The Savages - Live'n Wild (1966)
The Savages『Live'n Wild』──バミューダ発ガレージ・ロックの熱気を切り取ったライブ盤
The Savagesの『Live'n Wild』は、1966年2月6日にバミューダのホテル「The Princess」内のクラブ“HUB”で録音されたライヴ音源を収めた一枚だ。オリジナルの活動時期は1960年代半ばで、バミューダ出身のガレージ・ロック・グループとして知られる。メンバーはPaul Muggleton、Howie Rego、Rob Zuill、Jimmy O'Conner。2017年にヨーロッパのTwitchin' Beat RecordsからLPとして出た盤で、当時の空気をそのまま掘り起こした再発系のタイトルとして位置づけられる。
この作品の面白さは、バミューダという地理的な場所と、1960年代半ばのガレージ・ロックの直線的な勢いが、そのまま結びついているところにある。大都市の有名クラブで録音されたものとは違い、島のホテルのティーン向け・学生向けクラブという場で演奏された記録で、当時のローカルな熱量が見えやすい。The Savagesは、同時代の英米のガレージ・バンドと並べて語られることがあるが、この盤では「地域の若いバンドが、その場の客を前に鳴らしていた音」という輪郭がはっきりしている。
録音された場所と時代の気配
ライナーノートにある通り、録音は“The HUB”でのライヴ。The Princessはバミューダの新しいホテルで、そこにあったティーンと大学生向けのクラブという設定が、この音源の性格をよく示している。スタジオ作品よりも、観客の反応や会場の空気が入りやすいライヴ録音なので、演奏の勢い、曲間の進み方、バンドの呼吸がそのまま記録されやすい。ガレージ・ロックの文脈では、こうしたライヴ音源は、完成度よりも瞬発力や現場感を優先する資料としても価値がある。
2017年盤は、1966年当時の演奏を現代に再提示した形になる。オリジナル当時の盤と比べると、再発盤では音源の存在が改めて可視化される点が大きい。The Savagesのように地域シーンで活動していたバンドは、まとまったディスコグラフィーよりも、こうしたライヴ記録によって輪郭が残ることが多い。そういう意味で『Live'n Wild』は、作品単体というより、バンドの実在感を伝える記録として読むのが自然だ。
The Savagesというバンドの位置づけ
The Savagesは、バミューダのガレージ・ロック・グループとして、1960年代半ばに活動した。アメリカ本土の有名バンドほど流通量が多かったわけではないが、地方発のガレージ・バンドらしい、短い時間で熱を上げる演奏が魅力になっている。Garage Hangoverのアーカイブでも紹介されるように、同時代のローカル・ロックの記録として扱われることが多い。英米のガレージ勢、たとえばThe SonicsやCount Fiveのような、荒さと推進力を前面に出すバンドと並べて語られることはあるが、The Savagesの場合は、島のクラブで鳴っていた具体的な現場の匂いが強い。
聴きどころ1:ライヴならではの推進力
この盤でまず目に入るのは、ライヴならではの勢いだ。音が整いすぎていないぶん、リズムの前のめりな感じや、演奏が観客に向かって押し出される感じが伝わりやすい。ガレージ・ロックの基本である、分かりやすいコード進行、歯切れのいいビート、勢い重視のボーカルが、その場で組み上がっていくような印象がある。録音会場がクラブであることもあって、演奏が閉じたスタジオよりも直接的に響いているように感じられる。
こうした音源では、各曲の細部よりも、バンド全体がどのくらい同じ方向を向いて進んでいるかが見えやすい。The Savagesは、そのまとまりをライヴで示しているバンドとして聞こえる。個々のフレーズが過剰に飾られず、曲を前へ進めることが優先されている点が、この時代のガレージ・バンドらしい。
聴きどころ2:バンド名をそのまま体現する荒さ
『Live'n Wild』というタイトルどおり、演奏には荒さが残る。その荒さは単なる粗雑さではなく、ライヴの場でこそ成立する勢いとして機能している。ボーカル、ギター、リズム隊が同時に前へ出てくる瞬間があり、音の輪郭が少し崩れても、そのまま曲の熱量につながっている。こうした感触は、スタジオ録音ではなかなか出にくいものだ。
特にガレージ・ロックは、演奏技術の精密さよりも、若さや切迫感、観客との距離の近さが重要になりやすいジャンルだが、この盤はその条件にかなり素直に当てはまる。バミューダという場所のローカル性も含めて、地域のダンス・クラブで鳴っていたロックの記録として受け取れる。
2017年盤としての意味
2017年にTwitchin' Beat Recordsから出たLPは、1966年のライヴを現代のアナログ盤として再流通させたものだ。こうした再発盤は、当時のシーンを掘り返す役割が大きい。The Savagesのように、広く商業的に知られたバンドではなくても、後年のリスナーが手に取りやすい形で残されることで、ガレージ・ロック史の中での位置が見えやすくなる。音源そのものは1966年の記録であり、盤としての流通は2017年という二重の時間を持っている。
『Live'n Wild』は、名盤として派手に語られるタイプというより、現場の空気とバンドの実像を伝える一枚だ。The Savagesの名前を知る入口としても、1960年代ガレージ・ロックの地域的な広がりを知る資料としても、はっきりした意味を持つ作品になっている。
トラックリスト
- A1 Intro
- A2 Poor Man's Son
- A3 She's Gone
- A4 Gone To The Moon
- A5 Quiet Town
- A6 Oh My Soul
- A7 Broadway
- B1 Nobody But You
- B2 He's A Man
- B3 I Believe
- B4 The World Ain't Round, Its Square
- B5 We've Got To Get Out Of This Place
- B6 No, No, No
- B7 Theme
動画
-
The Savages "Live'N Wild" 1966 *Side I*
-
The Savages "Live'N Wild" 1966 *Side II*
-
The Savages - The World Ain't Round, It's Square