raining, Still Dreaming
  14. D2 House Burning Down
  15. D3 All Along The Watchtower
  16. D4 Voodoo Child (Slight Return)

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