The Pineapple Thief - Little Man (2006)
The Pineapple Thief 2006

The Pineapple Thief - Little Man (2006)

Rock Prog Rock

The Pineapple Thief『Little Man』について

The Pineapple Thiefは、ブルース・ソードを中心に活動してきた英国のプログレッシブ・ロック・バンドだ。1999年に始動し、ソロ的な作家性を軸にしながらも、バンド編成へと発展してきた経緯を持つ。2000年代前半の作品群の中で、『Little Man』は2006年に発表されたアルバムであり、現在では彼らの中期を語るうえで外せない一枚として扱われている。2024年盤はKscopeからのリリースで、同レーベルが継続している現行プログレ系カタログの中に置かれている点も興味深い。

この作品は、のちの大規模な展開やドラマティックな編成感よりも、まず曲そのものの輪郭を丁寧に積み上げていくタイプのアルバムとして聴こえる。演奏の密度は高いが、音数で押し切る感じではない。ブルース・ソードの歌とギター、スティーヴ・キッチの鍵盤、そして当時のバンドメンバーによるリズム隊が、楽曲の内側にある緊張をじわじわと引き出していく構図だ。2000年代半ばの英国プログレらしい、派手さよりも構成の細かさを重視した作りが印象に残る。

作品の位置づけ

The Pineapple Thiefのディスコグラフィーの中で見ると、『Little Man』は、バンドとしてのまとまりがより明確になっていく時期の作品にあたる。初期のソングライター色の強い感触を残しつつ、アンサンブルの役割分担がはっきりしてきた段階であり、後年の洗練されたプログレ路線へつながる下地が見える。特に、ブルース・ソードのボーカルとメロディの運び方が、楽器隊の複雑な動きの中でも埋もれない点は、この時期の強みといえる。

同時代の英国プログレ周辺を思い浮かべると、Porcupine TreeやIQ、Pallas、Arenaのような、楽曲の緊張感とメロディを両立させる流れと近い文脈に置ける。とはいえ、The Pineapple Thiefはシアトリカルに振り切るより、内省的な歌心を中心に据えるところに特徴がある。大きく煽るより、静かなパートから少しずつ温度を上げていく作法が、アルバム全体を通して一貫している。

2024年盤について

2024年盤はKscopeからの再発で、2023年にブルース・ソードとスティーヴ・キッチによってリミックスおよびリマスターが施されている。オリジナルの2006年盤、2010年のリマスター版、2015年のヴァイナル版と続いてきた流れの先にあるため、今回の盤では音像の整理がより進んでいると捉えられる。再発盤としては、作品の骨格を変えるというより、既存の楽曲を現代的な聴き取りやすさへ寄せた位置づけだろう。

注目曲の聴きどころ

『Little Man』では、アルバムの表題曲としての役割を担うナンバーがまず軸になる。歌のフレーズが前に出やすい設計で、バンドの中核にあるメロディ志向がよく見える一曲だ。演奏は決して大仰ではないが、細かな音の重ね方に気配りがあり、サビへ向かう流れの中で少しずつ圧を上げていく。The Pineapple Thiefらしい、感情を直接叫ぶのではなく、構成の積み重ねで届かせるタイプの曲といえる。

また、アルバム後半にかけて配置される長めの曲では、静と動の切り替えがよりはっきりする。ギター、鍵盤、ベース、ドラムが同じ方向へ一斉に向かうのではなく、各パートが別々の線を描きながら、最後にまとまりへ着地していく。その過程で、ブルース・ソードの歌が曲の温度を保つ役割を果たしている。プログレッシブ・ロックの文脈で言えば、技巧を見せる場面よりも、展開の必然性を感じさせる場面に耳が向く一枚だ。

まとめ

『Little Man』は、The Pineapple Thiefがバンドとしての輪郭を固めていく過程を捉えたアルバムであり、2000年代英国プログレの中でも、メロディと構成の両立に重心を置いた作品として位置づけられる。2024年盤では、2023年のリミックス/リマスターによって、当時の楽曲がより整った音像で再提示されている。オリジナル盤を知る人にとっては細部の見通しを確かめる再聴の機会になりそうで、初めて触れる場合にも、このバンドの核にある作曲感覚をつかみやすい内容だ。

トラックリスト

  1. A1 Dead In The Water
  2. A2 God Bless The Child
  3. A3 Wilting Violet
  4. A4 Wait
  5. A5 Run A Mile
  6. A6 Little Man
  7. B1 November
  8. B2 Boxing Day
  9. B3 God Bless The Children
  10. B4 Snowdrops
  11. B5 We Love You

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