The Latinos - It Must Be Love (1981)
The Latinos 1981

The Latinos - It Must Be Love (1981)

Funk / Soul Latin Funk AOR

The Latinos『It Must Be Love』(1981) レビュー

The Latinosの『It Must Be Love』は、1981年にUSのWordから出たアルバムだ。アーティストの核にあるのはVelasquez一族で、もともとはThe Four Latinos名義の4人組として1960年代半ばから録音を始め、やがて8人編成へと広がり、最終的にThe Latinosの名に落ち着いていく。そうした成り立ちを踏まえると、この作品も単なるソウル寄りのラテン・グループ作というより、家族的な結束と合唱的な厚みを土台にした一枚として見えてくる。

レーベルはWord。テキサス州ワコーに拠点を置くクリスチャン系レーベルとして知られ、教会音楽やゴスペルの文脈で語られることが多いが、The Latinosのようなグループもそのカタログに並んでいるのが面白いところだ。『It Must Be Love』は1981年のオリジナル作品として位置づけられ、同年のUS盤として出ている。80年代初頭という時期を考えると、ファンクやAORの語法がラテン系ヴォーカル・グループの輪郭にどう重なるかが、この作品の見どころになる。

作品全体の印象

このアルバムは、メンバーの人数が多いこともあって、声の重なりがまず印象に残る。David Velasquez、Leroy Velasquez、Harold Velasquez、Mike Velasquez、Eddie Velasquez、Eli Velasquez、Tommy Velasquezといった名前が並び、そこにJudy Romero、Vince Montano、Anita Maestas、Richard Avalos、Phillip Wright、Brian Lucasも加わる。編成の厚みがそのまま演奏の厚みにもつながるタイプで、曲によってはコーラスが前に出て、曲によってはリズムのうねりを支える役に回る。

ジャンル表記はLatin、Funk / Soul、スタイルはFunk、AOR。実際の聴感でも、その並びはかなり素直に受け取れる。リズムはきっちりとした推進力を持ち、ベースとドラムが土台を作り、その上でヴォーカルが滑らかに乗っていく構図だ。ラテンの要素が全編を支配するというより、ソウル/ファンクの骨格にラテン系グループらしい歌のまとまりが重なる印象で、80年代らしい整ったバランス感がある。

タイトル曲「It Must Be Love」

アルバムの中心に置かれているのがタイトル曲「It Must Be Love」だろう。ここでは曲名どおり、恋愛感情の確信を歌う流れがはっきりしていて、メロディの運びもわかりやすい。大きく感情を煽るというより、コーラスの積み重ねで気持ちを固めていくような作りで、グループの持ち味がよく出ている。

この曲で耳に残るのは、主旋律を支える複数の声が、同じフレーズを少しずつ質感を変えながら重ねていくところだ。ファンク寄りのリズムがあるぶん、甘さ一辺倒にはならず、一定の緊張感も保たれる。AOR的な整った響きもあり、ラジオ向けの明快さと、グループ唱法の厚みが両立している。

グループの持ち味が出るコーラスワーク

The Latinosの作品を語るうえでは、個々の歌の巧さ以上に、人数の多いアンサンブルが作るまとまりが重要になる。このアルバムでも、ソロが前面に出る場面と、全員のユニゾンやハーモニーが曲を押し上げる場面の切り替えが見どころだ。ファンクのリズムに対して、声が細かく絡みすぎず、必要なところで厚みを与えるあたりに、経験を積んだグループらしさがある。

また、The Four LatinosからThe Latinosへと発展してきた経緯を思うと、ここには長い時間をかけて育った歌のフォーマットがある。家族メンバーを軸にした編成は、ただ血縁的というだけでなく、声の揃い方やフレーズの受け渡しに独特の自然さを生む。この作品でも、その積み重ねが前提になっているように聞こえる。

80年代初頭の文脈で見る一枚

1981年という年は、ソウルやファンクが新しい録音感覚へ移っていく時期でもある。ここでのThe Latinosは、そうした時代の空気を取り込みつつ、古くからのヴォーカル・グループの強みを保っている。派手なサウンド実験に寄りすぎず、歌を中心に据えた作りでまとまっている点が、この時代のクロスオーバー作品として興味深い。

同時代のソウル/ファンク系ヴォーカル・グループと比べると、The Latinosはより共同体的な響きが強い。個人のスター性を押し出すというより、複数の声が一体となることで曲の輪郭を作るタイプだ。そういう意味では、ラテン系グループの伝統と、80年代初頭の洗練されたR&B感覚が、無理なく同居している一枚と言えそうだ。

まとめ

『It Must Be Love』は、The Latinosの長い活動史の中でも、グループのコーラス・ワークとファンク/AOR的な整ったサウンドがよく噛み合った作品として受け取れる。1981年のUS盤オリジナルとして、当時の空気をまといながらも、家族的な結束を感じさせる歌の強さが前に出る。派手さよりも、声の重なりとリズムの安定感で聴かせる一枚だ。

トラックリスト

  1. A1 It Must Be Love 4:35
  2. A2 Born Again 4:32
  3. A3 The Party's Over 5:06
  4. A4 I'm Blessed (Bendecido Soy) 4:01
  5. A5 The Best Is Yet To Come 6:55
  6. B1 Brian's Dead 4:35
  7. B2 Champions In The End 4:33
  8. B3 How Long 5:04
  9. B4 Santo (Holy) 4:01
  10. B5 Bombs 4:55

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